JR・名鉄「豊橋」駅から渥美線に乗り換え「柳生橋」駅下車。徒歩10分ほどの場所にひっそりと佇むお店「ツバメ食堂」。
2009年2月にオープンし、10周年を迎えます。おいしいワインとビストロ料理が愉しめるディナーがメインで、毎週水曜日は焼き菓子を中心とした「水曜日のツバメ」、毎月第4日曜日のみ開催する「昼呑みツバメ」を楽しむことができます。
目次
「食を丁寧に愉しむ」をコンセプトに、旬の野菜や食材を使用したメニューを提案しています。ワインはすべて自然派ワインを提供しており、おいしい料理とワインを味わうことができます。コース料理は用意しておらず、好きなものを好きな分だけ楽しめる。それがツバメ食堂の魅力です。
自分たちがおいしいと感じたものを、
おいしい状態で提供する。
ツバメ食堂を営む奈良夫妻
-ツバメ食堂をオープンしたきっかけは?
「自分たちだったらこんなお店に行きたいね、こんなお料理やお酒を愉しみたいなどの想いがあり、互いに料理の修行を重ねていきました。ご縁があり今のお店の物件を紹介していただき、自分たちにとってもベストな場所だなと思い、ツバメ食堂をオープンしました。」
-お店をつくるにあたってこだわったところを教えてください。
「もともとここは、セレクトショップでした。当初は、セレクトショップから飲食店になるというイメージがあまりできなかったのですが、大工さんと相談しながら考え抜いてつくりました。壁は自分たちで塗ったりしましたが、丸ごと無くすのはもったいないと思い、ヒノキの床材はそのまま生かしました。いい感じのかすれた具合が今も大好きです。
テーブル席とともに、カウンターも設けたのもポイントです。会話を大切にしたいと思っており、お客様と目線を合わせられるようにカウンターをつくりました。カウンターに合う椅子は、豊橋の家具職人さんと出会い、高さ60cmほどのスツールをつくってもらいました。」
-テーブルもオーダーしたものですか?
「テーブルにもこだわりたくて、硬い素材でどっしり感のあるウォルナット系の木材をチョイスしました。このテーブルは、1枚の木を選んでそれをカットしたもの。重厚感もあって空間にも馴染んでいるのでお気に入りです。」
-ツバメという響も素敵ですね
「まだお店を始める前、子どもが小さかった頃に近所を散歩中にツバメを見ることが大好きでした。私たちの中でツバメは特別な存在。お店の名前を決めるとき、互いに好きなものなんだろうと考え、”ツバメ”というキーワードが出てきました。渡り鳥でもあるツバメは、いろいろな場所に飛び回っていても、同じ場所へ戻り巣作りをするそうです。ツバメ食堂も、ここへ戻ってくるとホッとするような場所にしたいという想いを込めてツバメ食堂と名付けました。」
-料理やスイーツに関してのこだわりを教えてください。
「できる限り安心できる食材を選んで、私たちが食べておいしいもの、身体が素直によろこぶ料理や焼き菓子などを提供したいと考えています。スイーツに関しては、季節のフルーツなど、その時期に出会った食材を使いながら、つくりたいものをつくっています。」
店主の自然栽培畑で収穫した野菜たち
畑に行く際はこのバイクで向かうのだそう。
-野菜は自家菜園のものを使用しているそうですね。
「基本的には、自分の畑で自然栽培で育てた野菜を使っています。約3年前に畑をはじめて、今では、じゃがいも・ズッキーニ・ピーマン・なす・インゲン・落花生・サツマイモなど、年間40〜50種類もの野菜を育てています。そのほか、有機栽培で丁寧に育てられた地元の農家さんからいただく野菜も使用しています。
野菜を育てるようになってから、より食に対して考えるようになりました。丁寧に育てられた鶏の有精卵を使用したり、お肉を仕入れる際は、どのように育てられているかも確認したりと、食材に対してよりこだわりを持ちながら調理しています。」
-今後の展望について教えてください。
「夜営業とともに、水曜日限定の焼き菓子カフェ“水曜日のツバメ”や、毎月第4日曜日に行う昼呑みを営業しています。特に昼呑みに関しては、その日のためだけに料理を考えるのが8割以上。夜営業のときにはお出ししない小皿や、気になる食材を使った新たな料理を提案しています。昼呑みがあるからこそ刺激になり、新たなチャレンジもできます。私たちの毎月のステップにもなっています。今後も、何かをやりたいなと思ったら実践していきたいと思っています。」
お店の雰囲気にも心癒される
食とともに楽しんでほしいのが、店内の雰囲気。室内に足を運ぶとホッと心和み、長居してしまうくらい居心地の良さが抜群です。
店内にあるアンティークの家具は、名古屋のアンティークショップで購入した日本の古いもの。「もともと古いものが大好きで、特に日本の古いものは丁寧につくられています。心和む雰囲気だからこそ、日本の古い家具を置くことで、お店全体が心地良い空間になるのではと思って購入しました」と話してくれました。
印象的なのは、テーブルのいたるところに置いてある書籍。ジャンル問わず置いてあり、ついつい読んでしまいたくなるセレクトも◎。
DIYをして本棚もつくったのだそう。自分たちが読みたい本、お客さんから譲ってもらった本。いろんな古い本を読みながらお酒と料理を楽しむのも素敵です。
ガラスの器も日本の器。レトロな雰囲気かつ機能性も抜群なので使い勝手が良いそうです。
オススメの夜メニューをご紹介
自家製パンもおすすめ!
旬の食材を使いながら丁寧に調理された夜メニュー。その日、その時期で採れる食材に合わせてメニューを変更しているので、一期一会の料理との出会いを楽しむことができます。
こちらは「あなごのフライ(800円)」。フワ&サクの食感が絶妙的で、あなご本来のおいしさを楽しめるフライです。
ハーブとニンニクを加えた自家製ヨーグルトをつけて食べると、さらに美味しさが増します。爽やかなヨーグルトの味わい、あなごのふんわり感がマッチします。
「焼きシェーブルのサラダ(950円)」。山羊のチーズ(シェーブル)をパンに乗せてトーストし、さっぱりとしたサラダに添えた一品。山羊チーズの独特のクセが程よく食べやすいのが魅力的です。
「夏鹿のパテ(750円)」。見た目は濃厚な味をイメージしますが、夏鹿はクセがなく赤身を多く含んでいるので、一口食べると意外にもあっさりとした味わいが特徴です。自家製ピクルスは程よい酸っぱさで何個でも食べられるおいしさです。
「シュクルート(1800円)」は、フランスのアルザス地方の郷土料理として親しまれています。ツバメ食堂のシュクルートは、ほくほくのじゃがいもと、香味野菜を加えてじっくり煮込んだ米沢豚、自家製発酵キャベツ(ザワークラウト)を合わせた一品。どれも主役級のおいしさで、3種類ともマスタードともに食べるのがおすすめ!
水曜日のツバメ、昼呑みの魅力
毎週水曜日の11時から16時までオープンする「水曜日のツバメ」。2年半前ほどからスタートし、今ではリピーターも多く訪れています。水曜日のツバメは、焼き菓子がメインのお菓子カフェ。季節の食材を加えた焼き菓子など6〜7種類ほど用意しており、続けて同じメニューは提供しないというこだわりも。
こちらは有精卵を使用したプリン。その他、チーズケーキや、季節のフルーツを使ったタルト、ガトーショコラ、マフィンなどを楽しむことができます。
「お客様がどれにしようと迷っているのも楽しみの一つです。最近では、決めきれなくて2個食べていくお客さんも多いですよ。」と話してくれました。水曜日だからこそ楽しめる、夜とは違うカジュアル空間です。
毎月第4日曜日に開催される昼呑み。お昼の13時から19時まで楽しむことができ(夏の期間は15時から21時まで)、昼からワイン片手に季節ごとの小皿料理を楽しむことができます。ワインは夜同様、自然派ワインをグラスで7〜8種類を提供しています。
丁寧につくられた食材にきちんと向き合いながら、人との繋がりも大切にしている「ツバメ食堂」。気のおけない仲間や友人、パートナーやお一人でも楽しめる1軒です。