「長期優良住宅」の本当のメリットとは。(ヴィンテージハウス)

2018.7.27

家のづくりの際によく耳にする「長期優良住宅」。税金控除、補助金、住宅ローンの優遇など、なんとなくメリットがあるのかな?というイメージですよね。しかし、実際にはどのようなものか具体的にはわからない方も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は、全シリーズ認定長期優良住宅として提案している岐阜の設計事務所「ヴィンテージハウス」の小牧さんにお話を伺ってきました。

 

 

はじめに。「長期優良住宅」とは?!

 

リビングダイニング

 

はじめに、長期優良住宅について少しだけご説明します。


長期優良住宅とは「つくっては壊す住宅」から「いいものをつくって、きちんと手入れして、長く大切に使う住宅」への転換を目指し、国が定めた制度です。

 

長期優良住宅に認定された家は耐久性・耐震性・メンテナンス性・省エネルギー性能等において一定の基準を満たした住宅をいいます。この認定を受けた住宅で、定期補修が計画通りに行われている場合、築25年時点での認定長期優良住宅の転売価格は定期補修が計画通りに行われている場合、新築時の35%程度で評価されます。


住宅の耐用年数は、標準的な住宅で25年~30年。長期優良住宅は75年~100年と、標準的な住宅の3倍は長持ちします。

 

<長期優良住宅の9つの認定基準>

①劣化対策
通常考えられる維持管理下で、建物を使い続ける期間が100年以上になるような処置がされることが必要。マンションなどの鉄筋コンクリート造や一戸建てなどの木造などの場合ごとに決められています。

②耐震性
大規模地震などが起きた場合でも、建物の変形の度合いを一定以下にする措置をとることが必要。

③維持管理・更新の容易性
建物本体に影響を与えることなく、配管などの維持管理がしやすいこと。給排水管などの点検・補修・更新がしやすい。

④可変性
居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な措置を取ることが必要。

⑤バリアフリー性
将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下等に必要なスペースが確保されていること。

⑥省エネルギー性
必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること

⑦居住環境
例えば地域の地区計画に配慮した景観を損なわないようなデザインになっている必要があります。

⑧住戸面積
おおむね一戸建て住宅では75㎡以上、マンションなどの共同住宅においては55㎡の床面積があること、維持保全計画としては定期的な点検を実施する計画があるなどが必要。

⑨維持保全計画 
建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。

 

 

日本で長期優良住宅が生まれた背景

 

小牧代表ヴィンテージハウス代表取締役の小牧新平さん


そもそも、なぜ「長期優良住宅」が日本ではじまったのでしょうか。


小牧さん:「戦後は住宅が不足していたので、質よりも量を重視していました。つくっては壊しを繰り返し、日本の経済も上向きになりました。ですが、現在は「家余り」と言われるほど、住宅の数は充足しています。さらに、これまでの日本の住宅は築25年で価値がほとんどなくなる、使い捨ての価値基準で住宅を建てていたのです。イギリスでは、家の寿命は平均で75年。いいものをつくってきちんと手入れして長く大切に使うという考え方が、世界では常識です。


そこで、従来の「つくっては壊す」スクラップ&ビルド型の社会から、「良いものをきちんと手入れして長く大切に使う」ストック活用型の社会への転換を目的として、2006年(平成18年)に「住生活基本法」という国の法律が変わりました。さらに、3年後の2009年(平成21年)には、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施工されました。「長期優良住宅」は、国全体として住宅を長く大切に使っていこうという取り組みなんです。」

 

 

家の資産価値が高い=いつでもお金に変えられる

 

Japanese Modern Waza

 

長期優良住宅のメリットは、税金控除・補助金・住宅ローンの優遇などだけではないのだといいます。


小牧さん:「税金の控除やローンの優遇を受けるだけが、長期優良住宅のメリットではありません。先ほどお話したように、本来の目的は「良いものをきちんと手入れして長く大切に使う」です。資産価値が高く、子ども、孫の世代まで受け継いでいける住まいだということがポイントです。資産価値が高いということは、いつでも売ったり、貸し出して、住宅をお金に変えることができるということです。


これまでは家の価値を守るための明確な決まりがありませんでした。ですが、長期優良住宅によって、家の資産価値が「見える化」されました。国から認められた基準をクリアしている住宅なので、築25年でも、築50年でも、転売・貸借が可能なんです。


今までは、築25〜30年で価値がほぼゼロでした。なので、相続も難しかったですよね。でも、しっかりとお金に換算できるものを持っていて嫌という人はいないと思います。土地と建物だけ残ってボロボロになってしまうといった空き家問題を解決してくれる可能性もあります。」

 

 

万が一の時ときに住宅ローンを返済してくれる住宅

 

ヴィンテージハウス


さらに、国の認定を守った住宅は、不測の事態でローンが払えなくなったとしても、住宅がローンを払ってくれるというメリットもあるのだそう。


小牧さん:「耐久性の高さと長期にわたるメンテナンス体制を持った住宅は、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)の「移住・住みかえ支援適合住宅」の認定を受けることができます。この制度は、長期優良住宅というのがまず大前提です。


この認定を受けた住宅は、いつでもJTIが賃貸物件として刈り上げ、空き家時も賃料収入を、最長で終身にわたり保証してくれます。また、もしも不測の事態でローンが払えなくなったとしても「ローン返済特約」により、住宅がローンを返済してくれるんです。

 

「35年間ローンを払い続けられるのだろうか……」「転勤になったらどうしよう……」などといった、住宅を買うことで、起こりうるリスクや不安を回避できるようになります。」

 

 

小牧さん:「さらに家賃保証してくれるというのは、将来の選択肢を増やすことにもつながります。例えば、お子さんに相続した場合、メンテナンスすることで、数十年住むことができます。家賃やローン返済など、住宅に対する費用が軽減できるというのは大きいですよね。もしくは、他の県で住みたい場合などは、相続した住宅を貸し出し、賃貸収入で自身の住宅やマンションの返済に当てることもできます。これまでは、利息三文だったものが、安定収入になるんです。

 

相続しない場合も、家賃収入で老人施設に入ったり、利便性の良いマンションなどへ移り住むこともできます。


これまでは、住宅を持つことで、永住しなくてはいけない、転勤になった場合に困ってしまう、相続がしづらいなど将来のリスクの方が多かったと思います。ですが、長期優良住宅で建て、「移住・住みかえ支援適合住宅」「ローン返済特約」などを活用することによって、住宅が将来の選択肢を増やしてくれるんです。」

 

 

気になる、長期優良住宅のデメリット

 

 

では、逆に長期優良住宅にすることでのデメリットはないのでしょうか。


小牧さん:「デメリットの一つ目としては、一般的な住宅に比べ1.5倍、価格でいうならば600万円ほどコストUPになるといわれています。そこで、ヴィンテージハウスでは、認定長期優良住宅基準に則った規格型プランを取り揃え、コストUPになりうる設計費用を軽減しています。構造においても特殊部材や特殊工法を採用しない、100年もの歴史のあるシンプルな木造在来軸組工法を用いて、安価にご提案しています。


もう一つは、住宅のメンテナンスの履歴情報を国の指定したサーバーに保管する必要があり、その費用が約10万円程度必要になります。この費用をプラスでと思うと迷われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これが最初から付いているとしたら?皆さん登録されたいと思うのではないでしょうか。


また、資産価値が維持されるということは、固定資産税が下がりにくく多く払う必要があるのではと気にされる方もいらっしゃるかと思います。そこで、実際に岐阜市資産税課に問い合わせをしてみました。長期優良住宅ということで直接的に課税評価額が割り増しになることはなく、 標準的な木造住宅と何ら変わりがなく償却期間が長くなるということはないという見解でした。」

 

 

家づくりのリスクを少しでも軽減したい

 


最後に、なぜヴィンテージハウスでは長期優良住宅を標準としているのか、住宅の価値を大切にした家づくりをしているのか、小牧さんの想いを教えていただきました。


小牧さん:「私は本当は、こんな時代に無理して住宅を建てるべきではないと思っているんです。ですが、家づくりのリスクをしっかりと認識して、そのリスクや不安を少しでも減らせる、ゼロにできる家づくりの方法があるのであれば、考えても良いのではと思います。長期優良住宅の仕組みや、家の資産価値を維持する選択肢を持つということは、こうしたリスクや不安を減らすことができる方法なんです。

 

目先の税金の控除や補助金、金利が安くなるという面だけでなく、こうしたお話もしっかりとお客様としながら、家づくりをしていきたいですね。もちろん、現実的な部分も多いので、夢が崩れる場合もあります。ですが、私たちはきちんと将来のリスクや、その改善策もお伝えして、少しでも安心して家づくりをしていただきたいと思っています。」

 

 

家づくりをしていると、「少しでもお値打ちに建てたい」「金利は低い方が良い」と目先のメリットにばかり考えがちです。ですが、もう少し将来にも目を向け、30年後、50年後も自分や家族が安心して暮らせる住まいなのかを考えることも大切ではないでしょうか。

 

「ローンを返済できるのか不安」「転勤の可能性がある」「いつかは地元に戻るかもしれない」そうした家づくりの不安を抱えている方は、一度長期優良住宅も視野に入れてはいかがでしょうか。そして、長期優良住宅を取得しただけでは、ローン返済特約などは適用されません。こうした知識もしっかりと身につけて、後悔のない家づくりをしましょう。