【名作家具シリーズ】計算されつくした『MRチェア』|ミース・ファン・デル・ローエ
目次
Less is more. (レス・イズ・モア)の
精神が息づく家具たち
ミースが残した有名な言葉に「レス・イズ・モア」より少ないことは、より豊かなことという言葉があります。その言葉の意味するところは、シンプルにすることがより良いデザインにつながる、ある物に追加要素を付け加えたり、個性を出すために装飾品を飾り立てるのではなく、不必要な要素を差し引いていくことで、生活をシンプルにしていくという考え方です。
簡潔なものの中にはうつくしさと豊かな空間が生まれるということを表しており、MRチェアだけでなく、ミースが生み出したものには、「レス・イズ・モア」の精神が息づいています。
バルセロナチェア
バルセロナチェアは、モダンデザインの傑作として、デザインされてから約90年ほどたった今でも世界中で愛されています。 ミースの作品の中でも特に人気のあるのが「バルセロナチェア」です。このバルセロナチェアは、1929年に開催されたバルセロナ万国博覧会で、ミースが手がけたドイツ館に設置する椅子として合わせてつくられました。
そのデザインの最大の特徴は、ゆったりとした佇まいでありながら、優雅にクロスした脚。シンプルな造形美を備えており、インテリアにモダンな雰囲気を与えてくれます。
ブルーノチェア
ミースの代表作であるブルーノチェアも、人気のある椅子の一つです。欠点のない室内装飾品”と呼ばれた名作チェアです。ダイニングチェアとしてつくられたこの椅子は、ダイニングチェアとしてはもちろんのこと、オフィスのミーティングルーム用としても絶大な支持を得ています。
「片持ち梁」と呼ばれるこの構造で設計されており、ひじ掛けがそのまま脚となっている不思議な形をしています。
プロダクトにおいて、シンプルでありながら誰もが理解しやすく扱いやすいものをつくるということは容易いことではありません。シンプルさと利便性のバランスを取ることは、大変難しいですが、ミースのつくるものは、シンプルの先にある洗練されたうつくしいものばかりです。
改めて名作家具の背景を知ることは、家具を選ぶ際のヒントや生活をより豊かにするきっかけとなるはずです。長く愛され続けているものには必ず理由があります。今後も定期的に、デザイナーズチェアの魅力についてご紹介していきますので、次回もお楽しみに。