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名古屋市営地下鉄東山線「一社」駅から徒歩4分。「Sonne Garten(ゾンネ ガルテン)」は、日々の健康な生活に寄り添う自然派のお店です。
品ぞろえは幅広く、採れたての野菜や卵などの食品をはじめに、スキンケア商品や本などの日用品がそろっています。
今の業態になってからは20年以上、本屋だった創業当初からだと40年以上続く一社の老舗。
今回はこだわりの野菜セットや創業から続けている変わらぬ想いなどについて、代表の長瀬 敬(ながせ・けい)さんにたっぷりお話を聞きました。
「Sonne Garten」とは?
店舗は全面ガラスで、お店の外から店内の様子が分かるようになっています。
店内は明るい木目調で統一されており、自然の温かみを感じます。
平日日中の訪問でしたが、お客さんの出入りが常にありました。多くの方は徒歩で来店しているようで、近所に住む方の生活拠点の一部になっていることがわかります。
厳選された商品
店内はこだわりの食材や日用品がジャンルごとに陳列されています。大手スーパーでは見かけることができない商品もたくさんあります。
店内は、古くから付き合いのある地元の生産者はもちろん、厳選された体に優しいナチュラルな食品でいっぱい。
すでに自然派の生活を取り入れている人も、これからはじめたい興味を持っている人も、じっくりと時間をかけて吟味したくなるラインナップです。
また、野菜・お肉・パンなどの食品に加え、本やスキンケア商品などの生活雑貨もそろうのが嬉しいポイントです。
大切にしていること
自分たちで直接いける距離・見える範囲にあるものを丁寧に続けていきたいと語る代表の長瀬さん。例えば、「Sonne Garten」が販売している野菜は、野菜を育てる農家までの集荷も自分たちで行っているそう。
30年以上続く野菜の「共同購入」から見える、「Sonne Garten」が大切にしていることについてお話を伺いました。
-野菜の「共同購入」について教えてください。
長瀬さん:「わたしたちが実践していることは、農作物を作るところから食べるところまで責任をもって取り組むということです。
「旬の野菜セット」として販売している野菜は、年間を通じて必要な量の作付けを生産者さんに依頼します。作付けを依頼した分は、すべて買い取ります。
そして野菜を収穫したその日に、スタッフが生産者さんのところまで集荷に伺い、その日のうちに「旬の野菜セット」の会員さんへお届けします。」
長瀬さん:「旬の野菜セット」の定期購入にあたって、まずは「お試しセット」のご購入をお願いしています。「お試しセット」は、「旬の野菜セット(M)」を一律¥1,800で購入するもので、野菜の味や量を確かめることができます。
1週間で野菜を使いきれるか?など会員になる前に、確かめていただき、「共同購入」の考え方に賛同いただける場合に入会をおすすめしています。
わたしが代表になって4、5年になりますが、今は世代交代の時期なので、「旬の野菜セット」を楽しみにしてくれているお客さんだけでなく、新たな生産者の方にも「共同購入」の考え方を分かってもらわなくてはならない。
これからも継続して啓蒙し続けていきたいことです。」
-計画的に野菜を全量買い取りしていても余ることはないのですか?
長瀬さん:「野菜は、スタッフのまかないとしても食べています。
自分たちが提供しているものを知ることはとても大切です。扱っている商品を自分たちで調理して食べてはじめて分かることもたくさんあります。
前職では薬膳料理店の畑を担当していて、たくさんのことを学びました。でも、このお店に来て一番驚いたのは、作付けからすべてを食べきるところまで実践しているのを目の当たりにしたことです。」
-特に好きな野菜はありますか?
長瀬さん:「どの野菜というよりは旬の野菜は美味しいですね。
だいたい1年を通して収穫する野菜の旬が決まっていて、野菜セットの内容を見て何を作るか決めるので、「何をつくろう?」と悩むこともなくなりました。
家庭料理の延長で煮る・焼く・蒸す・揚げるなど、さまざまな調理法を使って、名前のない料理がたくさんできます。
「ゾンネのまかない」は、文字通りスタッフが「同じ釜の飯を食べる」ことです。
SNSを通じて、お客さんにも共有していますが、投稿の中で一番閲覧数が多いコンテンツになっています。それだけ関心が高いということだと理解しています。」
-作付けに参加されている生産者さんは何軒くらいですか?
長瀬さん:「南は愛知県の知多半島で3軒、北は長野県の阿智村を中心に4~5軒、近場のスポット的な方々も含めると東郷町、瀬戸市など3~4軒です。それぞれの生産者さんに、土地に合った野菜を作っていただいています。
適地適作という言葉がありますが、この仕事を続けていると身に染みて感じる部分です。例えば、愛知県の南知多は、海底が隆起した地形で、土に海のミネラル分が多く含まれています。そうした場所でできる人参、ゴボウなどの根菜はとても美味しいと感じます。
また、それぞれの土地で野菜を育てる生産者さんが持っている技術も素晴らしいです。日頃の観察、蓄積した経験から感覚的に分かる野菜のこと。最近は温暖化の影響もあり、マニュアル通りではいかないんですよね。
一般的にスーパーで販売されている野菜は、冬でもビニールハウスを使っている場合が多くあります。一方、わたしたちが販売している野菜は路地栽培といって、太陽の光を直接浴びた野菜がほとんどです。
有機農業運動が始まった頃から取り組んでいる初期の生産者は、公害や社会問題という時代背景もあり、できるだけ石油資材の使用を少なくしようという根本的な考えに基づいて育てています。そういった自然の光の中で育った野菜は違いが味となってあらわれます。
長瀬さん:「ビジネスには拡大を目指して大きくしようと努力をする場合もありますが、自分たちは本当にやりたい核の部分を大切に、「等身大である」ということにこだわって小さくやっています。」
今後について
-今後どのようにしていきたいですか?
長瀬さん:「何においても、まずは日常が大切です。持続すること。今やっていることをちゃんと続けられることを大切にしていきたいなと考えています。
それと、ちゃんと手間暇かけて作られた暮らしに欠かせない調味料など、商品は厳選しますが、お店に来て商品を手に取ってくれる皆さんに吟味して選んでもらえるよう、扱う商品の幅を広く持たせるように心がけています。
多くの方に利用していただける、暮らしの身近な存在でいられるような場所にしていきたいです。」
-「持続すること」というのはSDGsに繋がるようなことですか?
長瀬さん:「特別にSDGsを意識しているということはないですね。
これまでもずっとやってきていることで、それがひょっとするとそういう言葉で表現されることがあるかもしれないけど、言葉でくくらなくても、自然と生活の中で実践できているそういう状態であるといいなと思います。」
今回お話を聞く中で、美味しくムダなくいただくことの大切さを改めて考えさせられました。
一般的にスーパーで食材を買う時は、季節を問わずいろいろな種類の野菜が購入できます。利便性が高く当たり前になっているので、あえて旬の野菜について考えを巡らせることもあまりありません。しかし、冬にトマトを収穫するにはトマトが育つ気候を人工的に作り出す必要があります。
一方、「Sonne Garten」の「旬の野菜セット」の取り組みは、本来の地域の姿をみることができます。近郊の畑で何が収穫されているのか?今の季節は何が収穫できるのか?…
収穫してその日に手元に届く新鮮な野菜「旬の野菜セット」を通じて、自分・家族の健康や環境などに想いを巡らせるきっかけになりました。
長瀬さん、お忙しい中お時間をいただきありがとうございました。