ギャラリーのようなカフェで大人のリラックスタイムを。「コクウ珈琲」

食べる
美濃加茂市
2022.05.13
ギャラリーのようなカフェで大人のリラックスタイムを。「コクウ珈琲」

中山道の3大難所の一つ「太田の渡し」がある宿場町として栄えた岐阜県美濃加茂市の「中山道太田宿」。この通りの一角にひっそりと佇むカフェ「コクウ珈琲」があります。

昭和元年に建てられた郵便局を改装したお店は、なんと築90年以上!しかし、外観のレトロさとは裏腹に、店内は白を貴重としスッキリとしたスペースが広がります。おいしいコーヒーを味わいながら、ゆったりとくつろげそうですね。

2009年に開店し、美濃加茂の地で13年間続くコクウ珈琲について、オーナーの篠田康雄さんにお話を伺いました。

カフェで働きながら抽出技術を学び、
何年もかけてコクウ珈琲をオープン

-お店を開くまでの経緯を教えてください。

篠田さん:「私は愛知県一宮市出身で、子どものときから喫茶店によく行っていました。なので喫茶店には馴染みがあり、そこで過ごす時間や独特の空間が好きでした。大人になってからコーヒー専門店に就職後、ゆくゆくは自分の店を開きたいと考えていたのですが、仕事が忙しく開店準備の時間が取れないため退職へ。その後は大手コーヒーショップで働きつつ、別の場所でコーヒーの焙煎技術を学んだり、店舗物件を探したりしていました。すべてが同時並行だったこともあり、このお店を開くまでに4〜5年くらいはかかったと思います。」

-コーヒーの焙煎技術はどのように学んだのですか?

篠田さん:「西尾市のフレーバーコーヒーさんに通って教えてもらいました。当時は焙煎技術を教えてくれる場所が少なく、フレーバーコーヒーさんはたまたま家からも通える範囲だったこともあり、ここしかない!と思いお願いしました。」

コクウ珈琲の近くを流れる木曽川

-お店を開くにあたって、なぜこの場所を選んだのでしょうか。

篠田さん:「お店を開く前に結婚をしていて、妻が当時美濃加茂で働いていたことや、愛知県から木曽川を渡ったときにこの辺りの景色や宿場町の雰囲気がとても新鮮に感じたことが大きな決め手だったと思います。あとはたまたまこの物件に出会って、勢いというのも多少あったかもしれません(笑)」

川の横には遊歩道があり、散歩やジョギングもできます

中山道に面するコクウ珈琲

-確かに、宿場町の雰囲気や木曽川が広がる景色など、とても素敵な場所ですね!次に、コクウ珈琲のコンセプトを教えてください。

篠田さん:「コンセプトは、開店当初からお店を続けてきたなかで結構変わっていますね。開店当初は、男性が一人で来てゆったりと落ち着ける場所にしたいと思っていました。当時はカフェというと女性の客がメインでスイーツにも力を入れて……というイメージが強かったので、日常的に来れる大人の隠れ家のようなお店にしたかったですね。

しかし、今は性別や年齢関係なく、1人でゆっくり過ごしたい人の受け皿になりたいと思っています。コーヒーを飲んでリラックスして、本や雑誌を読んだりぼーっとしたり、落ち着ける場所でありたいですね。そうした空間であり続けるためにも、お店にはいくつかルールを設けています。」

1人の時間に没頭できそうな特等席も。

敢えて厳しく設定しているお店のルール

-お店ではどのようなルールが徹底されていますか?

篠田さん:「主に3つあります。①1組3名様まで、②滞在は1時間半以内、③店内はテーブルの上以外撮影禁止、というものです。すべてはお客様にゆっくり過ごしてもらうために設けたもので、人数が多いとどうしても話し声が大きくなってしまいますし、パソコンなどで長時間の作業をされると他のお客様が利用したくてもできない状況になってしまいます。写真については、机の上のコーヒーを撮る分にはOKです。しかし、最近は動画を撮る方が増えてきていて、手元だけでなく店内を1周ぐるっと撮影することも多くあります。そうなると他のお客様の顔も映ってしまい、快く思わない方もいますよね。私自身も撮られるのはあまり好きではありません。また、中には切り取ったり顔にぼかし・加工をしてくれる方はいますが、全員がそういう配慮をしてくれるとは限りません。

このお店も、SNSで拡散された情報を元に来てくれる方も多いので、恩恵を受けていることは確かです。そういうメリットは理解しているものの、お店の雰囲気を守るために敢えて厳しいルールにしています。」

-なるほど。お店のためにも、お店に来るお客様のためにも大切なことですね。

壁には数々の作品を展示。
ホワイトキューブを意識した店内

-店内にはいくつもの作品が展示されていますね。

篠田さん:「はい。ただ、販売はしていなくてすべて自分たちのコレクションです。芸術大学出身の妻が創った銅版画もありますよ。

美術館やギャラリーの展示方法で、作品のジャマをしないために余分な凹凸や装飾をしない真っ白な空間を『ホワイトキューブ』と呼びます。コクウ珈琲の名前は【虚空】の言葉に由来していて、無とかなにもない空間、という意味です。お店づくりの際には、作品のジャマをしない、この空間で過ごすお客様のジャマにならないような、ホワイトキューブの趣旨を意識している部分もありますね。」

壁に展示される作品

マツヤ式で抽出するコーヒーは
おいしさが長続きすることが特徴

-コーヒーは松屋式という方法で抽出しているとのことですが、どのような特徴がありますか?

篠田さん:「松屋式ドリップで淹れるコーヒーの最大の特徴は、時間が経ってもおいしさをキープできることです。名古屋市大須にある松屋コーヒーが考案した方法で、喫茶店でいかに効率良くおいしいコーヒーを提供できるかという観点から考え出されました。松屋式は他の方法よりも少し手間は掛かりますが、味のことを考えるとこれが最適かなと思います。

一般的な喫茶店やカフェのコーヒーは、一度に何人分も抽出しておいて、オーダーが入ったら温め直して提供していますが、コーヒーは熱が加わると一気に味が落ちてしまいます。松屋式はコーヒーを濃く抽出しておいて、オーダーが入ったら熱湯で割って出すので酸化しづらく、味も劣化しにくいということです。」

松屋式ドリップで抽出しているところ

-なるほど!わかりやすいです。この松屋式にはどのようにたどり着いたのですか?

篠田さん:「この方法も、フレーバーコーヒーの中川さんという方に教えてもらいました。中川さんにはとても感謝していて尊敬している方でもあるので、中川さんが続ける限り自分も松屋式を続けていこうと思っています。この先、自分が誰かに技術を教える立場になるかはわかりませんが、もしあれば次につなげたる・途切れさせないことで一つの手助けになればいいなと思いますね。」

-自家焙煎した豆の販売も行っているのですね。

篠田さん:「カフェの利用よりも焙煎豆の販売の方が比率が高いですね。浅煎りから深煎まで9〜10種類ほど、店内で焙煎しています。コーヒーは嗜好品ですが、なるべく多くの人が日常的に楽しめるものにしたいので、豆の種類に特別なこだわりはなく価格と味のバランスが良いものを選んでいます。ただし、焙煎した豆は一つひとつ確認しながらハンドピックをしています。色や大きさ、割れのある・なしをチェックして選別するのは、コーヒーの味作りにも関わる重要な作業です。」

焙煎したコーヒー豆を一つひとつチェックし割り振る「ハンドピック」

-とても神経を使いそうな作業もていねいに行われているのですね!パッケージのデザインもオシャレです。

篠田さん:「デザインはすべて妻にお願いして作ってもらっています。妻は銅版画作家としての活動もしていて、パッケージのイラストもすべて銅版画で作成されたものです。他の誰よりもイメージを伝えやすく、また誰よりも理解してくれるのでとても助かっていますね。」

デザインはコーヒーの焙煎や抽出で使う道具がモチーフになっているそう。

心落ち着く空間でおいしいコーヒーと休息を

歴史情緒あふれる太田宿の一角にあるコクウ珈琲。席はそれぞれ広々としたスペースが確保されており、ゆったりとくつろげます。音楽を聞いたり本や雑誌を読んだり、何も考えずにぼーっとしたり……おいしいコーヒーを飲みながら思い思いの時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

また、お店では1シーズンに1度ほどの頻度でコーヒー教室を開催。コーヒーの淹れ方や豆の選び方など、コーヒーに関する相談はいつでも応じてくれるそうですよ。

コーヒーはテイクアウトもできるため、太田宿や木曽川を眺めながら散策するのも良いでしょう。

 

スポット詳細

【コクウ珈琲】
住所  :岐阜県美濃加茂市太田本町1-7-1
電話番号:0574-49-9840
営業時間:11:00〜20:30(19:00オーダーストップ)
定休日 :木曜日、第2・4水曜日
公式サイト:http://cocu-coffee.com/
Instagram:https://www.instagram.com/cocu_coffee/

愛知県名古屋市在住。コピーライター3年、広告代理店でメディア編集者3年を経てフリーランスへ。金融やSDGs、ファッションなど幅広いジャンルのメディアで編集経験を積む。現在はグルメ・トラベルを中心に取材や執筆を行う。

趣味は旅行、読書、お酒。国内旅行が好きで47都道府県を制覇し、現在は2周目を満喫中。自身でもお酒に関するメディアを運用し、365日文章にふれる生活を送っている。


https://twitter.com/izunoumi_110

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