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徳川家ゆかりの地として長い歴史を持つ大曽根。昔ながらの住宅街と新しいマンションが建ち並び、ショッピングモールやスポーツ施設など、多様な施設が混在する街です。
大曽根駅の西側に伸びる商店街には古くから続くお店や飲食店が軒を連ね、その一角に今回ご紹介する「ブリューパブ大曽根」があります。
ブリューパブ大曽根は2021年3月末に仮オープン、10月の本格オープン以降は店内の醸造所で造った「おおぞねビール」をはじめ、各地のクラフトビールを提供しています。
今回は、ブリューパブ大曽根のビールづくりやお店の思いなどを詳しくご紹介します!
わっぱの会が運営するブリューパブ大曽根
ブリューパブ大曽根は、NPO法人わっぱの会が運営しています。わっぱの会は障がいの有無に関わらず、すべての人が共に生き共に働くことを目指し、大曽根を中心にさまざまな事業を展開する団体です。
ブリューパブ大曽根は、わっぱの会が主体となり行う「商店街活性化・観光消費創出事業」の一環として、2021年3月末にオープンしました。
店内ではガラス越しに醸造所の様子が見えるため、おおぞねビールがどのように造られているか見ることもできますよ。
ブリューパブ大曽根で醸造しているビールは主に3種類。店内ではこれらのビールの他、国内外の厳選されたクラフトビールもあり、常時10種類ほどのビールが味わえます。
お店のコンセプトは、「地域の人に愛されるお店」。お店のスタッフや大曽根商店街の人が誇りに思えるビールを造ることをテーマにしています。地域の人に限らず、クラフトビール好きの人も足を運ぶブリューパブ大曽根は、さまざまな地域・人を結ぶハブ的な存在になりそうです。
ブリューパブ大曽根のビールは、
成長の過程がわかるのも魅力の一つ
ブリューパブ大曽根では、2021年10月から店内で醸造したビールの提供を開始。最初はKENZO IPAの1種類でしたが、その後は種類が3つに増えています。この3種類をベースに、時期に合わせて増やしたり企業やお店とのコラボビールなども造ったりしているとか。3種類のビールはボトル販売もあり、名古屋市内の飲食店や酒屋に卸しています。
醸造責任者の松本さんは、ブリューパブ大曽根のためにまったくの未経験からビール醸造の世界に飛び込んだそう。東京の両国麦酒研究所で修行を積み、独立。未経験だからこそ基本に忠実にていねいに、徹底した温度管理が大切だと話します。
松本さん:「ビールはどんなに原料にこだわっていても、温度管理一つで味が大きく変わってしまいます。だから、毎日が勝負です。おおぞねビールは提供を開始してから日が浅いけど、だからこそ味の変化や進化の過程も楽しめると思います。お客さんと一緒に、ブリューパブ大曽根でしか出せないビールの味を見つけ、育てていきたいですね。」
ブリューパブ大曽根で醸造されているおおぞねビールは、KENZO IPA(IPA)、Future Trees(ペールエール)、POP EYES(ヘイジーIPA)の3種類です。画像の左から順に、それぞれご紹介します。
①KENZO IPA:苦味と柑橘系アロマホップの甘い香りがありながら、モルトの香りや甘さもしっかり感じられるクラシックなIPA。スッキリと飲みやすく、スパイシーなソーセージとの相性も抜群です。
②Future Tree:モルトのコクを感じられるイングリッシュペールエール。アルコール度数が低く苦味も控えめなため、クラフトビール初心者におすすめ。温度が上がるとモルトやホップの香りが華やかになるため、味や香りの変化も楽しめます。
③POP EYES:ニューイングランドIPAとも呼ばれ、圧倒的なホップの香りと濁りが特徴。IPAなのに苦くなく、フルーティーでジューシーな味わいと香りを楽しんで。
これらのほか、現在は愛知県内のコーヒー豆販売店とコラボし、コーヒー味のスタウト(黒ビール)を造っているそう。また、今後は大曽根や名古屋市に本拠地を置くプロのスポーツチームを応援するビールを造ることにも意欲的です。
また、ブリューパブ大曽根はクラフトビール初心者にも優しいお店です。スタッフも知識ゼロからはじめたため、クラフトビールのハードルが高いと感じている人の気持ちがわかるそう。店内にはビールの種類と味の特徴がすぐにわかるチャート図を設置するなどの工夫も。「IPAって何?」「ヘイジーIPAとの違いは?」など、聞いてもいいのかためらってしまうことでも気軽に質問できる雰囲気が嬉しいですね。
クラフトビールに慣れていないけど、カジュアルに楽しんでみたいという人にもピッタリです。
無添加にこだわり、
厳選された材料を使った料理
ブリューパブ大曽根は、ビールにぴったりなソーセージも魅力です。なかでも特製麦酒ブルストは、スパイシーな味付けに加えKENZO IPAを練り込んでいるので、ぜひKENZO IPAのビールと一緒に味わってみてください。
ブリューパブ大曽根は、料理に使うソースを手作りしたり、油や塩、砂糖、醤油などの調味料も一つひとつ厳選したりと、身体に優しいものを使っていることも特徴です。わっぱの会は知多半島に農場があり、無農薬・有機肥料の米や野菜も栽培しています。ブリューパブ大曽根でも、わっぱの会が手掛けた旬の野菜や無添加パン(わっぱん)などを使用。わっぱの会のなかでも、既にサスティナブルなサイクルが実現しているのは大きな魅力でもありますね。
大曽根の地で共生・共働の仕組みをつくる
わっぱの会
わっぱの会は、障がいの有無に関わらずすべての人が共に生き共に働く社会を目指し、大曽根を拠点にいくつもの事業を展開しています。運営する農園で無農薬・有機肥料の米や野菜の栽培、国産小麦・無添加のパン(わっぱん)の製造・販売、リサイクル事業、障がい者への就労支援、そしてブリューパブ大曽根の運営など。
特にリサイクル事業は力を入れており、家庭で出た資源を買い取ったり、生ゴミを堆肥にしたりなど「地域で循環する社会」の実現に向けて取り組んでいます。
ブリューパブ大曽根は、経産省の「商店街活性化・観光消費創出事業」の一環として生まれました。しかし、この計画では無農薬栽培した小麦で作るパン「ゆめわっぱん」を販売する店舗の同時オープンも予定されており、新型コロナウイルスの影響で遅れてしまいましたが、同じく大曽根商店街に今春グランドオープンするとのこと。大曽根のグルメスポットがまた一つ増えるのが楽しみですね。
わっぱの会の代表・斎藤さんは、「ゆくゆくはわっぱの会の農場で栽培した大麦でビールを造り、麦汁を絞った後のビール粕を堆肥や飼料にし、また新たに育てられる循環を造りたいですね。多くの醸造所はビール粕は産業廃棄物として処理していますが、再利用することもできます。既に私たちは農業展開している事業者と取り組みを進めているので、ビール粕を飼料にするのは、現実的なラインとして見えています。」と話します。環境にも人にも優しいビールですね。
ブリューパブ大曽根で
クラフトビールを気軽に楽しもう!
ブリューパブ大曽根は、店内で醸造された「おおぞねビール」を気軽に楽しめるビアバーです。クラフトビールに詳しくない人でも気軽に訪れやすく、おいしくてお手頃な料理も魅力。
そして、ブリューパブ大曽根を運営するわっぱの会は、地元を大切にしながら、人と環境に優しい循環型社会を実現する仕組みづくりにも注力しているため、おおぞねビールを飲むことはわっぱの会の活動の応援にもつながります。
春には無農薬の小麦で作る「ゆめわっぱん」のお店もグランドオープンするため、お腹をすかせて大曽根に行ってみてくださいね!