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三重県鈴鹿市の「和洋菓子キクノヤ」で和菓子づくりの修行をしながら、デザイナーをしている小林ちふみです。これから三重の素敵を発信してきます。
▼ キクノヤの記事
https://life-designs.jp/webmagazine/kikunoya/
初回は、四日市で気になる取り組みをされている、すみへいさんに直撃をしました。
週末、突如公園に現れる「喫茶すみへい」
近鉄四日市駅にほど近い公園に、月に一度現れる屋台型の喫茶があります。道行く人にフリーコーヒーを提供する「喫茶すみへい」。そこでコーヒーをふるまうマスターは、すみへいの愛称で親しまれている住田さんです。ニッコリとやさしく、どこか照れくさそうな笑顔で出迎えてくれます。
四日市のアーケード商店街は飲食店が密集しているため、日中もさることながら週末の夜は飲み歩く人で賑わう場所です。そんな商店街の中に位置する諏訪公園は、神社も併設されていて地元の人にとっては馴染み深いスポット。公園には噴水やたくさんの木々があり、喫茶すみへいはその公園の道路に面した区画で開かれます。
交番の横にあたる公園の一角に、喫茶による人だかりが……
喫茶の周りにはコーヒーがつなぐ輪ができています。
毎月一度の頻度で、週末の夜22時に突如現れる喫茶すみへい。もし確実に行きたいようであれば、開催前にはSNSなどで告知をしているので、そちらでチェックをすると良いようです。足を運ぶお客さんは、その告知を見て来る地元の人や、たまたま通りかかって足を止めた人など、さまざまな顔ぶれです。県外からわざわざ来る人もいるとのことで、驚き!
喫茶すみへいはこれまで10回以上に及んで開催されており、その度に喫茶の周りには人が自然と集まり、喫茶がなければ生まれなかったような空間ができあがります。
フリーコーヒーという趣味です。
そもそも、住田さんはなぜこのような活動をしているのでしょうか?
喫茶すみへいのコーヒーは、フリーコーヒーと言うだけあって無料提供です。
「フリーコーヒーは手段でしかなくて、自分の思いを行動に起こしたカタチがこれなんです。」と話す住田さんは、平日は会社員として働いており、週末だけマスターとして喫茶を開いています。
コーヒーをふるまっていると「なぜこんなことをしているの?」「お金持ちなの?」と質問されることが多いようですが、これは住田さんのライフワークの一つ。本人いわく、趣味なんだとか。
住田さん:「自分は夜にお酒を飲んだ後にコーヒーが飲みたくなるんですが、四日市には夜気軽に入れる喫茶店がありません。どこも夜は閉まってしまうし、オシャレすぎるカフェも自分には敷居が高くて。笑 夜の喫茶が無いなら自分でやりたいと頭の片隅で思っていました。」
出身も大学も県外で、就職で初めて三重県へ来たという住田さん。四日市で暮らすようになって7年、ある時、抱いていた思いを実現させる手段を知ります。
影響を受けたという本を眺める住田さん。その本、読んでみたいです!
住田さん:「大学の時に喫茶店でアルバイトをしていましたが、それでも自分には喫茶店を開くほどの経験はないし、喫茶を開くのは定年退職した後、ずっと先のことだと考えていました。開業をするハードルやリスクは非常に高く、でも、そんな自分でも“喫茶を開く”ことを、いち早く実現できる方法がフリーコーヒーだと思ったんです。」
フリーコーヒーは誰でも喫茶をはじめられるような仕組みで、近年全国で広がってきているコミュニティづくりの取り組みです。住田さんはその仕組みを2年ほど前に知り、自分もやってみたいと漠然と思っていたそう。
そんな思いを持っている中、夢を人に伝える機会が現れました。
何者かになりたかった。
住田さん:「自分は会社員なので、会社というものを取っ払った時に何も残らない気がしていました。会話のネタもなく、おもしろみのない自分に悶々としていたんです。そんな時に『自分の夢を語る講演会』という場で登壇する機会をもらい、フリーコーヒーについて語りました。」
その場の反応が意外と良く、友人と改めて話をしていた時「すぐにはじめよう!」ということを決心し、その翌月には初めてのフリーコーヒーをふるまったと言います。
友人からプレゼントしてもらったエプロンを着用する愛される住田さん
住田さん:「宣言して、形にすることって素敵だよね。と、当時友人と話していました。とりあえずはじめることが重要。足りないものは、過程の中で補っていくという手法が、夢の実現に一番早く近づけると考えています。」