地域の方から愛され、知る人ぞ知る岡崎の人気店「洋食 もりい」。
2018年にオープンして以来、ボリューム満点でコスパがよく、待ち時間必須の洋食屋です。今年で5周年を迎えた洋食もりいは、岡崎生まれの新たな素材を使用して、節目に相応しい進化を遂げています。
※2023年4月取材時の情報です。
目次
JR岡崎駅から徒歩約8分。周囲にマンションや住宅が立ち並ぶ中、ひときわ目立つシックな外観が見えてきたら到着です。
今回は、洋食もりいのこだわりや進化を遂げた背景をオーナーの森井優樹さんから伺いました。
目と手の届く範囲で、丁寧な仕事がしたい
洋食もりいがオープンしたきっかけは、愛知県の人気店「れすとらん 仔馬」。森井さんにとって、外食といえば幼少期から同店のハンバーグを家族で食べることだったのだとか。その後、中学生時代の職場体験や高校のアルバイト、さらに従業員として同店で働き、アルバイト時代を含めると約12年間勤めました。
「自分の目と手が届く範囲のスタイルでやりたい。」
れすとらん仔馬で先輩方の考えを吸収したり、社会人としての振る舞いを学んだりするうちに、このような感情が芽生えた森井さん。「例えば、生産者さんや業者さんと直接やり取りができれば自分の判断でお店に取り入れることができるな~と感じて……。」日に日にその想いが強くなり、調理場での知識と経験をもとに森井さんは独立を決意します。
森井さんの話の中で印象的な言葉が、「人(お客様・生産者さん・業者さん・スタッフ)との出会いやつながりが財産だと思っています。」というもの。森井さんにとって前職の経験値だけでなく、人とのつながりと支えがあって独立を決意されたのだなと感じました。
地域の素材にこだわる理由は
岡崎の魅力を知ってもらいたいから
岡崎生まれ、岡崎育ちの三元豚「岡崎竹千代ポーク」を導入
2023年3月から「洋食もりい」で使う豚肉はすべて「岡崎竹千代ポーク」に切り替えました。
岡崎竹千代ポークとは、今年誕生した岡崎生まれのブランド豚です。岡崎市には山間地域に放置された竹林が多くあり、竹にスポットを当てて活用するプロジェクトが始動しています。 その政策の一つとして、竹炭を添加したえさを食べた豚が誕生しました。熟練の経験を持つ食肉市場の職員が1頭ずつ肉質や脂質を確認し、選抜基準をクリアしている豚です。
森井さん:「昨年の秋頃、取引先の永田屋様より岡崎市のブランドポークが始まると教えてもらったんです。ロース肉を試食させていただいた時、脂身に甘さがありつつもしつこくない旨味が素直に美味しいと感じました。岡崎竹千代ポークを使ってハンバーグを作りたい!と純粋に思いましたね。」
森井さんは岡崎竹千代ポークと出会い、もっと多くの人に岡崎市のブランド豚を認知してもらいたいと考えているのだそう。
「いいな!」と思える食材に会うため自分の足で探しに行く
森井さんが地域の素材にこだわる理由は、地産地消を意識することで地域に貢献できると感じているからです。
森井さん:「生産者さんの顔が見える食材を使用することは、消費者の立場からも安心できると考えています。また、生産者さんと交流できる距離感だとリアルな声が聞けたり紹介していただいたりすることもあります。」
実際、森井さんは取引のある酒屋さんから「桝塚味噌」(※)を紹介してもらったのだとか。洋食もりいでは、桝塚みその白味噌を使ったドレッシングを使用しています。
森井さん:「丁寧に製造している風景を見せてもらったことは印象深かったです。素材の良さを活かして大切に使いたいと思うと同時に、生産者の方々と地域で循環できる環境をより意識するようになりました。」
※桝塚味噌とは:豊田市で昭和3年に創業。昔ながらの杉や桧の木桶を使用し、天然醸造を守り続けている歴史深い味噌屋
素材と出会うために、産直市へ出向いたり自分の足で見つけに行ったりしているという森井さん。「いいな!」と思える食材に真摯に向き合うことで、取引業者のさまざまな方が森井さんにアドバイスくれるのだとか。
森井さん:「プロの方がいいと言うことは素直に聞いていますね。これが正しい!という正解はないと思ってるので。積極的に1回落とし込んでみて、試行錯誤しながら自分なりの形に挑戦し続けています。」
木のぬくもりとモダン雰囲気な雰囲気が魅力の
アットホームな店内
洋食もりいはファミリー層が多いため、店内はテーブル席が中心です。
「外から見ると窓がない外観なので、どんな店か分かりにくいと思うんです。だからこそ 店内は明るい色調にして、入りやすさを意識しました。」ランチでもディナーでも老若男女が利用できる雰囲気がとても魅力的。洋食を囲んでお客様が笑い合っている姿が想像できます。
「個人的に外観も内装もとても気に入っています。敷居の高い洋食屋ではなく、町の定食屋を目指しているんです(笑)。お客様にお腹いっぱい食べてもらうことが1番かなって思っているので!」
こちらの建物は、以前は鉄板焼き屋さんが入っていたのだとか。筆者が訪ねた際、店舗の大きさが想像以上で驚いたことをお伝えすると、「当初は店内の広さに不安でした。」と語る森井さん。しかし立地もよく、料理と店舗力も大事だと感じ、「ここしかない!」と決めたのです。
洋食もりいのおすすめメニュー
洋食もりいの一押しメニュー「ハンバーグステーキ」
洋食もりいの一押しメニューは牛肉と豚肉の合いびき肉で作った「ハンバーグステーキ」です。美味しさの秘密は竹千代ポークはもちろん、洋食もりい独自の配合で作る合挽きミンチにあります。毎日その日に使用する分だけミンチにし、一度冷蔵庫で寝かせます。営業前のタイミングで手ごねをしハンバーグのタネにすることで、旨みが流れることなく形状をしっかり保ち、ジューシーなハンバーグになるのだとか。
「竹千代ポークに変更したことで肉の旨味が引き立ち、味が安定しました。竹千代ポークの肉質にばらつきが少ないので、以前よりも同じ品質のものをお客様に提供できると考えています。」 と森井さん。
実食して衝撃だった点は、ハンバーグなのに甘味を感じたこと。森井さん曰く、竹千代 ポークの脂がいいから甘さを感じるのだとか。香辛料も控えめなのでお子さまでも食べやすく、飽きがこない美味しさです!
ちなみに、ランチメニューやセットメニューのパンとライスはおかわり可能。食べ盛りのお子さまやお腹がすいている方にとって十分な量であり、食べ応えのあるボリューム感です。
地元の方から人気!濃厚すぎる「カニクリームコロッケ」
カニクリームコロッケは洋食もりいの人気メニュー。 人気の秘密は、ワタリガニをオーブンで焼いて割り、昆布と合わせた「だし」にあります。
森井さん:「だしがあることでかなり濃厚なコロッケになるんです。オーブンで焼くとだしが出やすくなり、香りも引き立ちます。煮詰めると旨味が凝縮して、カニの甘みとコクが味わえますよ。だしがしっかりしていないと美味しいものができないと思っています。」
筆者はコロッケの中を見て茶褐色であることに驚き、思わず「コロッケの中、白色じゃないんですね……!」と言ってしまったほど。どうやらこの色味は、蟹みその色でもあるのだとか!
カニクリームコロッケは、サックリとした食感はもちろん、噛むたびに濃厚なカニの旨味が口に広がります。中にはカニの身も入っており、大きいものだと2cmほどの身のかたまりも!
「素材の味をそのまま お客様に楽しんでもらいたいなと思っています。」 と森井さんは言います。手間をかけることでカニの旨味と香りが引き立ち、贅沢で品があるコロッケ。地元の方から人気がある理由が納得できます。
洋食もりいの強み!テイクアウトメニュー
洋食もりいではテイクアウトメニューも充実しており、常連の方にとってはおなじみなのだとか。テイクアウト商品は、お弁当と洋食もりいメニューの中から選べます。
お弁当は主に2種類。昼に取りに行くなら前日までの電話予約、夜(17時以降)に取りに行くなら、当日の昼までに予約が必須です。洋食もりいのおすすめメニューが入っているため大変お値打ち価格であり、今では定番化しているのだとか。また今年の4月からは土日15個限定で「マグフーズ中島店」でも販売していますよ。
さらにお弁当だけでなく、店舗メニューの中からテイクアウトが可能です。(スープ以外)
森井さん:「席数が少ないので、どうしても待ち時間が発生することもあります。時間がない方は電話1本で希望の時間にお渡しできるよう、温かい状態でご用意させていただきます。」
人とのつながりを大切にしながら、
素材に向き合ってシンプルにやっていく
素材の選び方や手間のかけ方が細部に渡っており、食材に真摯に向き合い挑戦している洋食もりい。 そんな森井さんに今後の展望を伺いました。
「自分が「いいな!」と思う食材の魅力を引き出し、お客様に美味しいと感じてもらえればそれでいいですね。素材そのものをシンプルに味付けして、お客様から愛されるお店を作っていきたいです。そんなシンプルな考えではありますが、今後は岡崎市を代表する洋食屋 に選ばれたらいいなと考えています。」
5年の節目を迎えるにあたり、岡崎竹千代ポークと出会った洋食もりい。地元の人から愛される理由は、「地域こだわりの食材」と「素材に対して前向きに挑戦し、試行錯誤する姿勢」が料理に表現されているからだと感じます。歴史深い岡崎市に行かれる際は、ぜひ洋食もりいに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。