2022年12月、行列のできる超人気店「スパイスカレーあかつ亭」が、名駅から大須観音に移転リニューアルオープンしました。
ランチはスパイスカレーを、金・土曜日の夜限定でネパールの定食的存在「ダルバート」を提供するお店です。
※情報は取材時のものです。
ご利用の際には、各施設・各店舗の最新情報をご確認ください。
目次
お店は地下鉄鶴舞線「大須観音駅」2番出口から、伏見通沿いに南へ徒歩5分のところにあります。
木を基調としたカウンター席とテーブル席が並ぶ落ち着きのある店内。
あかつ亭はご夫婦二人だけで運営されています。その温かい接客とおもてなしへの評判も高く、料理だけでなくお二人の人柄までも伝わってきます。
今回は店長の赤坂さんに、料理のこだわりやネパールの「ダルバート」にかける想いについて聞いてきました。
あかつ亭のルーツ・料理好きと間借り営業
赤坂さんのルーツはもともと大好きだった料理。料理だけは子どもの頃から唯一続けているものだと言います。
赤坂さん:「小学校低学年くらいですでに料理をしていました。大人になり会社に勤めていたものの、音楽フェスも好きで『フェスで料理を出したら楽しそうだな』となんとなく思いはじめたんですよ。そして料理好きが高じて『スパイスからカレーを作ってみたい』と、徐々にカレーも作るようになっていきました。」
そして偶然の出会いが重なり、ある時知人の出店を手伝うことに。その時に「ワンデーシェフ(レストランなどを借りて1日だけ料理を提供すること)」という存在を知り、カフェやレストランでの「間借り営業」がはじまります。この頃からカレーを提供していました。
仕事をしながら間借り営業を続け何年か経った頃、ネパールで運命の出会いを果たします。
ダルバートにかける想い
赤坂さん:「バックパッカーをしていた経験もあり、ネパールはいつか行ってみたい国のひとつでした。そして実際にネパールへ行ったとき、そこで食べたダルバートに衝撃を受けたんです。その後半年くらいは『もうダルバートしか作りたくない』と思うほど虜になってしまいました。」
「ダル」は豆のスープ、「バート」はご飯のこと。ネパールでのダルバートは、特別なご飯ではなく毎日当たり前に食べる日常食だといいます。
赤坂さん:「ネパール人は毎日朝晩ダルバートを食べるんです。本当にありふれた日常のもので、ご飯と味噌汁が定番の日本人にも通じるものがあるように感じました。」
毎日食べるものだから飽きがこないシンプルな味わい。けれど、おおらかな性格のネパール人が作るダルバートは店によって全然味が違っていて、そこもまたおもしろかったのだとか。
赤坂さん:「現地で食べたダルバートが本当においしかったのはもちろんですが、シンプルにネパールが大好きなんです。人々は穏やかで、のどかでほっとする田舎のような場所。そんなネパールの味を日本人にも知ってほしいと思います。」
このような経緯もあり、赤坂さんは「ダルバートはあかつ亭の原点」と語ります。赤坂さんは本場ネパールの味を大事にしつつ、日本人の口に合うようにと工夫をしています。とは言え、余計なアレンジはせず、少しだけ日本人に寄り添うように気を付けているそうです。
あかつ亭おすすめメニュー①
ダルバート
そんなあかつ亭の一番のおすすめは何といっても「ダルバート」です!
ダルバートは「ご飯と豆のスープ」のことを指しますが、そこに付け合わせや野菜のおかずなどが入り、定食のようになったものも含まれます。
まずは食べ方を説明しましょう。
最初に、こんもりと盛られたご飯を崩します。こうすることで、ダル(豆のスープ)が絡みやすくなります。
ご飯はジャスミンライスと日本米をブレンドしたもの。ネパールではもっとパラパラのお米を食べますが、もちもちした日本米を食べ慣れている日本人に合わせてこの配合にしています。
そして、崩したご飯の上にダルをかけます。まずはこのダルとご飯を味わい、それからおかずを一品ずつ混ぜて食べていきましょう。ネパールでは混ぜて食べるのが基本のスタイルです。
ダルは定番中の定番であり、とても奥が深い料理。味に深みを出すために、あかつ亭では3種類の豆をブレンドしています。
そして、日本人の好みに合わせてとろみを強くしているのも特徴。スパイスがガツンと主張するのではなく、とてもやさしく飽きのこない味わいです。現地の人が毎日食べているものというのもうなずけます。
それから周りのおかずも一緒に食べていきます。じゃがいもとカリフラワーのタルカリ(炒め物)とサグ(青菜炒め)。サグはにんにくとクミンで炒めただけのシンプルなものなのに、とても味わい深く驚きます。
ミックス野菜と小魚の付け合わせ。ネパールは山岳地帯ですが、川魚を食べる文化があるそうです。魚のだしがきいています!
トマトとピーナッツのアチャール(付け合わせ)。トマトの酸味、ピーナッツの甘みがアクセントになります。
そして、特筆すべきはこちらの「グンドゥルック・サデコ」。ネパールには発酵食の文化があり、こちらは青菜を発酵させてから乾燥した保存食です。発酵食だけどしょっぱすぎず、独特の香りと深みがあり、クセになるおいしさ!
赤坂さん:「ネパールの料理は滋味深くて、特に発酵食文化がすごいんです。これにやられましたね。」
赤坂さんがこのように語るのもうなずける一品です。
ダルバートにはオプションでカレーがつけられます。数種類ある中から、おすすめの「ネパールヤギカレー」をチョイス。
肉の臭みはなく、ほろほろになるまで煮込んであるお肉が絶品!パンチのある味も、やさしいダルバートのアクセントになります。
あかつ亭おすすめメニュー②
スパイスカレー2種盛
次はランチで提供しているスパイスカレーをご紹介します。ランチでは1種盛から3種盛まで選択可能。その日によって異なる3種類のカレーから選択できるシステムです。
今回は2種盛をいただきました。あかつ亭定番メニューの「大根とサバのカレー」と「チキンマサラカレー」の2種類です。
「大根とサバがカレーに⁉」と意外な組み合わせに驚くかもしれません。実は、このカレーには意外な誕生秘話があります。
赤坂さん:「残っていた大根とサバの煮物にインドカレーをぶち込んでみたら意外とおいしかったんですよ(笑)それで、このメニューが誕生しました。」
こうして、大根とサバのカレーは間借り営業時代から続いているあかつ亭の定番メニューとなっています。
だしの豊かな香りが漂ってきて、その香りはカレーとは異なるものでした。かつおだしがベースで、サバからもだしが出ているのでとても深い味わいになっています。大根とサバ、そしてカレーがこんなに見事にマッチするものとは!と驚かされる一品。このカレーのファンも多いのだとか。
もう一つの「チキンマサラカレー」は北インドのカレーがベースになっています。赤坂さんがインドカレーにハマるきっかけとなったレシピをアレンジしたものだそうです。スパイスのパンチがきいていて、ガツンときます。食べているとじんわりお腹が温かくなってきます!
4種類のアチャール(野菜の漬物や付け合わせ)とともにいただきます。これらは北インドやスリランカなど、さまざまな地域のものを作っているそうです。いろいろな味を楽しめて、カレーを飽きずに最後まで食べられます。
あかつ亭の料理はどれも辛くなく、スパイスもごく少量しか使っていません。そもそもインドやネパールで、スパイスは「素材の味を楽しむ」ために使うシンプルなものが多い、と赤坂さんは言います。
赤坂さん:「あかつ亭ではスパイスカレーをメインに提供していますが、ぜひ原点であるダルバートも食べに来てください。ここまで本格的なネパールの味を提供しているのはうちだけという自信のある一品です。名古屋でもダルバートがもっと知られるように、これからもブレずに自分たちのやりたいことをやっていきたいですね。」
スパイスカレーはランチで、ダルバートは金・土曜日の夜限定で提供しています。開店前から行列ができる人気店なので、余裕を持ってお越しください。