三重県鈴鹿市にある、クラフトビール専門店「CRAFT BEER PANACHE(パナシェ)」。近鉄白子駅から徒歩5分の好立地で、3階建てのビルの1階部分に店舗があります。
パナシェは2022年5月にオープンしたばかりのお店です。店内には約50種類のクラフトビールを取りそろえており、三重県内でこれほどのクラフトビールを一同に選べる店舗は数少ないでしょう。
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オーナーは、同じビル内の2階で地元では老舗といわれているBAR「洋酒コクテール鹿鳴館」を営んでいる猪熊さん。バーテンダーとして23年のキャリアを持ち、さらにシニアソムリエ(※)の資格を持つお酒を扱うプロです。
※シニアソムリエ:ソムリエ取得者のみが受験でき、合格率は10~20%で難易度が非常に高い資格
三重県内では珍しいクラフトビール専門店、パナシェ。店舗のこだわりやオーナーである猪熊さんのお話をじっくりうかがいました。
店内は「パナシェ」カラーと酒屋要素の融合
白を基調としたオシャレな扉をあけると、レモンイエローの壁、約50種類のクラフトビールがぎっしり入っている冷蔵庫、カウンターが目に入ります。
– 店内に入ると、爽やかな壁がパッと目を惹きますね。
猪熊さん:「クラフトビール屋にしようと決めていたので、カラーは白と黄色だと思ったんです。2階のバーとの対比を意識して明るくて入りやすい印象にしたいと考えました。この雰囲気を見て『何屋さんですか?』ってよく聞かれるんです。入りやすい雰囲気があるかなーって思って。」
– こちらのカウンターでもビールが飲めるのですか?
猪熊さん:「ここは”角打ち”といって、お客様が買ったビールをすぐに飲んでいただけるスペースです。お休みの日だからちょっと昼間に飲んで行こうかな~と、気軽に飲んで行かれる方はいらっしゃいますよ。」
オシャレな空間に酒屋のような角打ちのスペースがある店内。店内で飲むときは猪熊さんがビールを注いでくれます。お目当てのクラフトビールが飲めて、しかもバーテンダーに入れてもらう至福なひとときを過ごせるのもパナシェならではの魅力です。
お店の名前に込めた想いは?
キーワードは「混ぜ合わせる」こと。
店舗名のPANACHE(パナシェ)。
パナシェは、レモネードとビールを混ぜ合わせて作るカクテルの名前です。ロゴもレモンとビールがモチーフの可愛らしいデザイン。さらにパナシェはフランス語で「混ぜ合わせる」という意味もあります。
– どうしてお店の名前を「パナシェ」にしたのですか?
猪熊さん:「僕はバーテンダーなので、バーテンダーらしいビール屋っぽい名前ってないかな?と考えた時に、『パナシェ』というカクテルの名前にしようと思ったんです。そして自分の持っているお酒の知識をクラフトビールに混ぜ合わせていく、という意味も込めていて。いい名前かな~と感じてお店の名前にしました。」
– バーテンダーとソムリエの知識をクラフトビールに混ぜ合わせるということなのですね。クラフトビールはさまざまな角度から提案されているのですか?
猪熊さん:「そうですね。お客様からも、料理とクラフトビールをどう合わせるのかというご相談も受けることがあるんですよ。バーテンダーだけなら知らなかったことですが、ビールと料理のペアリングの発想はワインの知識を持っていたから提案できると感じますね。」
実際、「中華料理の油淋鶏に合うクラフトビールはある?」とお客様からご相談もあったのだとか。気軽に相談できる雰囲気があるのは、猪熊さんの人柄とビールの幅広いラインナップがあるからこそだと感じます。
クラフトビール専門店で洋酒も試せる!?
多岐にわたるお酒の世界を体験
三重県内の大手の酒屋では洋酒のビンを扱っていても、量り売りや試飲はしていないのが現状なのだとか。しかしパナシェでは50mlの量を約350円〜750円と、破格の値段で量り売りしています。
– なぜ洋酒の量り売りを取り入れているのですか?
猪熊さん:「ウイスキーってどんな味かわからないのに一本がけっこうな値段するじゃないですか。けどお試しに飲んでみたい!というお客様もいらっしゃるんですよね。」
– バーテンダーだからこそできる提案の仕方ですね。
猪熊さん:「パナシェでクラフトビールを飲んだり、ウイスキーを少し試してもらって、後日バーに来てくださる方もいらっしゃるんです。お酒やお店に興味を持っていただくきっかけになればいいなと思っていますね。」
お酒の提案やお客様の要望にもすぐに答えられるのはバーテンダーだからこそできる技。クラフトビール屋で洋酒の量り売りができることは、猪熊さんのお酒の発信力とフットワークの軽さが物語っていると感じます。
クラフトビールは、
ライフスタイルに合わせて飲むビール!
猪熊さんのセレクトポイントとは?
クラフトビールは生活を豊かにするために飲むビールだと猪熊さんは考えています。
例えば食事と合わせたり、好きな映画を観ながらゆっくり楽しんだり。ライフスタイルに合わせてビールを選び、時間をかけてゆっくり飲むのがクラフトビールの飲み方なのだとか。
猪熊さんがクラフトビールをセレクトするこだわりは3点あります。
「限定で目新しいビール」「職人技が光る定番のビール」「飲んで感激したビール」です。毎回違うビールを作る醸造もあれば、流行りものを作らない職人気質なビールを作る醸造もあるクラフトビール業界。
例えばうちゅうブルーイングのクラフトビール。
こちらの醸造は新商品が変わるので、常に追いかけないと取り合いになるほど人気のビールです。試飲できないので、限定商品が出たら取り寄せられるようにアンテナをはっているのだそう。
さらにセレクトのこだわりは、行く度に目新しいビールだけではなく、定番商品がなくなったら常に仕入れる点。流行りものは作らず、職人気質なこだわりのビールを好むお客様もいることから、そのニーズに合わせてセレクトしています。
猪熊さんが飲んで美味しいと思った商品だけでなく、お客様の期待と要望に応えている点もセレクトのこだわりです。
クラフトビールを提案する際には、商品の裏話やストーリーも添えてくれる猪熊さん。ストーリーを聞くと味のイメージが湧きやすく、飲んでみたい!と思える体験ができます。
お酒を扱うプロが選ぶ
クラフトビールのオススメ5選!
EQUANIMITY|うちゅうブルーイング
香りも味わいもフルーティー感があふれているクラフトビール。
パイナップルやマンゴーを感じられるような香りと舌触りで、ビールの概念が変わるような豊潤なビールです。時間が経っても雑味を感じない味わいが特徴。
毬子(MARIKO)|京都醸造
毬一族シリーズの中でも、特に人気のある毬子。この限定ビールが出るのを待ち構えているファンも多いのだとか。ベルジャン酵母とトロピカルホップの個性が醸す、底抜けに瑞々しい味わいのクラフトビールです。
こねこいっぴき|伊勢角屋
三重県を代表する伊勢角屋麦酒の限定商品。地元でもなかなか見ることはできないクラフトビールです。アルコール4%ですが飲みごたえがある商品。
口に入れたときのシトラス感を思わせるようなフレッシュさがあり、シーンを選ばずにいつでも飲めるビールです。
Umi bozu’s Day Off|BLACK TIDE BREWING
猪熊さんが今1番推している宮城県気仙沼のクラフトビール。
ホップを使っているスタイルの中で苦すぎず、バランスがちょうどいいのだとか。口に入れた瞬間にカクテルを思わす滑らかさがあり、上品な味わいです。時間が経つと、ベリー系の甘い香りが一層引き立ち、時間をかけてゆっくり味わえるクラフトビール。
Full Hop Alchemist V24|WEST COAST BREWING
パンチのきいた缶のデザインですが、シルキーなジューシーさが特徴のビール。
時間が経つとパッションフルーツやシトラス、ローズマリーのような爽やかさも感じられ、飲みごたえのある一杯。ビールとは思えないほどの甘さを感じられるのも特徴です。
訪れたその日からクラフトビールの世界に浸れる、パナシェ。
それはバーテンダーの顔も持ちつつシリアソムリエの資格を持つお酒のエキスパート、猪熊さんがクラフトビールのストーリーを語ってくれるからです。
お店を後にする際に「ぜひお楽しみくださいませ」とかけてくれる言葉によって、クラフトビールの世界にきっと魅了されることでしょう。今後もさらにこだわりのクラフトビールを揃えていく予定なのだとか。目が離せません!
クラフトビールに興味のある方は、ぜひパナシェへ。いつ行っても新しい発見がある、あなたにとっておきのクラフトビールをみつけてみませんか。