これがミツカンの博物館?!楽しみながらお酢を学べる「ミツカンミュージアム(MIM)」
目次
江戸時代の酢づくりが学べる
「大地の蔵」
まずは「大地の蔵」ゾーンへ。
ここでは、江戸時代の酢造りや、現在の醸造の様子を見ることで、脈々と受け継がれてきたものづくりの精神にふれることができます。
半田市のある知多半島は、江戸時代から日本有数の酒造りの地域でした。酒以外にも、味噌・醤油・酢などの醸造品も盛んです。ミツカングループの創業家である中野家も、もともとは酒造家。酒造りの過程で余る酒粕の有効利用として酢造りをはじめました。
それでは、酢造りの工程をみていきましょう。天井や梁・柱・桶などの一部は、実際に使用されていたものだそうです。
当時の酢造りは9つの工程に分けられ、すべて人の手によって行われていました。お酢の原料となる酒粕を大きな樽に入れて、長時間寝かせて熟成させる「粕熟成」からスタート。
熟成した酒粕を桶に移し、水を加えてかき混ぜます。その後、約1週間で「もろみ」ができあがります。
もろみを酢袋にいれ、桶で圧搾して絞ります。もろみから絞り出された液が「酢もと(お酒)」です。
酢もとの半分を、大きな鉄釜で温めます。できたものは「わかし汁」と呼ばれていました。
わかし汁と残り半分の酢もとを、2階にある仕込み桶に移します。仕込み桶には、前回発酵したお酢が「種酢」として半分残っており、種酢の中の発酵菌が働くことで、約1カ月かけて酢もとがお酢に変化します。
出来上がったお酢の半分は、1階の貯蔵桶に移し、2〜3カ月ほど熟成させます。残り半分は、次の仕込みに使われます。
その後ろ過したお酢は、桶に入れます。樽を縄で縛り、製品の完成。これだけの工程をすべて手作業で行なっていたなんて驚きです。
フロア中央にある樽の中をのぞくと、現代の酢造りの様子をみることができました。「ミツカンミュージアム」では、実際にお酢をつくっています。工場の設備や使用する道具は大きく変わっていますが、製造原理は変わっていません。
廊下部分には、酢造りに使用する道具の展示や発酵室がありました。
発酵室では、ミツカンのブランド第一号「三ツ判 山吹(みつばん やまぶき)」という粕酢が実際に発酵されています。
次のエリアでは、酢造り職人たちの作業を体験できます。
まずは酢を運ぶ作業に挑戦!左右の桶は合計15kgもありかなりの重さにヘトヘト……。実際の職人は3倍ほどの重さの樽を担いでいたというので驚きです。
続いては、原料の酒粕を「竿ばかり」で酒粕を量る作業。片方に分銅を、もう片方に酒粕をのせて重さを量ります。つり合うようにのせるのは、なかなか難しかったです。
最後は、中身が見えない樽の中のお酢の量を判断する作業。樽の天面を木槌で叩いたときの音の聞こえ方で、中身の量を確認していたのだそう。お酢の量が少ないものはカンカンとした高い音。お酢が満杯になっているものは、トントンという低い音がしました。
部屋の一角には「香りのひきだし」という、お酢の香りを体験できるコーナーも。ひとくくりにお酢と言っても、違う原料だと香りもかなり異なります。
大地の蔵コース(30分)で見学できるのは、このゾーンまでです。