不美人画家「石松チ明」が描く、愛らしくも毒のある世界
目次
作品紹介
今回は石松さんに解説していただきながら、展示されている24作品の中からピックアップしてご紹介していきます。
石松さん:「この作品は、恋に落ちる瞬間を描いています。恋に落ちるときってどんなときかな?って想像したときに、絡まったヘッドフォンのコードをほどいてくれるときかな?って思ったんです。虚ろな目、持っているソフトクリームは今にも溶け落ちそう。一匹の虫が彼女の前を通り抜け、風が吹く様子を絵にしています。」
石松さん:「この作品は、天使であるにも関わらず人間に体を弄ばれてしまうみじめさを描いています。頭にペットボトルをのせられたり、羽にタバコをつけられたり。天使を遊ぶのは普通の人間ですが、男性を神様として神格化した絵でもあるんです。」
石松さん:「逃してやらないというシリーズです。醤油差しやペットボトル、コンタクトケースに小さな女の子を閉じ込めてしまっているんです。」
石松さん:「今回の作品で特に気に入ってる作品が、ラブホテルを題材に描いたものです。ずっと構想はあったのですが、ようやく自分の中でラブホテルのイメージを昇華することができました。鳥のように空を飛んでみたいけど、人間は空を飛ぶことができません。空を飛びたいと願う男の子と女の子。ラブホテルというファンタジーと現実が交差する場所を題材に表現しました。」
そのほかにも、お弁当の具材にされちゃう女の子や、大仏と抱き合うほど大きな女の子。いい大人なのに誘拐されちゃう女の子など、切なくて、だけど愛おしくてユーモアがある。石松さんの作品は「不美人画」という強烈なテーマを通じて、見るものに美の多様性を問いかけると同時に、見れば見るほどその世界観に引き込まれる独特なかわいさと毒っぽさを秘めています。
気を抜くとすぐに美人に描いてしまうという石松さん。今後は本の装丁にも興味があるのだとか。これからの活躍もますます目が離せません。
石松さんありがとうございました!