西アフリカ西端に位置する「ガンビア共和国」を知っていますか?
ガンビア共和国は、西アフリカの西端に位置し、周りをぐるっとセネガルに囲まれた岐阜県ほどの小さな国です。
今回ご紹介する名古屋市西区にある「Jollof Kitchen(ジョロフキッチン)」は、日本で唯一のガンビア料理店です。名鉄犬山線「中小田井駅」から徒歩3分の場所にあります。
※情報は取材時のものです。
ご利用の際には、各施設・各店舗の最新情報をご確認ください。
目次
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オレンジと白の縞模様が目印
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「ジョロフ」はガンビアの言葉で「ふるさと」という意味
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カラフルなアフリカの布を使った店内。街の食堂のような雰囲気
元気いっぱいに出迎えてくれたのは、ガンビア人オーナーのビントゥ・クジャビ・ジャロさんです。
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オーナーのビントゥさん。後ろはガンビアの地図。
実はガンビア共和国名誉総領事でもあるビントゥさん。そんな彼女が、なぜ名古屋でガンビアレストランをオープンしたのか、ガンビア料理とはどんなものか聞いてきました。
ガンビアからやってきて、名古屋に住んで30年
ビントゥさんが旦那さんの留学に着いてくる形で名古屋にやってきたのは、30年前。日本にはガンビアの大使館がなく、不便なこともたくさんあったそうです。ガンビア政府に大使館を作ることを訴えると「あなたが領事になりなさい」と任命されたのは2015年のこと。しかし、領事館の業務はすべてボランティアで行っているといいます。
ビントゥさん:「私は日本とガンビアをつなぎたいという想いでずっとやってきました。以前は別のところに領事館の事務所を構えていましたが、コロナ禍で人の出入りが少なくなったためそこは閉めたんです。レストランは以前からやりたいと思っていたし、ガンビアのご飯を食べる場所があれば文化も知ってもらえると思いました。食と文化は切っても切り離せませんから。」
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一つひとつ丁寧に料理を作るビントゥさん
そして、2021年4月にジョロフキッチンをオープン。ガンビア領事館の事務所もレストラン2階に移動しました。
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レストランの外壁には「在名古屋ガンビア共和国名誉総領事館」の看板が
領事館の仕事に関わる経費もすべて自腹で行っているというビントゥさんは「大変。本当に大変です。だから他で稼げることしなきゃ(笑)」と笑います。
ビントゥさん:「レストランをはじめたばかりの頃は、近所の人も様子をうかがってなかなか入って来ませんでした。黒人だから怖がられてしまうこともあるんです。でも、外に出て、あいさつすると中に入って来てくれます。そういう人は絶対無視しないで声をかけるんです。今は日本人のお客様の方が多いですよ。」
人懐っこく笑うビントゥさんは面倒見がよく、みんなから慕われる「食堂のおばちゃん」のような存在です。「ガンビア料理」という珍しさもあり、遠方から訪れる人もいるのだとか。
ガンビア人も米が大好き
「ガンビア料理」というと馴染みがありませんが、実は米が主食で野菜をよく食べるところは日本にも似ているといいます。ガンビアは海と川があるため魚も豊富。魚以外では鶏肉もよく食べます。
ガンビア料理はしょうがや唐辛子を使うことも多く、辛い料理も多いそうですが、ジョロフキッチンでは日本人の好みに合わせ辛さは控えめ。辛さは調整できるので、注文の際にリクエストしてくださいね。
ガンビア料理で特徴的なのは、こちらのボールのような見た目の「フフ」です。フフはアフリカの国々で食べられている伝統的な料理で、スープや煮込み料理を添えて主食として親しまれています。このフフですが、他国はコーンフラワーやキャッサバで作るのに対し、ガンビアでは「米粉」を使います。米粉を使っているためもちのような食感になり、日本人にも人気があるのだとか。
日本人の口にも合う!
ジョロフキッチンおすすめメニュー
日本で唯一のガンビア料理店ですが、意外とお客様は日本人の方が多いジョロフキッチン。30年以上日本に住んでいるビントゥさんは、和食も大好きで日本人の好みもしっかり把握しているため、日本人の口に合うように工夫して料理を作っています。
ここからは、ビントゥさんに聞いたお客様に人気のメニューをご紹介します!
人気No1!ピーナッツ風味のソース「ドモダ(Domoda)」
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ドモダ(Domoda) ¥1,320(税込)
ガンビアとセネガルでよく食べられているのが、こちらのピーナッツ風味のソース「ドモダ」。肉や魚と一緒にご飯やフフにかけて食べます。ジョロフキッチンのドモダには鶏肉が入っています。
ドモダは日本のカレーライスのような存在で、ガンビアではとても一般的なもの。こちらにはピーナッツバターのほかに、ベイリーフやブラックペッパーなどのハーバルスパイス・トマト・ニンニク・しょうが、それに細かく刻んだオクラが入っています。
ソースを口に入れた瞬間、スパイスの香りが広がります。辛さは控えめですが、たくさんのスパイスとにんにくもきいているため、しっかりパンチのある味わいです。刻んだオクラがいい感じのとろみを出して、するりと口に馴染みます。
まん丸のボールのようなフフの断面はこんな感じ。米粉なので、本当にもちもちの食感!とろみのあるしっかり味のソースによく合います。毎回必ずドモダを頼む常連さんもいるほどの人気商品です。
しっかりした味付けと爽やかな甘みが絶妙!「チキン・アフラ(Chicken Afra)」
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チキン・アフラ(Chicken Afra) ¥1,320(税込)
こちらも人気商品の「チキン・アフラ」。付け合わせには、パンかご飯を選べます。マスタードとハーブスパイスに漬け込んだ鶏肉と玉ねぎなどの野菜を炒めた一品です。ドレッシングのかかったサラダと一緒にいただきます。
こちらもしっかりした味付けながら、爽やかな甘みも感じます。爽やかさの正体はゆず。
ビントゥさん:「ガンビアではジャムを使うんですが、日本人はみんなゆずが好きだから。私もゆずが大好きだから、少しアレンジしてみたんですよ。」
たくさん入っている野菜は、その時の旬のものを使います。さっぱりした味付けなので、サラダ感覚でも楽しめますよ。
ガンビアの定番デザート「チャキリ(Chakery)」
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チャキリ(Chakery) ¥550(税込)
牛乳とヨーグルトを使った、甘さ控えめのガンビア定番デザートです。バナナ・りんご・ドライフルーツなどが入っていて、飲むヨーグルトのようなあっさりした味わい。さらに粗挽き小麦が入っているので、つぶつぶ食感がアクセントになっておいしい!
ガンビアではおやつとしてだけではなく朝食にも、そして赤ちゃんのご飯にもするそうです。
ジョロフキッチンでは、コンサートやイベントなども不定期で行っています。それも「みんなが楽しんでくれるように。ガンビアのことを知ってもらえるように」というビントゥさんの想いから。そんなビントゥさんを頼りにやって来る人も多く、取材した日は新たに来日した留学生が尋ねてきていました。
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ビントゥさん(左)と、留学生、スタッフの皆さん
ジョロフキッチンは、国境を超えていろんな人が集う温かい場所です。おいしい料理だけではなく、名物おかみのビントゥさんに会いに行ってみてはいかがですか?