「大垣サウナ」地下天然水を湛えた水風呂で、極上のととのい体験

大垣市
掲載日:2021.11.29
「大垣サウナ」地下天然水を湛えた水風呂で、極上のととのい体験

※情報は取材時のものです。
ご利用の際には、各施設・各店舗の最新情報をご確認ください。

豊富な地下水の恩恵を受け、古くから「水の都」と呼ばれてきた岐阜県大垣市。そんな大垣市で半世紀以上地元住民に愛され、全国のサウナ愛好家から「レジェンド」と称賛され続けているのが「大垣サウナ」(男性専用)です。

セッティングのいいサウナ室、まろやかな水風呂、おいしいサウナ飯、そして「ママ」をはじめとするスタッフのあたたかさ。凡庸な表現ですが「オアシス」という言葉がこれ以上ないほどぴったりです。

継承される「正国イズム」

大垣サウナ

1966年に開業し、2021年に55周年を迎えた大垣サウナ。大垣駅とは少し離れた住宅街に突如として現れる、白亜の外観が特徴的です。

出迎えてくれたのは岡田昌子社長と林亨支配人。さっそく大垣サウナの中へと案内していただきます。ちなみにおふたりは親戚関係にあたるそう。



靴用のロッカーはなく、フロントに直接預ける仕組みです。

大垣サウナの歴史をひも解くと、昌子社長の夫である岡田正国前社長がビートルズが来日した年と同じ1966年に開業。その少し後から昌子社長も手伝うようになり、以降は夫婦二人三脚でサウナを運営してきたそうです。



「お父さん(正国前社長)がね。企業の展示会に行ったときに『お風呂好きな日本人に受け入れてもらえる新しい商売はこれだ』ってひらめいたみたいなの」と、大垣サウナ誕生のきっかけを昌子社長は話してくれました。
岐阜県内はもとより、全国にもサウナ施設がほとんどなかった時代。正国さんの先見性を感じ取ることができるエピソードです。なにより正国さんの話になると昌子社長は目が細くなり、とてもうれしそう。インタビューしているこちらも、その笑顔にいつの間にか引き込まれてしまいました。僭越ながら、これ以降は常連さんと同じく「ママ」と呼ばせていただきます。

しかし10年前、正国前社長は6年間という長い闘病生活の末に他界。正国さんの闘病中、ママは病院とサウナを行き来する毎日を送り、ふたりの時間を大切にしたそう。愛情の深さがひしひしと伝わってきます。一度はサウナも閉めようかとも思ったそうですが、「宴会の予約もたくさん入ってて、閉めるに閉められないまま気づいたら10年経ってました(笑)」と話します。

ママ:「お父さんは誠実な人だったわね。おおらかで従業員にもやさしかったです。厳しいときには厳しくて、言ったら嫌われるようなことでもきちんと言うタイプでしたね。でも、嫌われないからすごいと思う(笑)」

正国さんの誠実さは大垣サウナ内のいたるところに表れており、「正国イズム」が継承されているのがうかがえます。たとえばタオルや館内着なども驚くほど美しく積み重ねられています。

大垣サウナはロッカーの上にタオルが置かれ、使われたら次々と補充されていく仕組み。これは汚れがちなロッカー上まで、きちんと清掃が行き届いている証です。

半世紀以上営業を続ける大垣サウナは当然老朽化が進んでいるのですが、それを感じさせないような清潔感があります。

支配人とサウナセッション!

さあ、いよいよ浴室へ!大垣サウナの魅力をより伝えるべく、自らもサウナーである林支配人と「サウナセッション」する運びとなりました。

サウナに入る前にまずは身体を清めましょう。サウナ室の前にはサウナパンツも用意されています。

いよいよサウナ室へ。10人ほどは余裕で入れそうな大きさで、なかにはテレビもあります。

林支配人:「サウナと水風呂の温度差100℃くらいがちょうど『あまみ※』が出やすいです。うちの水風呂がだいたい14℃なんで、逆算して110℃くらいにサウナの温度を設定しています」

※サウナ・水風呂の後に皮膚表面に赤い斑点。「あまみが出るサウナはよいサウナ」と考えるサウナーが多い

実際にサウナ室に入ってみると温度は110℃どころか120℃を指していました(支配人いわく「運がいい」)。ここまで高温のサウナは、近隣のスーパー銭湯やサウナ施設を探してもなかなか見当たらないはずです。

サウナ内に掲示されている、「われらサウナ人」を眺めながらじっくりと蒸されます。

林支配人:「サウナストーブを製造している旧中山産業(現メトス)の『温浴哲学(社訓)』をお客様が写して来てくれたものに正国が感銘を受け、一部を石板化したものと聞いています。」

しかし、不思議と閉塞感や息苦しさを感じないのは、やはり湿度とのバランスなどセッティングの良さでしょう。じっくり気持ちよく汗がかけます。とはいえ、7分も入れば完全にセットアップ完了!ちなみに支配人は10分ほど入っていました※。

※我慢比べがサウナの本質ではないので、体調に合わせて時間を調節しましょう。「水風呂に入りたい!」と思ったときこそそのときです。

そして待望の水風呂へ、汗を流したのちザブーン!

大垣の天然地下水をかけ流した水風呂はとろけてしまいそうなほどまろやかな肌触りで、言葉を失いかけます。「いろいろなサウナ施設を巡ってきましたが、やっぱりここの水風呂が一番!」と支配人も自画自賛しますが、「本当にそうかも」と素直に思います。

林支配人:「吐水口のあたりで、まずは水の冷たさを体感してみてください。次第にサウナ側の壁の方(写真奥・中央の黒い模様のあたり)に移動すると、羽衣※が崩れずいつまでも水風呂に入っていられますよ!」

※水風呂に入った際に身体が膜に覆われるような感覚

水風呂から出た後は洗い場用のイスに座って休憩します※。「外気浴こそ至高!」と考える向きも多いですが、浴槽に響く風呂桶のカランコロンといった音も、「ととのい」へと誘ってくれます。

※うなだれて座ることから一部では「あしたのジョースタイル」と呼ばれています。

「あまみ」が全身に出てきて、すっかりととのいかけていると「“コマイヌ”行きましょう!」と支配人。館内着の下だけ着用し、連れてこられたのはなぜか駐車場がある玄関前。



露天スペースがない大垣サウナにおいて、常連さんがあみだした独自の外気浴方法がこの「狛犬スタイル」!大垣サウナの玄関前にイスを出し、対になって外気を浴びます。今日は支配人と一緒に狛犬スタイルを実践。(貴重なカットです)

サウナの敷地内とはいえ、駐車場で上半身裸というのは違和感ありありですが、とにかく風が心地よすぎる!

サウナ上がりは極上のサウナ飯

サウナ→水風呂→休憩(あしたのジョースタイル+狛犬スタイル)のルーティンを3回繰り返し、すっかりととのってしまいました(3セットお付き合いいただいた林支配人に感謝)。でも、お楽しみはまだまだここからです。

2階にはリクライニングチェアを配したリラクゼーションルームがあり、サウナ後の大休憩に最適。テーブル上には新聞がびしっと整えられて置かれるなど、ここにも「正国イズム」を感じます。

同じく2階には食事処が。ちょっとレトロな門構えが堪りません。

カウンター席の雰囲気も最高で、キープされたボトルがたくさん並んでいます。

「大垣サウナの正しい入り方」を教えていただいた、林支配人も引き続きご一緒に。館内着に着替えリラックスモードです。

まずはお刺身盛り合わせ(時価)を味わってみると、新鮮さに驚かされます。大垣の市場から厳選した魚を仕入れているのが、おいしさの秘訣なのだとか。

名物の豚ロース生姜焼き定食(1,400円)。一般的な生姜焼きと異なり、ロース肉を贅沢に厚切りに。にんにくが効いており、トンテキにも近い味わいです。「ほどよい塩分がサウナ後に心地よいでしょ?」と林支配人が話すように、一度味わいだしたら次々と箸がのびます。

おでん(150円~)や鍋焼きうどん(840円)など、季節限定のメニューもあり居酒屋も顔負けのメニューラインナップ。どのメニューも味のクオリティが高く本当に大満足でした。

「サウナの原型」を次世代に伝える「聖地」

林支配人:「最近の温浴施設って『テーマパーク型』とアウフグース※などを目玉にした『アトラクション型』に分類されると思うんですが、うちはどちらにも振らないで『サウナの原型』を貫いたことが『聖地』と言っていただける要因かな。」

林支配人のサウナ業界全体を俯瞰する目線は素晴らしく、「大垣サウナが求められていること」をとてもよく理解しています。移り変わる流行をあえて追わず、シンプルにサウナを楽しめるのは大垣サウナの醍醐味ではないでしょうか。

※ 熱せられた石に水をかけることで発生した蒸気を、タオルなどを振り回すことで一気に撹拌させ体感温度を上げるプログラム

ママ:「サウナ好きの方って新幹線や飛行機でわざわざ来られるでしょ?私、それが未だに信じられなくって」

一方で昨今のサウナブームに驚きを隠せない様子のママですが、、常連客も新規の客も分け隔てなく笑顔で接する姿がとても印象的。そんなママのやさしさにも触れ、帰路につくときは後ろ髪を引かれる思いに苛まれます。大垣サウナが日帰り圏内にあって本当によかった。

 

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スポット詳細

【大垣サウナ】
住所:岐阜県大垣市三塚町1222
電話:0584-78-4000
料金 :

入泉料1700円、土曜の24:00以降のオールナイト料+800円、日曜の朝風呂(6:00~9:00)入泉料1000円、夜9:00以降1100円(土曜日は25:00まで滞在可能)
駐車場:あり

https://www.ogaki-sauna.com/

名古屋市在住の編集・ライター。旅、グルメ、温泉、レジャーを中心に様々なジャンルの記事を執筆している。とくに国内旅行はライフワークであり、全国津々浦々を探訪。地のおいしい食材との出会いを楽しみにしている。旅先ではお酒を嗜みたいため、基本は鉄道移動。「青春18きっぷ」を使った過酷な旅も厭わない。また、「サウナ・スパ健康アドバイザー」の資格も保有し、サウナ施設やスーパー銭湯にも足繁く通っている。

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