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円頓寺商店街の路地裏にひっそりとたたずむ「NO DETAIL IS SMALL(ノー ディティール イズ スモール)」。建築家とデザイナーの夫婦が営む、オリジナルノートとスペシャルティコーヒーのお店です。店内にはこだわりのノートがずらりと並びます。
そして、なんとNO DETAIL IS SMALLでは、自分だけのオリジナルノートもつくることもできるんです。今回は実際にノートづくりのワークショップも体験してきました!
場所は、地下鉄「国際センター」駅から徒歩5分ほど。古い街並みに溶け込む、モダンな外観が目印です。
店内には、NO DETAIL IS SMALLオリジナルのノートをはじめ、こだわりのノートが並びます。
岡山県産の「セルビッチデニム」を使用したノート
ネックレスのように首かけるタイプのノート
ノートにももっとこだわりを
NO DETAIL IS SMALLが誕生したのは、2016年8月のこと。どのようなきっかけでオープンしたのでしょうか。店主の矢田さんにお話を伺いました。
矢田さん:「私たちは「有限会社矢田義典建築設計事務所」という設計事務所も営んでいるのですが、岡崎にある老舗文房具店の設計&デザインを担当させていただいたことがきっかけです。店舗の設計だけでなく、コンセプトやブランディングも任せていただきました。
さまざまな文具店をリサーチする中で、万年筆やペンといった筆記用具にこだわる人が多いですが、ノートにこだわる人が少ないことに疑問を持ったんです。もともとプロダクトデザインを手がけていたこともあり、「自分たちでノートをデザインしてみよう!」とはじめたのがお店誕生のきっかけですね。」
細部にまでこだわったノートづくり
矢田さん:「店名の「NO DETAIL IS SMALL」とは「細部にこだわる」という意味。目配り、気配りという意味もありますね。なので、特に紙や素材にはこだわっています。素材は、日本製で地元産業を中心に仕入れています。例えば、表紙に使用している布は、愛知県知多半島で織られている「知多木綿」です。ノートにする加工も、愛知県内の工場にお願いしています。」
NO DETAIL IS SMALLでは、すべての紙の試し書きが可能。こだわりの素材をぜひ試してみてくださいね。
自分だけのノートがつくれる!
ノートづくりワークショップ
今回は実際に、ノートづくりのワークショップを体験してみました!挑戦させていただいたのは、ノートづくりは初挑戦というスタッフ浅井です。
ノートの表紙・中用紙・裏表紙を選び、リングノートをつくるというもの。紙選びから穴あけ、リング綴じまでを製本機を使い、自分だけのノートをつくります。
<はじめてのリングノートづくり>
参加費:¥3,000〜(消費税別) ノート1冊+スペシャルティコーヒー
http://nodetailissmall.com/workshop/
ステップ① 表紙選び
レザーは姫路産。同じ種類のレザーでも、少しずつ色味が異なります。
まずは、ノートの顔となる表紙を選びます。種類は、黒・白・レザーの3種類。布や木の貼り合わせ、壁紙を用いたものもあります。今回はレザーをチョイスしました。レザーは、使い込むほどに味わいが増し、男女問わず人気が高いそうです。
ステップ② リングを選ぶ
続いては、リングを選びます。全7種類(写真のものにグレーが追加)。異なる色のリングを組み合わせることも可能です。
表紙にリングを置いて、組み合わせを選びます。リングが違うだけで、かなり印象が異なりますね。
ステップ③ 中用紙を選ぶ
いよいよノートの中用紙を選びます。紙の種類は全部で7種類。一つずつ紙の特徴を教えていただきながら、試し書きをしていきます。書き心地は筆記用具によってかなり異なるので、いつも使っている筆記用具を持参することをおすすめします◎
ウォーターマークが入っている「OK fools paper」
・OK fools paper(OK フールス紙)
「フールス紙」のルーツはイギリスの「フールスキャップ」という紙で、”道化師帽”の透かしが入っていたことから、この名称になったと言われています。万年筆の書き味は、滑らかで吸水紙が不要なほどインクの吸収がよく、裏抜けしません。質感、風合い、書き味が心地よい紙です。・Bank Paper(バンクペーパー)
「バンクペーパー」という名称は、銀行の帳簿用紙(専用紙)として三菱製紙が製造し、使用していたことに由来。銀行帳簿用紙は、大変重要な情報を書き記すものでした。そのため、書きやすく、保存性&耐久性にとても優れています。・竹上100(たけがみ 100)
国産竹100%でつくられた紙。昔から「竹」は、竹箒や竹籠など、とても身近な存在でした。しかし、文明の発達とともに使用が激減……。そして、従来の竹林が放置されるようになり、さまざまな問題が起きています。そんな、放置竹林の課題解決の糸口として、開発&誕生した紙が「竹上100」です。強くてしなやかな紙質が特徴で、力を抜いてサラサラと書くのもおすすめ!・Tomoe River(トモエリバー)
名前の通り、静岡県静岡市を流れる巴川(ともえがわ)のほとりにある、巴川製紙所でつくられている紙です。特徴は、超軽量で薄いこと。しかし、インクの裏抜けがありません。本来、辞書用紙でもあるので、薄くてめくりに強く、破れにくい耐久性があります。・Monte Lukia(モンテ ルキア)
特徴は、紙色が白色度92%と、太陽に照らされた雪山のように白いこと。そのため、書いた文字やインクの発色がとても良い紙です。もうひとつの特徴は、同じ重さの紙と比べて倍以上の厚みがあるので、書き味がソフトで手触りもやさしいです。・紀州色上質(きしゅういろじょうしつ)グレー・ブラック
1954年の発売以降、ノート・書籍・用紙など、幅広く用いられてきた紙。表面にコーティングがされていないので質感がよく、不透明どが高いのも特徴です。用紙表面の質感と発色の良さは、紀州色 上質ならでは。
今回はこちらの組み合わせを選びました。どんなノートになるのか楽しみです。
そして、NO DETAIL IS SMALLのワークショップでは、もう1冊ノートをつくります。
その理由は、「Share happiness !workshop」という取り組みです。NO DETAIL IS SMALLでは、ワークショップに参加された方がつくられたノートを、名古屋市の児童養護施設の中高生に寄付するという取り組みをされているんです。
誰かを想ってものづくりをする。想いのこもったものを使う。どちらにとっても素晴らしい取り組みですよね。
ステップ④ 製本機で穴を開ける
製本機
まずは、製本機の使い方を学びます。リングを通す穴の位置に合わせて、刃を設定します。
いよいよ、初めての製本機に挑戦です。レバーを持って、ぐっと力を入れます。
ガイドと合わせて、位置が合っているか確かめます。
同じ要領で、表紙・中用紙・裏紙と、穴を開けていきます。
ステップ⑤ 製本機でリングを取り付ける
リングを必要な長さでカットします。
リングを、ノートに通して、製本機でプレスしてリングを綴じます。
ステップ⑥ 下敷きをはさんで完成!
最後に、下敷きをはさんで完成です!
NO DETAIL IS SMALLでは、オリジナルボックスで包装してくれるので、大切な方へのプレゼントにもおすすめですよ。就職や進学のお祝いとして贈られる方も多いそう。
ノートづくりワークショップを体験してみて
約1時間半ほどで、2冊のノートが完成しました。さっそく感想を聞いてみたいと思います!
浅井:「表紙はできるだけ長く使えるように革のものを選びました。リングもたくさんあり悩んだのですが、特に中の紙を選ぶ際は目移りしてしましましたね。その紙がどのように使われているのか、どんな素材なのか、ていねいに説明していただき、実際に文字を書いてみると違いに驚きました。どれも個性的で面白かったです。
つくるのは思っていたよりも簡単でしたが、自分の好みにしようと思うとどうしても時間がかかってしまいました。でもその悩んでいる時間でさえすごくおもしかったですし、だからこそ完成した時の感動もひとしおでした。
「Share happiness !workshop」としてつくったノートは、寄付というよりプレゼントという気持ちが大きかったです。名前も顔も知らない人に自分がつくったものをプレゼントするという体験はとても新鮮で、「どんな人に届くのかな」「大切に使って欲しいな」と思いながらつくりました。
大人も子どもも楽しめるワークショップだと思います。デジタル化が進んでいる時代だからこそ、小さなお子さんにも紙の良さを実際に味わって欲しいなと思いました。」
ノートづくりの後は、ゆったりとコーヒータイム
店内奥にあるカフェスペース
ワークショップのあとは、NO DETAIL IS SMALL自慢のスペシャルティコーヒーでコーヒータイムです。(ワークショップ中にいただくことも可能)
スペシャルティコーヒー ¥540〜
店主こだわりのシングルオリジンが、週替わりで2~3種類登場します。もちろん、コーヒーだけの利用もOKです。入れ替わる豆を楽しみに、通われている方もいらっしゃるのだとか。
コーヒートニック ¥648
そして、これからの季節にぴったりなのが「コーヒートニック(豆は日替わり)」。グラスには氷とシロップが入っており、水出しコーヒーとトニックウォーターを注いでいただきます。炭酸が入ることで、爽快で飲みやすく、苦味が苦手な方でもジュース感覚で楽しめると思います。
ノートをつくった幸せな余韻に浸りながらいただくコーヒーのおいしさは格別です。
ノートは使い捨てという印象がありますが、NO DETAIL IS SMALLでは中用紙の交換が可能なので、長く大切に使うことができるんです。ノートは、洋服やアクセサリーと同じくらい身近で毎日使うもの。筆記用具と同じように、ノートにもこだわってみませんか?