全国から足を運ぶお客さんも多い「喫茶ツヅキ」。名古屋市太閤通りの大門交差点のビル2階に店を構え、今年で78年目を迎える老舗喫茶店です(2024年現在)。
自家焙煎のコーヒーをはじめ、「天井落とし」と呼ばれるカフェオレはそのパフォーマンスが話題となり、連日カメラ片手に行列が絶えません。
そのほかSNSでも話題の人気メニューや、その誕生秘話などご紹介します。
目次
和菓子店から珍しいコーヒーを探求する喫茶店に
喫茶ツヅキ(以下、ツヅキ)は、名古屋駅から徒歩約20分ほどの太閤通沿いの角のビルの2階にあります。
初代の都築近雄(つづき ちかお)さんが昭和21年に創業。当時は和菓子店兼レストランとして営業していましたが、2代目の息子の憲幸さんが昭和60年に喫茶店として引き継ぎました。
世界のコーヒー豆を使った王道のストレートコーヒーをはじめ、意外な組み合わせのユニークなコーヒー、そして話題性抜群のパフォーマンスで、全国から注目を集めています。
ビル1階には当時の様子の写真が壁に飾られていて、一気にタイプスリップしたような気分に……。
店内は観葉植物やカラフルな造花のインテリアに囲まれ、南国気分のような雰囲気。
店内に入ると、数多くのテレビなどの取材を受けてる様子が壁一面に展示されていたりと、全国から話題を集めてることが伺えます。
自家焙煎で1杯ごとにサイフォンで提供。
そのほか変わり種のコーヒーメニューも。
お店の一角には焙煎室があり、自家焙煎して提供しています。豆の量り売り(100g500円~)もOK!
コーヒーは1杯1杯サイフォンで淹れて提供。次から次へと注文が入るため、常にサイフォンはフル回転状態です。
コーヒー豆は、南米コロンビアやブラジルコーヒーのほか、ハワイコナコーヒーや、幻のコーヒーといわれるジャコウネコの糞から出た豆を使用する ” コピ・ルアック ” など、約30種類ほどの世界のコーヒーが楽しめます。
そのほか、「うめぼしコーヒー」「しょうがコーヒー」「ぜんざいコーヒー」「抹茶コーヒー」といった変わり種のコーヒーまで?!一体どんな味か気になりますね!
圧巻のパフォーマンス「天井落とし」は間近で必見!
ここからは、ツヅキの名が全国に知れ渡った「天井落し」をご紹介します。一体どんなものなのでしょうか。
まずカフェオレ(ホット)を注文します。すると、おもむろに店長が脚立とポットを用意して、テーブルまできてくれました。位置が固定したら、カメラ片手にスタンバイOK!
最初は店長のおへそあたりの位置から、右手にコーヒー、左手にミルクのポットを持ち、まずはコーヒーからカップめがけてゆっくり注ぎます。その後ミルクを注いでいきます。
その状態で徐々に腕を高く持ち上げて、最後はまさに天井近くの高さから注ぎます。これがいわゆる「天井落とし」。これだけの高さからだと飛び散りそうですが、そこは熟練の技!
2メートル近い高さから注いでも的確にカップに注がれ、ほぼ飛び散ってないことに驚きです。しかし、天井落しはここで終わりではありません。今度は脚立から降りて「仕上げ」に入ります。
脚立から降りたら今度はカップの上から、残ったコーヒーとミルクを注ぎます。すると不思議!モコモコと泡が山のようにできていきます。これで完成です。
ちなみにこの泡ができる秘密は、高い位置から入れることで空気を含むため、フワフワになるそう。また、味もまろやかになり、30分経ってもなかなか消えないというのもポイントです。
しっかりとコクのあるコーヒーの香りやコクもあり、フワフワの泡とのバランスもバッチリです。
定番モーニングからSNS映えの
人気メニューも
続いて、ツヅキのモーニングをご紹介します(11時まで)。
ドリンク代のみで小倉トーストがついてくる定番のモーニング(470円)のほか、ロールパンのAセット(520円)、明方ハムサンドのBセット(640円)、オープントーストのCセット(710円)から選べます。※定番ドリンク以外のドリンク注文だと差額分の支払い。
続いて、最近SNSでも特に人気のメニューをご紹介。
こちらはタワー状に盛られた生クリームたっぷりの「ウインナーコーヒー(650円)」。
約30㎝の高さの生クリームがのったビジュアルはインパクト大!一方のコーヒーは味はしっかり豆の香りと苦みもあります。
もともと店長が甘党のお友達にふざけて出したら、予想外に喜んでもらえたため、通常メニューで提供することになったそう。
また、こちらはフルーツたっぷりの「プリンパフェ (1,280円)」。フルーツはその時期の季節のフルーツを使い、平均10種類は使っているそう。この日は13種類ありましたよ!また、うずらの卵を使ったプリンはさっぱりとまろやかな口当たりで食べ応えも十分。
お客さんに喜んで楽しんでもらえたら嬉しい
「生きてるコーヒー」が大事
現在のツヅキは主に3代目の秀紀さん、そして母親の2人で切り盛りしています。2代目の憲幸さんはときどきしかお店には出ておらず、ほぼ息子の秀紀さんに任せているそう。
看板メニュー「天井落とし」の誕生秘話や想いをお二人に聞いてみました。
– そもそもなぜ「天井落とし」というスタイルに?
憲幸さん:「昭和48年に東京の『ランズ』という喫茶店のカフェオレが、コーヒーとミルクを別々に入れるスタイルを見て、気に入ってすぐカッパ橋までポットを買いに行ったのが始まりです。もともとは、普通に立った位置からだったけど、約15年前くらいから現在の脚立の高さにまでなりました」
– 通常のコーヒー以外にも変わったコーヒーがたくさんありますね。
憲幸さん:「24歳のときに喫茶店をオープンしたんですが、全国の喫茶店を紹介した本が出たときに楽しくて、北海道から九州の喫茶店を研究のためにまわりました。いいところを取り入れようと、日夜コーヒーを研究して、ぜんざいや梅干しのコーヒーなども出しています。ただ単にコーヒーとあわせても美味しくない。豆が大きくて美味しい「生きてるコーヒー」だと何でも合います。冷めて酸味や苦みが出てくる豆は死んでるんです」
現在主に店を切り盛りしているのは、3代目の秀紀さん。次から次へと注文が入る品を手際よくこなしています。その合間には天井落としのパフォーマンスと、休む暇もないほどの忙しさです。
– 実際「天井落とし」のパフォーマンスを見て、飛び散らないのでビックリしました
秀紀さん:「今日はよかったです(笑)。体調が悪いとうまくいかないときもあります」
– 喫茶店は最初から継ごうと思っていたんですか?
秀紀さん:「全然思ってなかったです。いろんな違う仕事をしていたけど、その経験があったからこそ今があるって感じです。いろんなものを吸収して今に活かされてると思います。最初はすごく大変でした。地元のお客さんばっかりで人数も今より全然少なかったし、観光客もほぼいなかったし……。時代と共に増えていった感じです。」
– お店のコンセプトや今後こうしていきたいなどありますか?
秀紀さん:「とにかくお客さんに楽しんでもらいたい。今後も喜んで楽しんでもらいたいので、そういったメニューも考えていきたいです」
どんなに忙しくても、天井落としのパフォーマンスではお客様に声をかけてサービス精神も行き届いた秀紀さん。これからも家族で長く営業して欲しい喫茶店です。