「淵ト瀬」を通じて知る、湯の山の歴史と新しい景色。
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昭和の影を残しながらも、新しさを
昭和の面影が残る湯の山は、古いもの好きにとってユートピアです。しかし、バブル崩壊以降の観光客の減少による空き家増加と、その建造物の放置による腐敗など、現実は厳しいものでした。
そんな中、湯の山でカフェをはじめた近藤さんは前向きに湯の山へ歩み寄り、挑戦的に取り組みを行っていきます。
近藤さん:「かつては自分も持っていた「寂れた温泉街」などの湯の山へのイメージは、いまだに多くの人が抱いているのではないかと思います。
でも、自分は大人になって、今の湯の山をかっこいい!と感じました。たとえこの感覚がマイナーだったとしても、共感してくれる人はいるはずだと信じて、湯の山の資源を活かしたイベントを企画しはじめました。」
湯の山の新しい景色
近藤さん:「まずは、そもそも人が少なく閑散としている湯の山に人を呼びたいと思いました。11年前のことになりますが、最初に取り組んだのはキモノピクニックというものです。最近では珍しくなくなった崩した着こなしの着物で町を散歩して、森の中の川床で野点の茶会と音楽ライブを楽しむというイベントでした。
はじめてのことでどうなるか不安もありましたが、その時の着物姿の女性たちが湯の山のロケーションに本当によく映えていて、温泉街の方々にも大好評で強く可能性を持ったのを覚えています。」
それからは、着物で湯の山に来てもらう機会を度々つくってきた近藤さん。
廃旅館はアートを交えてギャラリー空間にしたり、昭和歌謡DJと盆踊りを融合させた夏祭りを開催したりと、湯の山の新しい魅せ方を探ってきたと言います。
目指す風景をイベントで実現させる
試験的なイベントを開催する中で、定着した湯の山のイベントが2つあります。それは、5月ごろに開催している「カモシカ音泉 蚤の市」と、8月末に開催している「御縁日」です。
どちらも10年以上続けてきており、初めての方はもちろん、毎年楽しみにしている常連の参加者もたくさん来場するようなイベントになりました。スタッフや関係者が湯の山を楽しみながら熱くコーディネートする日。特別な時間が流れます。
このイベントをきっかけに湯の山へはじめて足を運ぶ人もいたりと、スタッフや関係者の思いは着実に広がっているようです。
湯の山ののどかな空間に人が溢れるこれらのイベントは、隅々にこだわりが詰まっているように感じます。このような近藤さんのアウトプットへのこだわりは、カフェとしての食事提供にも共通しているようです。