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尾張一宮駅から車で10分ほどの場所にある、オーダー家具とインテリアの店「LUFT」。フルオーダー対応のオリジナル家具を中心に、照明・カーテン・ラグなどのインテリアアイテムをトータルで提案してくれるお店です。すべて日本国内でつくられるこだわりの家具は、オープンして約3年ながらも、着実にファンを増やしています。
今回は代表の田畑 正臣さん、中村 美香さんご夫婦にお店に込めた想い、家具へのこだわりなど、じっくりとお話を伺ってきました。
商社を辞め、インテリアの道へ
LUFT代表の田畑 正臣さん
奥様でありインテリアデザイナーの中村 美香さん
今年の6月で3周年を迎えるLUFT。なぜインテリア関係の仕事に携わるようになったのか、お店の誕生経緯について教えていただきました。
田畑さん:「大学を卒業後、事務用品やオフィス家具を扱う商社に3年ほど勤めていました。しかし、自分がやりたいと思っていたこととは随分と違っていたんです……。一度きりの人生、自分のやりたいことをしよう!と、以前から興味があったインテリアの道に進むことを決心しました。愛知県のインテリアショップに転職し、11年間ほどお世話になり、後半の8年間は店長を経験させてもらいました。妻と出会ったのもこのお店で、ともにコーディネートなどを手がけていました。本当にたくさんのことを学ばせてもらいましたね。」
珍しい多肉植物や観葉植物なども取り扱っています。
大規模展開で安価な製品を販売する「ファスト家具店」が増えている中、あえてオーダーメイド家具にこだわるLUFTの背景には、インテリアショップでのお二人の経験がありました。
美香さん:「以前のお店では、主に既製品をコーディネートしてご提案していました。ですが既製品の家具だけだと、「もうちょっとサイズが小さければ……。」「もう少し色が部屋に合っていたら……。」など、少なからず妥協を持って買われていくということが多かったんです。また、前職でもオーダーメイド家具の製作に携わっていて、得意分野でもありました。作り上げていくやりがいもありますし、お客様の満足度も高かったです。なので、オーダーメイド家具の専門店があっても良いんじゃないかなと思いLUFTをつくりました。」
空気のように暮らしに溶け込む
お店に入ると、清々しいアロマの香りと、鮮やかなグリーンが出迎えてくれます。
続いてお店のコンセプトについてお伺いしました。
田畑さん:「LUFTは、デンマーク語で「空気」という意味です。まるで空気のように違和感なく暮らしの中に溶け込む、空間と調和したインテリアを提案したいという想いが込められています。LUFTのオーダー家具は、洋服ならオートクチュールですね。生地を選ぶように素材を吟味し、ボタンを選ぶようにパーツや仕様をアレンジして、個々にフィットする家具をつくっていく。オートクチュールのように「仕立てる家具店」がLUFTのコンセプトです。」
デンマークのフレグランスブランド「SKANDINAVISK(スカンジナビスク)」 ディフューザー¥8,000 キャンドル¥2,500
美香さん:「私は空気感も大切にしたいと思っています。家具だけではなく、お花やグリーン、ディフューザーの香りなど、空間の細かな部分のコーディネートにもこだわりたいですね。お店に来られた方にも、少しでも寛いでいただけるよう、アロマの香りを取り入れるなど、雰囲気づくりにも気を配っています。」
徹底したヒアリングと
チームワークで作り出すオーダー家具
LUFTでは、小さな棚一つから大きな壁面収納まで、様々なオーダー家具に対応しています。家具づくりをする上で心がけていることを教えていただきました。
田畑さん:「オーダー家具は完成品を見てご購入いただくものではないので、本当に思い通りのものができるのか不安も大きいと思います。その不安を払しょくし、安心感を持っていただくために、しっかりとしたヒアリングと、プレゼンテーションを大切にしています。家族構成、ライフスタイル、趣味などをしっかりとヒアリングさせていただいて、その方にベストな提案を考えていきます。」
ご提案資料
田畑さん:「また、一般的には、簡単にラフスケッチでのご提案という事も多いですが、あまりイメージだけで進めてしまうと、最後に辻褄が合わなくなってしまうこともあります……。僕らの場合は、最初の段階から、設計の部分、つくり方、収まりなど細かなところまで考えて図面化しています。妻は空間のイメージづくりやデザインが得意なので、それを元に僕が図面化して組み立てていくという役割分担で進めています。」
オーダー家具施工事例:オーク材の下駄箱収納。
美香さん:「ご来店いただいたお客様を最初どのスタッフが対応させていただいたとしても、ご提案はスタッフ全員で練り上げています。男性目線・女性目線それぞれのいろいろな意見やアイディアを盛り込んで出来上がっていく。そういったチームワークは強みかなと思います。」
信頼できる家具職人の存在
家具工場の様子
家具工場の様子
そしてもう一つLUFTの要となるのが、家具職人です。LUFTのオーダー家具は、信頼できる国内の提携工場や、経験豊富な家具職人たちのもとで製作されています。北海道から九州まで全国10社以上とタイアップしています。
田畑さん:「LUFTの家具はすべて国産にこだわっていますが、ただ日本製だから、家具産地でつくられているから良いものとは思っていません。なので、提携工場を見つけるのには、とても時間がかかります。オーダー家具なので細かな指示も多いですし、求める品質も高いので、試作の段階でだめになることも……。ですので、今お付き合いさせていただいている提携工場や家具職人さんは、技術力も高く、信頼できる方ばかりです。」
無垢材をシェブロン状に貼り合わせた扉が特徴のリビングボード。
田畑さん:「最近では、日本の家具産地は、中国や東南アジアの安価な海外製品に市場を奪われ、さらには高齢化、後継者不足が深刻で、今までにない苦境に立たされています。私の15年ほどの家具業界でのキャリアの中でも、よい工場や工房がどんどん消えてしまっています。本当に残念なことです。小さな店ですが、微力ながら日本のものづくりを支える一助になればと思っています。」
長く愛せる家具を適正価格で提供したい
オリジナルソファSelma 3P Sofa ¥265,000とリビングテーブルLEON Living Table ¥75,000
また、LUFTが全国の提携工場で製作しているのには、こんな理由もありました。
田畑さん:「自社で職人さんが工房で、すべて一からつくるオーダー家具というのもありますが、製作できるキャパも限られてしまいます。また、十分な設備が整わない個人家具工房などでは、機械と同じ加工をするにも手作業による加工が多くなってしまい、コストが跳ね上がってしまうことがあります。逆に、大きな生産ラインを組んでいる家具メーカーでは、低コストで大量生産できる反面、細かなオーダーメイドには対応できないというデメリットがあります。LUFTでは、伝統的な手作業の部分と、機械設備でカバーできる部分をうまく融合させて、適正価格でオーダー家具をご提供したいと考えています。ご相談やお見積もりも無料で承っています。」
取手部分は、真鍮作家さんによるハンドメイド。
そして適正価格でご提供したいという想いは素材にも関係していました。
田畑さん:「基本的には天然木を使用していますが、無垢材が絶対ではありません。突板などのフラッシュ構造は、安物家具の代名詞のようになってしまっていますが、デザインによっては突板の方が適している場合もあります。お客様からご要望があれば、プリント材を使うときも。無理に無垢材を使うことによってコストが跳ね上がってしまうこともあります。家具は作品ではなく、日常で使うものなので、適正価格というところは常に意識していますね。なので、素材も臨機応変に選んでいます。」
キャビネットの柄の部分は、クッションと同じファブリックが貼られています。
美香さん:「デザインの視点でも、木だけにとらわれずに、色んな素材を柔軟に取り入れていきたいと思っています。例えば、ファブリックを取り入れてファッショナブルな感じに仕上げてみたり。そういうアイディアや工夫を加えることで、お客様の想像よりも一歩先のご提案ができるように心がけています。オリジナリティーや特別感もお客様の満足感につながると思うんです。」