富士山を望む三島や沼津に近く、愛鷹山麓に細く伸びる「長泉町(ながいずみちょう)」をご存知でしょうか。豊かな自然を活かした公園や美しい景勝地が多く、美術館や植物園などの多彩なレジャースポットが充実している地域です。
静岡県駿東郡長泉町には、雄大な自然の中で思いっきりアートも楽しめる「クレマチスの丘」があります。伊豆の玄関口となる「三島駅」からも無料のシャトルバスが出ているため、伊豆や富士山周辺の観光の際にはぜひ立ち寄りたい人気のスポットです。
今回は、クレマチスの丘の魅力をたっぷりとお伝えします!
※お知らせ(詳細は下記URLよりご確認くださいませ)
https://www.clematis-no-oka.co.jp/vangi-museum/news/1447/・ヴァンジ彫刻庭園美術館/クレマチスガーデン:2023年1月より当分の間、休館
・レストラン(テッセン、ピッツェリア&トラットリア チャオチャオ)及びショップ(ミュージアムショップNOHARA BOOKS、ブティック クレマチス、フラワーショップ):2022年12月25日閉店
目次
雄大な自然とアート・グルメが一度に楽しめる!
クレマチスの丘とは?
クレマチスの丘は、愛鷹山山麓の長泉町にある複合文化施設です。丘陵地に広がる敷地には、2つの美術館とガーデン・自然公園、文学館、レストランやカフェなどが集まっています。四季折々の魅力が感じられるガーデン・自然公園の散策、彫刻や絵画のアートを鑑賞するだけでなく、雄大な自然を近くに感じながらグルメも満喫でき、一人ひとりが思いのままに過ごせるスポットです。
クレマチスの丘は大きく2つのエリアに分かれ、ベルナール・ビュフェ美術館を中心とした「ビュフェ・エリア」、庭園・美術館・レストラン・ショップが複合する「クレマチスガーデン・エリア」があります。
アートを鑑賞する時間や過ごし方にもよりますが、半日〜一日かけてじっくりと楽しめるスポットです。
クレマチスの丘へのアクセス
クレマチスの丘は駐車場完備のため自動車でアクセスできるほか、三島駅発着の無料シャトルバスも利用できます。
シャトルバスを利用する場合、それぞれの所要時間は以下のとおりです。
・JR三島駅⇔クレマチスの丘:約25分
・クレマチスガーデン・エリア ⇔ビュフェ・エリア:約3分
※停留所はJR三島駅北口→クレマチスの丘→ベルナール・ビュフェ美術館の順
無料シャトルバスは時刻が決まっているため、あらかじめ確認しておきましょう。
なお、エリア間は徒歩で約15分ほどで移動できます。
それでは、さっそくそれぞれのエリアを見ていきましょう!
【ビュフェ・エリア】
2023年で開館50周年!
ベルナール・ビュフェ美術館&長泉町井上靖文学館
ビュフェ・エリアには「ベルナール・ビュフェ美術館(ビュフェこども美術館)」「長泉町井上靖文学館」「カフェ&ショップ TREEHOUSE」があり、「駿河平自然公園」も隣接しています。美術館と文学館は1973年11月に開館し、2023年に開館50周年を迎えます。
ベルナール・ビュフェ美術館
ベルナール・ビュフェ美術館は、戦後の具象画壇を代表するフランスの画家ベルナール・ビュフェの作品を収蔵・展示するために、岡野喜一郎が創設しました。収蔵作品数は油彩画、水彩画、素描、版画、挿画本、ポスターなどあわせて2,000点を超え、世界一のビュフェコレクションを誇ります。
ベルナール・ビュフェはフランスのパリ出身の具象画家で、19歳の若さで批評家賞を受賞し衝撃的なデビューを果たしました。黒い輪郭線と抑制された色使いで、第二次世界大戦後の不安や虚無感を描き出したとされ一躍ビュフェ現象を巻き起こしました。
ベルナール・ビュフェ美術館では、切り口を変えながら彼の作品を常時100点以上展示。2023年3月26日(日)までは、彼の生涯とともに、作品の最大の特徴といえる「線」の表現の変遷をたどる企画展「線の画家ベルナール・ビュフェ」を開催しています。
美術館の入口にある昆虫の彫刻は、自然や生物を好んだビュフェの珍しい立体作品。ここ、ベルナール・ビュフェ美術館と、ビュフェの愛した南仏のトゥルトゥル村にだけ設置されています。
ビュフェこども美術館
ベルナール・ビュフェ美術館の別館1階には、こどもが美術と出会うきっかけづくりの場となる「ビュフェこども美術館」も。館内のさまざまな作品の中には、触れて遊べるものもあります。
作品に囲まれた環境で、美術作品を見たり実際に触れたりと、五感をつかって遊びながらアートに親しむことができます。
子どもの感性を刺激しながら親子で楽しめるのが大きな魅力。現在は事前予約制での利用となっています。
ビュフェこども美術館の利用について、詳しくはこちらをご確認ください。
https://www.clematis-no-oka.co.jp/buffet-museum/news/1833/
カフェ&ショップ TREEHOUSE
ベルナール・ビュフェ美術館に併設のカフェ&ショップ「TREEHOUSE」。目の前にそびえる美術館のシンボルツリー・樹齢50余年のクスノキにちなんで名付けられました。
木を基調として作られた店内には穏やかな時間が流れ、広い窓からは森の木々を見渡せます。入り口にある作品は函南町在住の作家・杉山明博さんの『音木囃子』。実際に手でふれたり、音を鳴らしたりできます。
四季折々の変化を感じながら過ごすひとときは、特別感もひとしおです。人気のメニューは「フレンチトースト」や猫型のご飯と肉球を表現したトッピングかわいらしい「ねこカレー」ですが、自家製の季節のスイーツも外せません。
ミュージアムショップでは、ビュフェをはじめとする美術関連書籍のほか、子育て世代や女性に向けた書籍、絵本、玩具なども充実。カフェ&ショップは美術館に入館しなくても利用でき、企画展によって関連商品も変わるため何度来ても飽きないでしょう。
また、ベルナール・ビュフェ作品のポストカードやポスター、一筆箋、クリアファイル、バッグなど、オリジナルグッズもそろっています。
なかでも、ビュフェの作品をあしらったTシャツやカレンダーが人気のようです。
長泉町井上靖文学館
井上靖は明治時代に生まれ、『風林火山』『氷壁』『あすなろ物語』などいくつもの名作を輩出した文豪です。幼少から青年になるまでを静岡県で過ごし、15歳から5年間ほど三島・沼津で過ごしていました。
井上靖文学館は、1973(昭和48)年11月25日に開館。代表作『あすなろ物語』の中で、主人公が詠む「寒月ガ カカレバ キミヲシノブカナ 愛鷹山(あしたかやま)ノフモトニ住マウ」という歌にちなみ、この地に文学館が建てられました。
作家存命中に設立された個人文学館として当時は珍しく、大きな話題となったそう。開館後には、井上靖が何度も訪れ読者との交流を重ねたと言われています。
文学館は2階建てになっていて、1階には初版本や限定本などの希少な書籍、原稿や万年筆といった愛用品などが展示されています。
2階の「ミュージアムライブラリー」では、自由に本が読めるスペースも。本棚には、子ども用の絵本から井上靖の作品、長泉町ゆかりの作家たちの作品まで、さまざまな本が並んでいます。
ブックスタンドが置かれた机も利用できるため、静かな空間で読書に没頭したい人にもおすすめです。
また、井上靖について楽しく知ることができる「井上靖検定」にも挑戦してみてはいかがでしょうか。初・中・上級とレベルが分かれており、それぞれ4問のクイズ形式になっています。初・中級は文学館の展示のなかに答えがあり、井上靖の人柄や私生活にまつわる質問が多いので、より身近に感じられますよ。
駿河平自然公園
ビュフェ・エリアのすぐ横には、総面積約43,000平方メートルの広々とした「駿河平自然公園」が広がっています。
自然の地形をそのまま活かし、芝生広場や展望台、自然湧水を利用した池などが点在。園内を横断するように架けられている、長さ130メートルの吊橋(遊々橋)も人気です。
地元では有名な桜の名所でもあり、春には多くの花見客でにぎわいます。四季折々の自然の美しさが満喫できるため、ウォーキングやトレッキングのコースにもピッタリですね。
ビュフェ・エリアからクレマチスエリアへの移動は、この公園を通って行くと15分ほどで到着できます。