建築好き必見!模型の新たな楽しみ方を体感できる「建築倉庫ミュージアム」|天王洲アイル

2018.10.11
建築倉庫ミュージアム

今回ご紹介するのは、東京・天王洲アイルにある「建築倉庫ミュージアム」です。「展示しながら保存するミュージアム」として、国内外で活躍する海外・日本人建築家や設計事務所による建築作品の模型を、設計段階の検討用であるスタディ模型から完成模型までさまざまに展示している建築好き必見のスポットです。2018年4月にリニューアルした同施設の魅力をたっぷりとご紹介していきます。

 

 

保管のプロが提案する
「展示しながら保存するミュージアム」

 

建築倉庫ミュージアム
場所は、東京モノレール 天王洲アイル駅から徒歩5分の寺田倉庫本社ビルの1階。

 

建築倉庫ミュージアム
建物のファザードは、建築家・隈研吾氏の設計です。


「建築倉庫ミュージアム」を手がけているのは、天王洲アイルを中心に保存保管業を展開している「寺田倉庫」。美術品・ワイン・映像資料などさまざまなジャンルの保存保管技術を保持している会社です。まさに保管のスペシャリストと言えます。

 

施設の誕生のきっかけは、模型を収納するスペースが足りないという都心の建築家たちの要望でした。そして、ただ模型を預かるだけでなく「展示しながら保存するミュージアム」というコンセプトのもと、2016年6月に開館したのが「建築倉庫ミュージアム」です。

 

建築倉庫ミュージアム

 

その後、「より変化のある展示」をテーマに、2018年4月にリニューアルオープンしました。従来の模型を中心とした展示に加え、写真やビデオ作品、ドローイングなどの資料を展示し、幅広く建築文化を発信しています。


では順番に2つの展示室をご紹介していきます。

 

 

展示室A
「建築」への眼差し -現代写真と建築の位相-

 

展示室A 「建築」への眼差し -現代写真と建築の位相-

 

展示室A 「建築」への眼差し -現代写真と建築の位相-

 

エントランス左側の展示室Aで開催されていたのは、『「建築」への眼差し -現代写真と建築の位相-』。建築写真と模型を組み合わせたユニークな展覧会です。

 

展示室A 「建築」への眼差し -現代写真と建築の位相-

 

展示室A 「建築」への眼差し -現代写真と建築の位相-


トーマス・ルフ、杉本博司、ホンマタカシなど、作家13人が〈サヴォア邸〉や〈カノアスの邸宅〉など、さまざまな建築物を撮った作品が集められていました。一般的な建築写真ですと建物全体を撮影したものがほとんですが、この展覧会で紹介されているのは、写真家や現代美術家が建物を自由で多彩な手法で捉えた写真ばかりです。「この建物には、こんな表情もあるのか」と、建築の新たな一面を知ることができます。

 

展示室

 

そして、展示室の壁にはこんな穴がいくつもあいています。さっそく中をのぞいてみましょう。

 

ル・コルビュジエが設計した「サヴォア邸」

 

のぞいてみると、そこには模型が。建物を上からみた形で切り抜かれているのだとか。こちらは、ル・コルビュジエが設計した「サヴォア邸」です。誰もが知っている有名な建築ですが、穴からのぞくことで新鮮な気持ちで模型を楽しめました。

 

コンスタンチン・メリニコフが設計した自邸


こちらの展覧会の面白さは、写真と模型を組み合わせることで、建物の特徴を知ることができるという点です。例えば、こちらは写真だけですと、どんな建物かわかりません。4枚すべて同じ形が並んでいます。

 

コンスタンチン・メリニコフが設計した自邸


そして、写真の横にある穴をのぞいてみると、円筒の形の建物に写真の形が。こちらの建物は、ロシアで活躍した建築家、コンスタンチン・メリニコフが設計した自邸です。先ほどの写真は、窓を切り取っていたんですね。写真と模型を組み合わせることで、より建物への興味や理解が深まるような気がしました。

 

 


「この写真の建物はどんな全体像なのだろう」「この穴の形はどんな建物なのだろう」と、とてもワクワクした気持ちで展示を楽しめました。建物の全体を知ったあとで、写真をみるとまた違った印象を受けます。中には、展示室を2周以上見学される方もいるのだとか。

 

展示室A


そしてこの展覧会の面白さは、模型をきっかけに写真を知り、写真をきっかけに建築を知れるという点もあります。実際に建築好きの方が、こちらの展覧会をきっかけに写真家の他の作品も見てみたいと興味を持たれたこともあるそう。リニューアルをきっかけに、幅広く建築文化を発信していきたいという建築倉庫ミュージアムの想いを感じる展覧会でした。

 

【「建築」への眼差し -現代写真と建築の位相-】
会期     :2018年8月4日(土)~10月8日(月・祝)
主催     :建築倉庫ミュージアム
企画     :鈴木布美子
会場設計   :Atelier Tsuyoshi Tane Architects(田根剛)
展覧会企画協力:アート&パブリック株式会社

 

 

展示室B
UNBUILT:Lost or Suspended

 

UNBUILT:Lost or Suspended

 

UNBUILT:Lost or Suspended

 

UNBUILT:Lost or Suspendedナム・ジュン・パイク美術館 -スレッシュホールド・スクリーン-計画案 / 岡部憲明アーキテクチャーネットワーク

 

続いては、展示室Bで開催されていた「UNBUILT:Lost or Suspended(以下:アンビルト展)」をご紹介します。こちらは、複数の建築家による「アンビルト建築作品」を展示しています。アンビルトとは、惜しくも最優秀賞を逃したもの、バーチャルアーキテクチャとして生まれたものなど、模型は制作されたものの何らかの理由で実際には建てられることのなかった建築、これから建てられるかもしれない建築のことです。

 

展示室B

 

展示室Bの模型

 

展示室内には、50点もの模型が展示されています。壁側の棚に展示されているものは、「建築倉庫」で保管しているもの。中央に展示しているのは、今回の展覧会のために集められたアンビルト建築作品です。

 

プレゼンボード

 

プレゼンボード

 

模型と併せてプレゼンボードも展示されていました。アンビルト建築作品の提案内容をこのように見ることができるのは珍しいのではないでしょうか。建築学生、建築関係のお仕事の方は特に気になりますよね。プレゼンボードを見ることで、コンセプト・背景・構造など、より深く建物のことを知ることができます。

 

新国立競技場自主提案「サクラスタジアム」 |梓設計新国立競技場自主提案「サクラスタジアム」 |梓設計 

 

高傳寺大涅槃塔プロジェクト|シーラカンスアンドアソシエイツ / 小嶋一浩+赤松佳珠子
高傳寺大涅槃塔プロジェクト|シーラカンスアンドアソシエイツ / 小嶋一浩+赤松佳珠子

 

ウォンナムドンの家|柄沢祐輔
ウォンナムドンの家|柄沢祐輔

 

世には出回っていないこうした作品に触れられるのも、アンビルト展の魅力。実際に建てられていなくても素晴らしい建築は山ほどあります。実現しなくても、模型が保管されているということは、それだけ設計者がその建築に想い入れがあったということなのではないでしょうか。

 

【UNBUILT:Lost or Suspended】
会期     :2018年8月4日(土)-10月8日(月・祝)
主催・企画  :建築倉庫ミュージアム
執筆     :片桐悠自(東京理科大学理工学部建築学科助教)
展覧会企画協力:三宅理一(一般社団法人日本建築文化保存協会理事)

 

ギャラリートーク


建築倉庫ミュージアムでは、ギャラリートークのようなイベントも開催されています。こちらはなんと、ミュージアムの入館料だけで参加が可能なのだとか。


▼開催スケジュールはこちらから
https://archi-depot.com/exhibition-event

 

ミュージアムショップ
エントランスには、ミュージアムショップが併設されています。ここでしか手に入らないオリジナルグッズなどもありますよ。


「建築倉庫ミュージアム」は、建築を勉強している方は何時間いても楽しめるのはもちろんのこと、建築の知識がないという方でも、模型の美しさや他にはない展示施設に、感動すること間違いなしです。リニューアルを機に、より模型や建築をアート作品のように楽しめる施設になりました。

 

東京に行った際には、同じく寺田倉庫が運営している画材ラボ「PIGMENT(ピグモン)」と合わせて訪れてみてくださいね。

 

【建築倉庫ミュージアム】
住所   :東京都品川区東品川2-6-10 建築倉庫ミュージアム
電話番号 :03-5769-2133
営業時間 :11:00〜19:00 (最終入館18:00)
定休日  :月曜日
駐車場  :なし(近隣の駐車場をご利用ください)

web : https://archi-depot.com/
Instagram:https://www.instagram.com/archi_depot/
facebook :https://www.facebook.com/archidepottokyo/