今から72年前、1950年に福岡県博多に生まれた日本で最も古いメキシコ料理店「ロシータ」。この姉妹店である名古屋店は、2022年2月にオープンしました。
手作りのメキシコ家庭料理を提供しているロシータ。一番人気のタコスや辛さを調整できる付け合わせなど、細部までこだわり抜いた本場メキシコ料理が味わえます。
名古屋市東区、地下鉄東山線「新栄町」から徒歩5分と、立地のいい場所に突如現れるカラフルな外観が目印。
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ロシータ東桜店は、72年前に福岡にお店を作った「ロシータおばあちゃん」のひ孫にあたる木野さん兄弟によって運営されています。
ロシータおばあちゃんの代から、家族4代にわたって続いてきた歴史あるお店です。そんなロシータの歴史や料理のこだわりについて、店長の木野さんにお話を聞きました。
メキシコ料理ロシータ 72年の歴史
レストラン「ロシータ」のはじまりであるロシータおばあちゃんは、開拓移民として30年間メキシコに住んでいた日本人です。日本に帰国したときは朝鮮戦争の最中で、ロシータおばあちゃんは米軍の通訳をしていたといいます。
アメリカでも馴染みのあるメキシコ料理。米軍からの「タコスが食べたい」の声に応え、72年前に博多でメキシコ料理店をオープンしました。
木野さん:「ロシータおばあちゃんの孫の旦那さん、つまり僕のお父さんがロシータおばあちゃんの料理に惚れ込み、約20年修行しました。僕も福岡で生まれ育ちましたが、父のもともとの地元である豊田に店を持ちたいと、ロシータの姉妹店を豊田にオープンしたのが13年前のことです。」
木野さんは生まれたときから両親の働く姿を見て育ちました。小さな頃から店の手伝いもしていたと言います。そして今年、木野さん兄弟に店を任せる形で満を持して名古屋に進出したのです。
木野さん:「ロシータがあるのは博多の中でも一番の繁華街・中州です。ロシータは中州の中で知らない人はいないほどの有名店なんです。味に自信があるので『せっかく愛知に進出したんだからいつかは大都市・名古屋で挑戦したいね』とずっと話していました。それが今年やっと叶ったんです。」
こうして親子4世代にわたり、ロシータの味が受け継がれてきたのです。
ロシータのこだわり3つ
おばあちゃんがメキシコで作っていた「家庭料理」
ロシータおばあちゃんが作っていたのは、メキシコのレストランで出される料理ではなく「家庭料理」でした。そんなロシータの料理にはこだわりが3つあります。
こだわり① お子様でも食べられるように辛味は後から調整
メキシコは唐辛子大国。料理も辛いものが多いそうですが、ロシータではお子様から大人まで幅広い年代の人に楽しんでもらうために、料理はすべて辛くしていません。
その代わりに、無料でついてくる3種類の付け合わせで辛さを調整できるようにしています。この3種もかなりこだわったものなんです。
右が辛味レベル1のたまねぎの酢漬け。爽やかな酸味があるので、しっかり味のメキシコ料理の合間に食べると、箸休めにちょうどいい!
左の赤いものが辛味レベル2のサルサソース。他店ではトマトベースで作られることが多いですが、ロシータでは鷹の爪ベースで作っています。マイルドな辛味とうま味がタコスの味を引き立たせます。
奥が辛味レベル3のハラペーニョ。こちらはお酢と10種類以上のスパイスに1年以上漬け込んだものです。ただのお酢に漬けているだけではないので、辛味の中にもうま味のある深い味わい。辛いけど、クセになる一品です。「これだけ買って帰りたい」というほどのファンもいるのだとか。
こだわり② トルティーヤ1枚からすべて手作り
「手作りじゃないものは1つもありません」と木野さんが言うように、ロシータで提供するものはすべて手作り。
トルティーヤも1枚ずつ手で伸ばして作っています。前述のハラペーニョも、手作業で大きな樽に1年以上漬け込こんだものを提供しています。
こだわり③ 日本人の口に合う
ロシータおばあちゃんは日本人なので、あくまでも日本人の口に合うものを提供しています。たとえば、メキシコのトルティーヤはとうもろこし粉を使って作りますが、日本人にとってはややクセがあると感じる人も。そのため「タコスが苦手」という人もいるのですが、ロシータでは日本人の口にも合うように小麦粉を使用しています。
アメリカでは小麦粉を使ったトルティーヤも食べられているそうです。あまりクセがなく、日本人の口にも合うように作られているのがロシータのメキシコ料理です。
普通のメキシコ料理とはちょっと違う⁉
ロシータおすすめメニュー
ロシータおばあちゃん仕込みのこだわりがたくさん詰まっているロシータの料理。メキシコの家庭料理を出しているため、他のお店では味わえない、ちょっと珍しい料理もあるんです!木野店長におすすめメニューを聞いてきました。
皮はサクサク!中は意外とさっぱり!「ロシータ名物タコス」
一番人気はやっぱり定番のタコスです。しかし、ロシータのタコスは一味違う!こちらのタコスは皮を揚げているので、サクサク食感。中には牛ミンチが入っています。
揚げてあるのに意外とさっぱり。そして、何個でも食べてしまえそうなくらい病みつきになるおいしさです。このままでも十分おいしいのですが、3種の付け合わせとともに食べるとさらにうま味が増しますよ。ロシータに来たら、まずはコレ!という1番の人気商品です。
2番目に人気!「チョリーソコンウエボス(トルティーヤ付き)」
こちらは2番目に人気のチョリーソコンウエボス。牛と豚の合い挽き肉に、数種類のスパイスを使って深みのある味わいを出しています。
こちらはトルティーヤに包んで食べますが、その包み方を木野さんが教えてくれました。
まずトルティーヤを半分にちぎり、三角にたたんでいきます。
三角形になりました。
最後に下を少し折り込んだら完成です!
ポケット状になったトルティーヤの中に、先ほどのチョリーソコンウエボスとお好みで付け合わせも入れます。チョリーソコンウエボスはしっかりパンチの効いた味。トルティーヤはクセがなく、やわらかく、しっかり味の具材とも相性抜群です。
お酒のおつまみに最適!「ナチョス」
こちらのナチョスはトルティーヤと同じ生地を揚げたものです。上にかかっているチェダーチーズは、ほんのり甘みがあり、くどくなくやさしい味わい。しっかり塩気も効いているので、お酒のお供にもぴったりです。
バラエティー豊富!「メキシコのビール」
ロシータでは、ちょっと珍しいメキシコのお酒も各種取り揃えています。メキシコのビールは常時約6種類を取り揃えています。メキシコは暑い国なので、ビールはあっさり目の軽やかな味わい。さっぱり飲めるので、女性にもおすすめです。
その他、テキーラやスパークリングワインなど、お酒の種類も豊富に取りそろえています。わからないことは何でも木野さんに聞いてくださいね。
最後に木野さんに今後の目標を聞いてみました。
木野さん:「かつてイタリアンブームがあったように、日本にメキシカンブームを作りたいです。今後は全国展開をして、おいしいメキシコ料理を世の中に広めたいと思っています。そうすることが、ひいおばあちゃんへの恩返しでもあると思っています。」
ひいおばあちゃんの代から脈々と受け継がれてきたロシータの味。おばあちゃんのやさしい家庭料理を味わってみてはいかがでしょうか。