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名古屋市熱田区にある東海地区最大級の広さを誇る「白鳥庭園」。3月23日(土)から3月31日(日)までは、現代アート作品が展示されたアートイベント『ゴエンナーレ』が開催されています。開催中は、『異界庭園』と銘打たれ、一風変わったアートの展示や、雅楽演奏・朗読などの催しが行われ、日本の感性を今一度意識するアートイベントとなっています。
今回は、ゴエンナーレの見どころ、白鳥庭園の魅力を合わせてご紹介してきます。
東海地区最大級の広さを誇る「白鳥庭園」
最初に、今回の会場となった白鳥庭園の説明をいたします。
白鳥庭園は、中部地方最大級の規模を誇る日本庭園。園内では、名古屋駅からそれほど遠くないのにも関わらず、うつくしい緑や花木を楽しめます。庭園のモチーフとなっているのは中部地方の地形。
岐阜と長野にまたがる御嶽山を築山にし、そこから湧き出た水が滝になり、木曽川・長良川・揖斐川の木曽三川、そして最後は伊勢湾に見立て、源流から大海までの『水の物語』をテーマにした市内随一の規模を誇る日本庭園です。
ご縁でつながるゴエンアート
白鳥庭園があるのは、地下鉄名城線『神宮西』駅下車。4番出口より徒歩10分の場所です。
ゴエンナーレとは、愛知県内を中心に美術館やギャラリーとは違う場で出会うアートイベント。ゴエンナーレでは人とアートが交歓する場をつくり、記憶に残る豊かな時間を演出しています。
自然という素材で構成された究極の人工美「日本庭園」と「アート」のコラボレーションで、日本の文化を培ってきたであろう「もののあわれ」「見えないものへの畏敬の念」など日本の感性を今一度意識するアートイベントとなっています。
それではさっそく行きましょう!
正門を入って最初に見つけたのが、鈴木優作さんの作品『stone man』。異界庭園に散らばる生きた関守。石の魔物のイメージを陶器で現しているのだとか。
他の場所にも、石の魔物がいました。訪れるまでは異界庭園とはどういうものかが想像できませんでしたが、中に入って納得!これは、いつも白鳥庭園とは全く違います!おもしろい予感がしてきました。
続いて目に入ったのが松の木に吊るされた松ぼっくりとヒンメリ。2015年より、 庭師を中心に愛知県名古屋市にて活動している造景集団「某(なにがし)」の作品『木霊』。植物を中心とした有機的素材を使用し、ひとつの景色をつくる事を主軸に置き、自然が生み出す四季やフォルムで遊びや驚きを感じられる空間表現されています。
近づくと吸い込まれそうです。なんだか妖怪のようにも思えてきました。
松の木をたどっていくと、なにやら中心で放射されるかのような装飾が!庭園内にある植物の素材を使用して、異界を表現されています。まさに、植物を熟知した庭師であるからこそできる造景です。
作品は自然に溶け込み突然現れます。左にトゲトゲしたものが飛び出ているのが見えます。これも作品でしょうか?
作品B『丈比べ』
近づいてみると、やはりアート作品の一つでした。西山弘洋さんは「“無いもの”のために場所を作る」をテーマに制作されています。物事には多彩な視点があるというコンセプトのもと、白鳥庭園内に、仮の場所を与えることで、少しの違和感を含んだ現実になり、鑑賞者にとっては不確かな体験を演出しています。
作品B『丈比べ』
アート作品がどこかに隠れてるかもという視点を持っていなければ、あまりに自然すぎて通りすぎてしまいそうです。ですが、アートがどこかにあるかも?というアンテナを張っているからこそ、通り過ぎてしまいそうな場所に視点を置き、変化に気づくことができたのかもしれません。