リノベーションはスタイルではなくて、生き方、考え方。STORE IN FACTORY代表・原さんに聞いたリノベーションの本質とは
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その名も「イタコ作戦!」
本格的なオファーが入ったストアインファクトリー。仕事の受け方は原さんが独自に考えた「イタコ作戦」でした。
原さん:「自分たちの店だからヒストリーのような空間ができたけど、クライアントワークにするとできないってことをお客さんにも説明をしました。そこで考えたのが、僕が施主さまになりきってしまえば、自分の店をつくることになるんだから、できると思ったんです。それは住宅も一緒で、これはのちに「イタコ作戦」と呼んでいて、いまだにそのやり方で仕事を受けています。」

一番最初に手がけられた美容室の内装
原さん:「特に、自分が経験のあることならやりやすいんですよ。お洋服屋さんやマンションリフォームとか、職種は違うけど、母親が美容師で、父親ももともと美容師。妻も美容師なので、なんとなくわかるんです。
だから美容室も得意。こうして、自分の経験や体験を切り売りして、自分自身のことにしてしまわない限り、DIYのような感覚で、何か空間を作ってくことは不可能だと思うんです。
このお店の内装をやらせてもらえたことがきっかけで、イタコ作戦のような方法を取り入れれば、なんとかDIYの本質を保ったままクライアントワークしていけるんじゃないかって思えたんです。これは僕の中での秘密みたいなもので、すごくいいやりかた見つけた。これからの時代のコンパスみたいになるんじゃないか、対価としてお客さんとリスクをともに抱えて、問題解決に向かっていくっていうやり方ってすごい時代に合ってるなって思えたんです。僕がリノベーションに出会う前のことでした。」
順番は逆?リノベーションとの出会い〜激動の年へ
2011〜2012年はリノベーション界の老舗会社との出会いにより、ストアインファクトリーにとって激動の年を迎えることとなります。
原さん:「ある巡り合わせがきっかけで、リノベーション会社の方と仕事をすることになったんです。その方と話していると、ある共通項を見つけました。
僕が出会った「イタコ作戦」と呼んでいたストアインヒストリーをお客さんに分け与えていくようなやり方。条件としては自分でつくる。廃材とか、身近にあるものを使っていく、この共通項がその会社さんの考えと同じだったことです。それに加えてコンセプトをすごく重要視していました。うちがストアインヒストリーをつくったときも、依頼を受けたお店をつくったときも、架空のコンセプトを立てたんですよ。想像力を要する空間づくり、それはその会社さんと共通してたから面白かった。そしてその方は、「原くんリノベーションっていうのはね」って、リノベーションのイロハを教えてくれたんですよ。
僕がやってきたことってリノベーションっていうんだって。順番は逆なんですけどね、じゃあこれ僕やってきたい!ファッションもダメ、教育もダメ、なんか自分の表現方法、生き方として、辿りついたリノベーションっていうのが見つかってうれしかったですね。」