【イベントレポート】11月24日まで開催されている、さまざまな “Print” 作品を紹介している展覧会「Print For Sale」に行ってきました!
目次
版画の作品
シルクスクリーン
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トークする片山浩さん
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片山さんの作品「wall paper」の拡大
片山さんはこの夏にスウェーデンのマルメの版画工房で制作をしてきました。(西村正幸さんと一緒に) 工房は水溶性のインクを使用していて、工房がクリーンだったそう。普段はリトグラフの作品を制作していますが、工房にはリトグラフの設備がなく、シルクスクリーンで制作をしていたそうです。
シルクスクリーンはキレイに刷れすぎてしまうので水溶性の特性を利用してわざとずらしたり、紙を依らせたりしながらペインティングで制作するような気持ちでつくったのだそう。よくみると紙がズレていたりするのがわかります。
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トーク中の山本マヤカさん
上部にある犬がマヤカさんの作品です。
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山本マヤカさん「purple dog」
シルクスクリーンプリントでの作品です。なんともいえない、のほほんとした表情に癒されます。
リトグラフ
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トーク中の東条香澄さん
壁にかかっている左上の作品は東条さんの作品。
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東条香澄さん「wreath」
ご本人はカラーに挑戦したいそうで、手彩色や、カラーのものも試したそうなのですが、やはりものくろの質感がしっくりくるようです。湿度のあるモノクロのリトグラフが魅力です。ぜひ、実際に会場でみてもらいたいです。うつくしいです。
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マツモトヨーコさんのリトグラフ
色の重なりがうつくしいです。
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マツモトヨーコさんのリトグラフ「秋を待つ」(左)「ふだんの花」(右)
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伊藤公子さんの作品、「piece1(Sight somewhere)」
丁寧なリトグラフの作品。
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トーク中の伊藤公子さん
日常でよくみるモチーフを選んで制作をしている。ちょっとした違和感や日常の中の非日常を作品にしているそうです。
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伊藤公子さん「space1」
リトグラフの作品。伊藤さんの作品は丁寧に描かれいて、清々しい気持ちになります。
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吉田佳代子さんのリトグラフの作品「R・B2018-1」
潔い色面が美しいです。
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Re:lithoさんのリトグラフ作品「SEKITAKU -PINK -」と「ポスターハンガー」
展示に使われているポスターハンガーもRe:lithoさんの商品。廃れつつある版画工房の最後の職人さんと「SEKITAKU」を制作し、それを展示するために版画工房の近くの木工職人さんとポスターハンガーを作り、版画工房を復活させる資金をクラウドファウンディングで集めています。スタイリッシュなデザインが目をひきます。気軽に展示がえができるので、頻繁に持ち帰ってくる子供の作品を飾るのにも良さそう!
銅版画
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トーク中の簗瀬貴子さん
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簗瀬貴子さん「Courage」
ドライポイントやルーレットを使用して作品を制作されています。心の奥の思いや日々のささやかな存在から着想を得て、個人的な思いを組み立てたり視点をずらしてイメージを広げるように制作されているそうです。滲んだ線や色面が心地よいです。
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こちらも簗瀬さんの作品「Sosein」(左)、「 Packing the Sunshine」(右)
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棚に並ぶ版画作品、伊藤里佳さん (左)、瀬古清美さん(右)
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森田朋さんの銅版画、「森を行く」
雰囲気のある銅版画が魅力の森田さん。にじんだ線やインクがたまりません!森の絵からさまざまなストーリーが読み取れます。
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トーク中の浦山輝子さん 現役の大学4年生です。
下から2番目、左から2番目のスノードーム型の作品です。彼女の銅版画はファンタジーの世界へ誘ってくれます。カラーも魅力。
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浦山輝子さん「夜明けの君と、待ち合わせ」左側の作品
リノカット
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トーク中の西村正幸さん
リノカットの作品を出品されている西村正幸さん
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蛇腹状になって箱に収まる手のひらサイズの作品、西村正幸さん「消えた子どもの日記 (♯18) ; 庭を耕す 」(上)「消えた子どもの日記 (♯19) ; 庭を耕す 」(下)
地図のような絵です。
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「消えた子どもの日記 (♯20) ; 庭を耕す 」
先ほどの手のひらサイズの作品と同じ版を使用しています。西村さんは今年の夏にスェーデンの版画工房で滞在制作を行ってきました。
「ライプツィヒって書いてある古い印刷機でリノカットの作品を刷ったんやけど、版がズレて嫌になってしまって……。でも周りの作家はズレまくって制作していて、それをみていたら“ズレてもいーんだ…….。”と思えて。」ということで、エディションはなし。スウェーデンでリノリウム版や刀(意外に安かった)を購入してきたので、しばらくはこのタイプで制作予定なのだそうです。イメージがつながったり断片的に現れたりするのが“日記”というテーマと重なり、物語のような作品になっています。
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西村正幸さんの作品の拡大図
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構亜利沙さんのリノカットの作品「room in」
構さんの作品は軽やかで心地がよいです。
木版
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トーク中の玉井裕子さん
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木版画の作品、玉井裕子さん「桃色月の夜に」
“こことつながっていない別の場所、イメージする透明感が木版とあっていて木版で表現している”。家のモチーフは自分が絵の中に入っていけるようなイメージがあって使用しているそうです。背景の木版は木の木目を選んで使っています。よくみると木目が心地よい空気の流れみたいになっています。
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トーク中の栗木義夫さん
栗木さんは木版画を出品しています。例年、栗木さんのドローイングの中から近藤千鶴さんが気になるものを選び、解釈して木版画に変化させて作品にしています。今年は栗木さんが作品を選んでいます。
栗木さんは作品が魅力的に変化していくので今後も木版の魅力を考えてやっていきたい。とのこと。
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栗木義夫さん「untitled」木版画の作品
リーフプリンティング
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伊藤沙織さんの作品「真夜中に目覚めたら」
自然のモチーフを使って異素材の物をつかって素敵な作品に仕上がっています。
モノタイプ
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構さんの作品。モノタイプのドローイング作品
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作品の解説をする構さん
カレンダーが今回のイチオシです。