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今回は、名古屋・鶴舞にある「喫茶クロカワ」をご紹介します。
一人で過ごす読書時間。午後のティータイム。仕事後のリフレッシュ。そんな、ゆったりとコーヒーを楽しみたいときに訪れたくなるお店です。ていねいに淹れられた自家焙煎のコーヒーは、思わずほっとため息がでる、優しい味わい。コーヒーのこだわりはもちろん、お店の誕生背景から店舗デザインまで、じっくりとお話を伺ってきました。
場所は、JR・地下鉄「鶴舞」駅から徒歩10分ほど。
1960年代の建物をリノベーションした店内。2人掛けテーブルが2つ、カウンター席が15ほどあります。一人でも訪れやすい空間です。
エチオピアで出会った、コーヒーの魅力
「喫茶クロカワ」オーナーの黒川哲二さん
まずは、オーナーの黒川さんに「喫茶クロカワ」誕生までのストーリーを教えていただきました。
黒川さん:「昔からコーヒーは好きでしたが、お店をオープンするきっかけとなったのは、アフリカへ旅をしたときのできごとです。バックパックで旅をするのが昔から大好きで、南アフリカからエチオピアまで、3カ月ほどかけてアフリカを縦断しました。その中で、エチオピアを訪れたときに、現地の子どもたちが自宅に招いてくれたんです。そこで、「コーヒーセレモニー」というものを開いてくれました。
エチオピアでは、コーヒーを飲む文化が古くから根付いていて、「コーヒーセレモニー」は、コーヒーを飲むことを儀式化した作法のひとつです。日本の茶道のようなものですね。お香を焚きながら、豆を焙煎しコーヒーを3杯楽しみます。お客さんのおもてなしや、ちょっとした休憩など、さまざまなシーンでエチオピアの方は、「コーヒーセレモニー」を開きます。
エチオピアは銘柄としては有名ですが、現地の人たちはそんなに良い豆は滅多に飲めません。なので、決しておいしいというわけではないのですが、「コーヒーっていいなぁ」と、そのときの体験が忘れられなかったんですよね。コーヒーの味がそこまで記憶に残ったのは、初めてのことでした。」
黒川さん:「日本に戻ったあと、知人のイベントで旅の写真を展示する機会がありました。その際に、現地で買ってきた豆を使ってコーヒーを販売しました。初めてお金をいただいて、コーヒーを淹れたのはそのときですね。次第に豆の在庫がなくなって、自分で焙煎をしてみようかなと挑戦してみたんです。「もっとおいしく豆を焙煎したい!」という想いが強くなり、巣鴨にある「コーノ式焙煎塾」で焙煎のイロハを学びました。
その後は、平日は仕事をしながら10年ほどかけて開業資金を貯めました。週末には、マーケットや展示のケータリングのような形で出店させていただいて、コーヒーをご提供していましたね。」