1966年(昭和41年)創業の「春日井温泉」は、14種類の風呂を楽しめる愛知県最大級の公衆浴場(銭湯)。鯉が泳ぐ池や滝を眺めながら入浴できる、庭園露天風呂も代名詞のひとつです。
2023年11月にはリニューアルが施され、サウナ好きにとってもさらに魅力的な施設に!“町のお風呂屋さん”としての魅力も残しつつ、アップデートを続けています。
目次
鯉が泳ぐ庭園を眺められる
露天風呂は圧巻
JR中央本線の春日井駅から北へ徒歩10分ほどの場所にある「春日井温泉」。約75台駐車可能な大型駐車場も完備し、車でも公共交通機関でもアクセスしやすい立地です。
設備が充実した施設でありながら、中学生以上500円(サウナは+150円)、小学生180円、小学生未満100円という料金で入浴できるのも魅力。
案内していただいたのは3代目となる、渡辺成祐(わたなべせいすけ)さん。成祐さんをはじめ、春日井温泉を守る渡辺一家はこぞってお風呂好き・サウナ好きとのことで、プライベートでもよくほかの温浴施設に出かけるそう。これはかなり期待が持てます!
脱衣所は広々としていて、ロッカーひとつひとつも大きめ。なにより清潔感が抜群です。ちなみに、女風呂にはベビーベッドが置かれていました。
さっそく浴室へと向かいましょう!春日井温泉の代名詞ともいえる庭園露天風呂がさっそく目に飛び込んできて、テンションが上がります。
この素晴らしい露天風呂を語らずして「春日井温泉」を語ることはできません。優美に流れ落ちる滝と、滝壺を悠々泳ぐ錦鯉たちを眺めているだけでととのってしまいそう。
「構図」が完璧であり、どこから眺めても絵になる風景。後からたっぷりとお伝えしますが、サウナ後の休憩がこれほど気持ちいい銭湯は全国を探しても数少ないのではないでしょうか。
露天風呂がフィーチャーされがちな「春日井温泉」ですが内湯も充実。岐阜の池田さくら温泉から運ばれてきた天然温泉を湛えた浴槽をはじめ薬湯、電気風呂、ジェットバスなどさまざまな湯がそろっています。
浴槽の数は男女それぞれ合計14種類と、スーパー銭湯も顔負け。ワンコイン500円でここまで楽しめるとは……!
2023年にリニューアル!
噂のサウナに突入!
2023年11月にリニューアルを果たした「春日井温泉」。一番大きくアップデートしたのがサウナ室です。入浴料500円に+150円支払うことで利用可能。
メインの高温サウナは、銭湯のサウナとは思えないほど広々としています。温度計は87度を示していましたが、湿度が高いためか体感的にはそれ以上に感じます。
成祐さん:「ここ数年はサウナを趣味にされている方にも多くご来店いただいていたので、よりストロングなサウナを楽しんでいただきたくて。今回のリニューアルでは、定期的に風が出る仕組みを取り入れました」
こちらの高温サウナは熱源を足元や壁に格納した「ボナサウナ」というタイプ。全身がむらなくあったまる感覚を受けました。女性サウナは男性サウナよりやや小さいものの、セッティングは男性サウナと同じとのこと。女性サウナーもきっと満足できるはず!
男風呂にもうひとつ存在するサウナが「高温蒸し風呂」。いわゆるミストサウナですが、天井の中央から常にミストシャワーが降り注いでいてかなり熱い!世間的には“癒し系”のミストサウナが多いなかそれらとは一線を画しており、しっかり汗をかくことができます。
なにはともあれ腰を据え、ようやく熱さと湿気に慣れ始めた頃に突如として「ブシャーーーーー!!」とすさまじい轟音が!!
サウナ室内はモクモクだったのでたぶん誰にも見られていないと思いますが、驚きのあまり大げさなリアクションをしてしまいました。恥ずかしい……。
どうやら一定の湿度を下回ると、自動的にシャワーが噴出してさらに体感温度を上げてくれるようです。鬼のような装置(褒め言葉です)。
一方、女風呂には美容効果にも期待ができる「塩サウナ」があります。温度はおよそ75度で、高温サウナと比較してじっくりと蒸されることが可能。2種類の個性が異なるサウナをうまく使い分けることで、さらなる満足を得られそうです。
サウナに欠かすことができない、水風呂も春日井温泉の自慢のひとつ。水質の良い井戸水を汲み上げて、贅沢にかけ流ししています。
ひとつの水風呂は井戸水をそのまま湛えており、水温は約18度。もうひとつの水風呂は、冷却装置を使用して14~15度まで冷やしています。2種類の水温から選べるのはなんともうれしい!
成祐さん:「井戸水は水質が柔らかく、とても入りやすいと思います。サウナビギナーの方にもぜひおすすめしたいです」
美しい庭園露天風呂が自慢の「春日井温泉」において、水風呂の後の外気浴がサイコーなのはサウナーのみなさんにはもはや説明不要でしょう。インフィニティチェアも男女それぞれに設置されており、ディープリラックスできます。
女風呂の少し奥まったスペース(塩サウナの付近)には、露天風呂とは別にサウナ後の休憩スペースが設けられています。開放的な露天風呂より、気候によってはこちらのスペースの方が落ち着く場合もあるかも。こういった細かい配慮と選択肢があるのがとてもGoodですね。
毎日通いたい「ホーム銭湯」であり続ける
湯上り後、めちゃくちゃととのうことができたことを伝えると……。
「でしょ~!最近は若い子がよく来てくれるの。昔はサウナハットをかぶっている子なんて少なかったけど、今はもう当たり前ね。でも、若い子たちは常連さんともコミュニケーションを取り合ってくれるし、洗い場やサウナ室も譲り合って使ってくれるからとっても雰囲気がいいの!」
そう元気に話してくれたのは、女将の渡辺優子さん。「春日井温泉」の3大名物が「庭園露天風呂」「上質なサウナ&水風呂」「岐阜から運ぶ天然温泉」だとするならば、その次は「女将」かも。
女将:「お客さんとトークする時間は、家族の中で私が一番長いです。私が番台にいないときに『女将さんいますか?』とか『おばちゃんいますか?』ってコールがかかることもしばしばあって(笑)。会社の愚痴から受験の悩み、恋バナまで色々なことを聞いています。そういうコミュニケーションができるのも、“お風呂屋さん”ならではなのかな」
ゆくゆくは3代目として春日井温泉を担うことになるであろう、成祐さんへの期待を尋ねると「息子たちの代でどんどん新しいものを加えてもらって、春日井温泉がもっと幅広い年齢層の方に愛される存在になれば」と女将は答えてくれました。
成祐さん:「都心のサウナ専門施設ですと入浴料だけで1,500円をオーバーするところが多く、毎日は通いづらいですよね。うちは『毎日行きたい』って思っていただける『ホーム銭湯』『ホームサウナ』であり続けることを目指しています」
休日は趣味と勉強を兼ねてほかの温浴施設で汗を流すことも多いという成祐さんに、改めて「推し」を尋ねてみました。即答してくれるかと思いきやしばらく考え込み、最終的に出た答えは「やっぱり春日井温泉」。
成祐さんをはじめとする渡辺さん一家とともに歩み、時代に合わせてアップデートを続けている「春日井温泉」は本当の意味での「ホーム銭湯」なのだと思います。