常滑焼の魅力を伝える「急須と器 いそべ」。伝統ある急須からモダンな急須まで幅広くそろう。

常滑市
掲載日:2022.08.22
常滑焼の魅力を伝える「急須と器 いそべ」。伝統ある急須からモダンな急須まで幅広くそろう。

焼き物のお店が集まる「とこなめセラモール」内にある「急須と器 いそべ」は、常滑焼急須の専門店です。

常滑焼の歴史は古く、平安時代まで遡ります。当時は主に大型の壺が焼かれていましたが、歴史とともに製品は変わっていきます。常滑焼を代表する朱泥急須の生産がはじまったのは、江戸時代後期の200年前から。

その後もどんどん技術が進化していきます。昭和30年代には新しい成形技法が確立され、電気窯も導入したことで急須の大量生産ができるようになり、私たちに広く知られるようになりました。

今回は、そんな常滑焼急須の特徴や魅力などをご紹介します。

常滑ICから車で5分ほどの「とこなめセラモール」内にあります。

もっと常滑焼急須の魅力を伝えたい

「急須と器 いそべ」を運営する磯部商店は1964年(昭和39年)創業。当時は卸専門でしたが、30年前にセラモールの開業と同時に現在の場所へ移転し、小売業もスタートしました。

2021年7月、常滑焼に特化した専門店としてリニューアルオープン。もっと常滑焼急須でお茶を楽しんでほしいという思いから、作り手のストーリーと共に魅力を伝えています。

産地の魅力をお伝えするためにも、セレクトし過ぎず広くバランスのよい品揃えを意識しているそうです。磯部朝子さんは「引き出しの多い急須店でありたい」と話してくれました。

店内には、若手からベテランまで50人以上の職人や作家さんの急須や器がずらりと並びます。

作家さんごとに作品をディスプレイしており、このように名前の札に作風や経歴を添えて紹介。リニューアル後は作家さんの想いを感じるような展示をされています。

常滑焼急須の特徴&魅力

常滑焼の最大の特徴は、原料となる陶土に鉄分が多く含まれていること。急須の鉄分とお茶に含まれるタンニンが反応することで、渋味がほどよく取れてマイルドな味わいにしてくれる効果があるのです。

また、一つひとつ手作業で急須の胴体と蓋を合わせる「すりあわせ」という作業を行うため、蓋はピッタリ閉まり気持ちよく使えること、お茶がよく蒸され機能的に使うことができます。

急須のつくり方には、ろくろで回す手法もありますが、型を使ってつくる「鋳込み(いこみ)」という方法も。その後に、各パーツを組み立て接着しているので、かなり人の手が加わっているそうです。

常滑焼急須にはさまざまな種類の茶漉しがあり、お茶の種類に応じて選ぶことができます。朱泥急須以外にも現在はカラーバリエーションやデザインも豊富なので、お気に入りの急須に出会えるはずです。

淡いパステルカラーの作品もあり、ラインナップはさまざま。

「藻掛け(もがけ)」の技法は、海で採れる藻を糸で巻き付けて焼成することで模様をつくりあげます。海沿いの産地ならではの常滑焼の伝統技法なのだそう。

急須選びのポイント

たくさんの急須の中からどのように選んだらよいのか迷います。ここはお店の方に聞くのが一番!ということで磯部さんにお聞きしました。

磯部さん:「重さや大きさ、持ったときのフィット感、扱いやすさ……。何に基準を置くかによりますが、初めて急須を買う方には、何人用か予算などを伺った上でご提案します。2個目以降を買い足す方には、使う茶葉や、どのような用途かなどを伺ったりします。」

機能性だけではなく、見た目で選ぶのも大事だとか。

磯部さん:「デザインに一目惚れした急須を選んで、それに合う茶葉で飲むのもいいと思います。多くのお客様は先に茶葉を決めて急須を選びますが、その逆があってもいいですし、自由に楽しんでほしいですね。」

店頭に並んでいない急須もたくさんあるのだとか。スタッフさんに聞いてみたり、直接手にとったりと、急須選びを楽しんでみてくださいね。

バリエーション豊富な常滑焼急須

このように丁寧につくられているものばかりなので、生産量が限られているもの、入荷の状況は違ってくるので店頭に並ぶ急須は日々変わります。商品の中からいくつかご紹介していきます。

北龍 梅原タツオ

初心者におすすめなのが、シンプルな朱泥急須です。

こちらの2つの急須は、同じ原料を使っていますが、焼成方法の違いによって2つのカラーバリエーションができるそうです。今のライフスタイルでは黒の方が人気なのだとか。

甚秋陶苑 伊藤成二

ここ数年人気なのが平急須。底が広く、茶葉がよく開くため、濃厚なお茶を淹れるのに最適です。

都築 青峰

菊型の蓋がかわいらしい手のひらサイズの急須です。持ち手は「後手」といって中国茶でもよく使われています。

伊藤 雅風

先ほど触れた藻掛け急須。若手急須作家・伊藤雅風さんの作品はとても人気で入手困難なこともあるそうです。

山田 想

山田想さんの青い急須。常滑焼で人間国宝に認定された、故 三代山田常山さんのお孫さんです。

人気を集めている青いシリーズ。

初心者も楽しめるワークショップや講座

常滑焼急須を使ってお茶を楽しむワークショップも定期的に開催。例えば抹茶を点てたり、中国茶など、季節に合わせた茶葉をセレクトして、お茶を淹れる体験を楽しめます。

ほかにも講座を開催することもあるそうで、詳細はお店のInstagramをチェックしてみてくださいね。

「急須と器 いそべ」には、「職人や作家がつくった大切な急須を使い手(お客様)へ」というこだわりと、豊富な品揃えで「お気に入りの急須を提供したい」という思いが詰まっています。日常使いできる急須から芸術的な作品まで、豊富にそろっているので、ぜひお気に入りを見つけてくださいね。

スポット詳細

【急須と器 いそべ】
住所  :愛知県常滑市金山字上砂原100 とこなめ焼卸団地(セラモール)
電話  :0569-43-7788
営業時間:9:00~17:00

https://tokoname-isobe.com/
https://www.instagram.com/p/CQ-VxjpgWsS/

北海道出身。結婚を機に札幌⇒横浜⇒兵庫⇒現在は名古屋在住です。名古屋市内の企業で勤務しながら、ライターとして活動中です。趣味は、寺社やお城巡り。その土地のおいしいものを求めて全国各地へ出かけること。2011年よりフラワーアレンジメントを習い、師範免許を取得。花のある暮らしを心掛けています。東海地方の暮らしに役立つ情報をお伝えしたいと思います。

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