目次
北欧家具と言えば、シンプルなのに温かみがあるデザインが人気です。日本ではここ10年くらいで大きなブームとなり、北欧の暮らしぶりを参考にしている方も多いのではないでしょうか。
そんな北欧家具のなかでも「最高峰」と呼ばれている「フィン・ユール」「イプ・コフォードラーセン」「ヤコブ・ケア」など、多くのファンに愛されて続けている彼らのデザインを、復刻・継承している飛騨の家具メーカーがあるのをご存知ですか?
今回は、岐阜県高山市松倉町にある「キタニ」をご紹介します。
家具から見える、北欧の穏やかな暮らし
「キタニ」のショールームへは、メインロードから山道へと入り、さらにその奥へ……四方を自然に囲まれたとても静かなロケーションです。
これまで多くの飛騨の家具メーカーをご紹介させていただきましたが、ここは扱う家具が違うのはもちろん、一風変わった雰囲気を持っています。写真ではわかりにくいですが、パイプの右奥に見えている建物がちょっとはみ出て浮いているのが分かりますか?
入り口には世界の職人をシンボルにつくられた「手工神(作/天野裕夫)」なるオブジェクトが。独特なインパクトある見た目と、360度の細やかな造形をじっくり堪能して中に入ります。
左右を木枠でデザインされたまっすぐな廊下の中間に、小さな兵隊さんとデンマーク国旗がお出迎え。廊下の右側は工房なので、職人たちの手作業に興味のある方は、木枠の隙間からそっと覗いてみてくださいね。
そして、左側がショップスペース「Gruk(グルック)」です。さっき空中に浮いていたのはこのお店のようです。
ちなみに、北欧のなかでも最も小さな国であるデンマークは、半島と島で成り立っています。童話作家アンデルセンの故郷としても知られ、おとぎ話に出てくるような宮殿や建物が立ち並ぶ素敵な王国です。
また、世界幸福度調査で1位に輝いたり、男女平等や福祉の観点から見ても、かなり先進的な取り組みを行っている国でもあるんです。
北欧家具が人気なのは、デザイン性ばかりでなく人々の心豊かなイメージもあるのかもしれませんね。
ショップ内には、北欧家具や小物、日用雑貨などがきれいに並んでいます。
デンマークの陶磁器ブランド「ロイヤルコペンハーゲン」の食器たち。
椅子の張り生地でできたオリジナルバッグは、そのときにある素材と職人さんのインスピレーションで製作される1点もの。
クッションや椅子はそれぞれ色やデザインが違うのに、北欧カラーならではの統一感があります。「オレンジとネイビーはこんなふうに合わせたらいいのか」と、組み合わせの参考になりますね。
そして、これらの椅子こそが巨匠たちのデザインです!
さらにショールームの奥へ
先ほどの廊下の先はショールームへと続いています。いくつもの建物が連なっていてまるで迷路のよう。
通路の地面までおしゃれです。日本各地からこのショールームを訪れる方が多いのも納得。
こんなモニュメントを発見。創業40周年を記念してつくられた「円舞(作/林武史)」という作品だそうですよ。
キタニのショールームは、まるで一軒家のように空間が分かれています。部屋ごとの使い分方や生活様式に基づいた家具の配置が見られるのは親切です。
こちらはダイニングルーム。
隣はリビングルーム。
奥には応接室もあります。このお部屋は「奥様がご友人を招いてお茶を楽しんだりする場所」だそうで、ちょっと女性らしいテイストになってるのがわかります。
ショールームを見ていて気になったのは、ところどころに日本家具や和小物が散りばめられていること。そして、すべてがなぜかちゃんと調和しているんです。
こちらはまさに和室。畳の上にラグが敷いてあり北欧チェアが乗っています。色の組み合わせも見事としか言いようがありません。日本の家屋と北欧家具って相性がいいんですね。
そんななかでも、私が特に気になったのはこのラグたちです。ひとつの空間にこれだけ柄の異なるラグを配置して、さらに家具の色もさまざま……どんなセンスがあればこういう組み合わせができるんだろうと感心してしまいます。
「大丈夫です、意外と調和するんですよ。でも迷ったらお気軽にご相談くださいね」とスタッフさん。何度も通って相談して購入を決める方も多いそうです。
ラグは、草木染め手織り絨毯「ニヤローラン」やスウェーデンの老舗ラグメーカー「KASTHALL(カスタール)」など、丈夫で品質のいいものが揃っています。
1枚敷くだけで特別な空間になりそう!