店主がカフェと工房をセルフビルド。のどかな田園風景の中で、つくる楽しさを体験できる「木工房&カフェ 結(むすび)」

関ヶ原町
掲載日:2018.06.01

カフェも4年かけてセルフビルド

カフェ結(樽井町)

続いて「カフェ結」についてお話を伺いました。こちらも黒川さんの手によって、セルフビルドで建てたもの。セルフビルドとは、「自分たちでできるところは自分たちでつくる」という考え方です。

黒川さん:「木工房で木工教室やワークショップを定期的に開催していました。そこでつくったものを展示したり、みんなでつくったものを見ながら話せる場所が欲しいと思うようになりました。そこで木工房同様、セルフビルドでカフェをつくりました。学校の仕事が始まるまでの昼の時間帯しか作業ができないので、完成まで4年くらいでしたね。

カフェの塗り壁や、半屋外のギャラリースペースの三和土(たたき)は、SNSで呼びかけたワークショップで、多くの人と楽しみながらつくりました。こうした体験は今ではレジャーの一つなんですよね。都市部ではなかなかできないですし、田舎でも一から自分で準備するのは大変です。他にも、ピザ窯づくり、小屋づくりなど、「こんな暮らし方、遊び方もどうですか?」というライフスタイルを提案するワークショップを定期的に開催しています。」

塗り壁セルフビルドセルフビルドの様子
ワークショップの様子
ワークショップの様子
ワークショップの様子ワークショップの様子
セルフビルドで建てれたピザ窯外にある石窯もワークショップでつくりました。ピザを焼いたりしているのだそう。

黒川さん:「建物のテーマは「シンプル」です。長方形の片流れという一番シンプルなデザインで建てました。また、できるだけエネルギーを使わないようにするために、南北は狭くなるよう細長い形状にしています。真冬でも日差しが奥行きいっぱいまで差し込むように計算されているので、寒い季節もストーブ一台でぽっかぽかですよ。」

薪ストーブ

黒川さん:「もう一つのテーマは「天然素材しか使わない」。新建材は使わず、窓枠から家具まですべて木材でつくりました。壁は昔から日本でよく使われている土壁を採用しています。下地として竹を貼り、その上から藁(わら)の入った土を塗っています。左官のプロから見ると、ひび割れを減らすためにこの上からもう一塗りしなければいけないのですが、このひび割れも味わいがありますよね。こうした手作り感もセルフビルドの魅力ですね。」

木の勾配天井天井まですべて木でつくられています。
木のドアのぶ
ドアノブも黒川さんのお手製。優しい木の質感が魅力的です。
藁が入った土壁ワークショップで塗った土壁

カフェがあることで、
木工製品や家具のイメージができる

木工房結の家具

黒川さんの木工製品

カフェの中にあるテーブルや椅子などの家具や、鍋敷きやシェイカーボックスなどの木工製品はすべて、工房で黒川さんが製作したものです。カフェに訪れたことをきっかけに、家具を依頼される方も少なくないのだと言います。

黒川さん:「例えば、シェイカーボックスなんかも使い方がわからなかったりするんですよね。でもこうしてカフェがあることで、実際に手にとっていただいて「何を入れようか」とイメージしていただいたり、使い方をお伝えすることもできます。家具も座ったり、お茶を飲んだり、実際に使っていただくことでその方に合う合わないがわかると思うんですよね。カフェがあることで、実際に家具や木工製品をみていただけるようになったのは、とても良かったと思います。」

最近では、デザイナーからの製作依頼も増えてきたという黒川さん。ここからは少し黒川さんの家具や木工製品の事例をご紹介していきます。

「neshian」というお店のテーブル岐阜県池田町にある「neshian」というお店のテーブル。
桜のテーブル折りたたみ式の桜のテーブル
カウンター下のサイドボード
新築のご自宅用に製作したカウンター下のサイドボード
鉄筋を溶接して脚にした杉のテーブル
鉄筋を溶接して脚にした杉のテーブル
組み立て式の小屋ブース
野外イベント用に製作した組み立て式の小屋ブース
シェーカーボックスなどのインテリア小物や杉の曲げわっぱ曲げ木の技術を利用した、シェーカーボックスなどのインテリア小物や杉の曲げわっぱ
関ヶ原のカフェ岐阜県関ヶ原町に7月オープン予定のカフェの家具一式。
椅子の模型
家具づくりの際には、こうした模型を使ってお客さんと完成イメージを共有します。写真にすると、本物と見間違えるほどの精巧さです。

代表の黒川大輔さん

最後に黒川さんの今後の展望を聞かせていただきました。

黒川さん:「今年の4月には、カフェスペースの隣のギャラリースペースだった場所に、かご屋「moily」さんのお店がオープンしました。今は、木工房、カフェ、moilyさんのお店だけですが、もっと色んな人のショップが点々としているような場所にしていきたいと考えています。

これからの時代は、食だけ、服だけ、という商品展開のお店よりも、その場所に行けば自分たちのライフスタイルを豊かにしてくれるというショップが求められてくると思います。服屋さんの隣にカフェがあったり、カフェの中に本屋さんがあったり、そういう場所が増えていますよね。でも、ただの寄せ集めだとモールになってしまいます。そうではなく、共通したコンセプトや想いのお店が集まるようにしないといけないかなと。「あそこに行けば、何かつくれる。生活を豊かになる。」そんな場所にしていきたいですね。」

今年の秋からは、庭のスペースにガーデンデザインの事務所をつくる計画が始動する予定とのこと。もちろん建物はセルフビルドで建てれるそう。今後の「結」からも目が離せません。

木工房&カフェ 結

木工房・カフェ「結」は、「まずは週末にのんびりショートトリップ気分で訪れて欲しいです。」という黒川さんの言葉通り、自然豊かで訪れるだけでも心も身体も癒される、そんな場所です。セルフビルドとは思えないほどの建物の完成度には、黒川さんの技術の高さ、木工への想いの強さを感じました。名古屋から車で約1時間。週末にふらっと訪れてみてはいかがでしょうか。

スポット詳細

【木工房・カフェ「結」】
住所  :岐阜県不破郡垂井町敷原173
電話番号:090-7957-3166(木工房) 090-2345-8130(カフェ)
営業時間:金曜日(13:00〜16:00)、土・日曜日(13:00〜17:00)
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