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岐阜市金華山の麓、長良川の鵜飼観覧船乗り場から西へ広がる川原町。古くから港町として栄え、現在も昔ながらの町屋が軒を連ねた散策にぴったりのスポットです。
今回は、歴史情緒あふれる川原町に佇むフラワーショップ「華久(はなひさ)」を紹介します。
築100年以上の町屋をリノベーション
平成26年度に「岐阜市都市景観賞」を受賞した格子造りの外観。一見すると、ここが花屋さんとはわからない雰囲気です。
かつて紙問屋だったという町屋をフルリノベーションして、2017年にオープンしました。
店名の華久は、このエリアを指す金華と、オーナー・加藤久佳さんの名前から付けたそうです。
築100年以上といわれるこちらの建物は、梁や柱は当時のままに、趣きの残る店内です。
濃い色合いのカウンターや什器がマッチした空間に、生き生きとした植物たち。
地元に寄り添う花屋に
– 華久さんのオープンしたきっかけを教えてください。
加藤さん:「もともと花屋で12年ほど勤めており、独立して自分の店を持ちたいと思いました。物件を探している中で、ここは祖父が所有していた建物で、当時空き家だったんです。」
– お店のコンセプトは何でしょうか?
加藤さん:「地元の花屋さんをテーマにしています。この近くに住む地元のお客さんのニーズに寄り添い、日常に欠かせない仏花や神棚に飾る榊も取り揃えています。今どきの花屋さんより、庶民的な花屋さんでありたいですね。」
– 仕入れのこだわりはありますか?
加藤さん:「新鮮な花を楽しんでもらいたいから、週3回花市場へ行き、高くても品質の良い花を仕入れるようにしています。」
– 店内の花は少なめですが、お花は予約制なのでしょうか?
加藤さん:「コロナ禍によって営業スタイルがだいぶ変わりましたね。花束やアレンジメントは基本予約制にしており、予約状況に合わせて花を仕入れているため、以前より店内に置く量を抑えています。」
完全予約制ではありませんが、こだわりや要望があるなら、早めの予約がオススメです。
– 切り花のほか、花苗や観葉植物も扱っているんですね。
加藤さん:「お客さんのリクエストに応じて仕入れるので、欲しいものを言ってくれたらご用意しますよ。」
取材に伺った6月は、グラデーションがうつくしい紫陽花が入荷されていました。
夏になると黄色・白・グリーン系の花が人気なのだとか。
コウモリランの苔玉は、吊るすだけで癒しの空間に。お手入れ方法も丁寧に教えてくださいますよ。
存在感ある美濃焼の一輪挿し。お店のラインナップは、そのときによって変わるそうです。
オーダーアレンジメント・花束
ギフトは贈る相手の性別や年齢、イメージを聞いて仕上げていきます。要望を聞きながら、色合いやデザインを提案するそうで、お客さんとのコミュニケーションを大切にされています。
おまかせの注文も多く、そのときの気分やベストなものに出来るか考えながら、お届けします。
アンスリウムやスモークツリーで季節感あるアレンジメント。
ピンク系の花束は可憐な小花がアクセント。
「ブルー系を入れた花束を!」という注文が多いそうです。
実物や可憐な小花をふんだんに入れることで、ナチュラルな雰囲気に。
幅広い世代のお客さんに親しまれ、用途も誕生日・記念日・法事などさまざま。どんなニーズにも対応できるよう、決まったスタイルにはこだわらないと話してくださいました。
加藤さんのお話を伺って印象的だったのが「あえてこだわらない」ということ。それには、親しみやすい華久という店名のように、加藤さんらしい思いが込められていました。強いこだわりを持たず、地元の人のニーズに寄り添っているからこそ、川原町で親しまれているフラワーショップとして重宝されています。