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今回は、春日井市東野町にある、2021年9月にオープンした和菓子のお店「ひと月 築く」をご紹介します。大切な人への贈り物や季節の行事のいろどりに、自分へのご褒美にも、ぜひおすすめしたい和菓子のお店です。
店舗は春日井市、国道19号線と並行している県道196号線沿いにあり、スイミングスクールの向かい。居酒屋などが並ぶ建物にお店を構えられています。
ネイビーにゴールドをあしらった、まるで海外のお菓子屋さんのような外観に、赤いのれんが印象的。大きなガラス窓からは、店頭に並べられた和菓子や工房の様子が見える開放的な雰囲気です。
和菓子業界ではめずらしい
ニューオープン
老舗が大多数を占める和菓子業界において、新感覚な和菓子店をニューオープンさせた若き店主・高橋築(きずく)さんにお話をお聞きしました。オープンまでのストーリーや、お店のコンセプト、和菓子のこだわりなどをたっぷりとお伝えします。
– 和菓子の世界に入られたきっかけは何でしたか?
高橋さん:「高校ではデザインを専攻、卒業後はかねてから興味のあった調理専門学校へ進学しました。さまざまな料理を学ぶ中で、和菓子の実習があり、そこで自分の作品を認めてもらえたのがきっかけです。」
高橋さん:「手先の技術で美しい形の和菓子を作ることも好きですし、デザインで学んだことを和菓子づくりに活かせるのも楽しいと感じるようになりました。周囲からお褒めの言葉をいただいたのがとてもうれしくて、和菓子の世界にのめり込んでいきました。」
高橋さん:「卒業後は、ご縁あって100年つづく名古屋の老舗和菓子屋に就職。職人として製作のイロハを学び、次第に製作現場を任せてもらえるようになりました。
社長のすすめもあってコンテストなどにも出場しました。そこで賞をいただいたりして、やっぱり和菓子づくりはおもしろい!と、独立して自分のお店を持ちたいという思いが募っていったのです。」
お菓子づくりの中でも、道のりが長いと言われている和菓子修行。7年間の修行で磨いてこられた職人の腕を持って、高橋さんはいよいよ独立開業を決意されました。
-和菓子屋さんの新規オープンはよくあるケースでしょうか。
高橋さん:「めずらしいです。ほとんどが後継ぎで、最近では店じまいをすることはあっても、和菓子屋の新規オープンはほぼ聞いたことがないです。なので、同業の方もよろこんでくれて、みなさん応援してくださるんですよ。」
– 一からのスタート、大変ではなかったですか?
高橋さん:「正直大変なこともありましたが、退職までの1年間で、まず心の準備をしました。専門学校では和食や洋食、和菓子や洋菓子、さまざまなジャンルを学んできたのですが、パンの勉強もしておきたかったので、退職後1年間は春日井の人気パン屋さんでアルバイトをしました。その経験を通して、工房の流れや経営などの勉強もできました。」
夢を叶えるべく、着実に準備をされてこられた若き職人。和菓子業界に新しい風を吹き込んでくれそうですね。
境をなくしたい、
せっかく新しく和菓子屋を
オープンするのだから。
-「ひと月 築く」のお店のコンセプトをおしえてください。
高橋さん:「新感覚な和菓子です。一般的に、和菓子屋のお客様といえば、年齢層はわりと高め。同世代の友人でも、洋菓子屋やパン屋は行くけれど、和菓子屋には行ったことがないと言う人も。そんな若い年代の方にも親しんでもらいたくて、新感覚な和菓子を提供できるように取り組んでいます。」
-和菓子のこだわりをお聞かせください。
高橋さん:「おどろきや発見のある和菓子を創作することです。」
高橋さん:「素材にいいものを使うのはもちろん、ちょっとめずらしいものも使ったりして、こんな食材が和菓子に?意外と合うんだ!とか、おどろきや新しい発見があると楽しいんじゃないかと。」
高橋さん:「例えば最近では、甘みの中のほんのりとした塩気がくせになる”塩糀あん”を使ったお菓子が好評でした。よもぎと白味噌を合わせたあんこのどら焼きもつくりました。、他ではあまりない組み合わせです。」
高橋さん:「また、旬の食材も取り入れて、ひと月ごとに季節の和菓子を用意しています。いつ来ていただいても新しい楽しみを感じていただけると思います。」
ひらめきは、料理からが多いと言う高橋さん。専門学校などで料理について多くを学ばれてこられたからこその経験が、ここに生きています。
-店構えがまるで洋菓子屋さんのよう、斬新ですね。
高橋さん:「イメージはパリのチョコレート屋さん。和菓子屋の敷居の高さのようなものを取りはらいたかったんです。」
高橋さん:「シックでかっこよくオシャレにしたくて、他の和菓子屋さんにはないような、ネイビーにゴールドをあしらいました。ロゴは自分でデザインしたものなんですよ。」
高橋さん:「境をなるべくなくしたくて、外から店内が見える窓を大きくしました。中が見えた方が入りやすいですよね。また店内と工房の間もガラス窓にしました。和菓子づくりを見て楽しんでいただきたいというのもありますし、何より、和菓子がより身近なものと感じていただけるのではないかとの願いを込めています。」
特に若い方に、和菓子を身近に感じてもらいたいと高橋さん。お月見やお彼岸、お正月やお祝い事といった季節の行事などをはじめ、手みやげや普段のおやつにも。気軽に買いに来ていただいて、日常の中で和菓子を楽しんでもらいたいと話してくださいました。