愛知県武豊町、名鉄河和線「上ゲ」駅から徒歩8分ほどの位置にあるカフェ「ゆらぎ」。建物も家具もカフェメニューも、すべて自然のものにこだわり抜いたオーガニックなお店です。
目次
緑に囲まれた店内は心地よい風が吹き抜け、とても居心地のいい空間。木々の葉が揺れるざわめきや蝉の声に包まれながらランチやコーヒーを味わい、ゆったりと過ごしてみてはいかがでしょうか。
オーガニックな建物がカフェに変身
2020年3月、「ゆらぎ」がオープン!
今回は、お店がオープンした経緯やコーヒー・料理のこだわりについて、ゆらぎのマスター・上ノ原健志さんにお話を伺いました。
– カフェ「ゆらぎ」はどのような経緯でオープンしたのですか?
上ノ原さん:「私は学生のときから喫茶店が好きで、よく個性的なお店へ足を運んでいました。好きな物に囲まれた空間で生活するのは楽しいだろうなと思っていたので、いつか自分も喫茶店を経営したいなという思いがあったんです。
しかし大学卒業後は地元の信用金庫に就職して、9年ほど働いていました。その間、こっそり知り合いの喫茶店を手伝わせてもらったり、お店のためにお菓子作りの勉強をしようと考えたりしていました。休日は自然豊かな場所へ出掛けることも多く、将来は自然の近くで暮らしたいと思っていました。
そんなとき、仕事の関係でこの建物のオーナーと知り合って。この家が無添加で化学物質を使わずに建てられていることを聞いたり、畑を手伝わせてもらったりしているうちに、オーガニック野菜・食品を直売する「風の村」がオープンしました。そして、『せっかくだからこれらの野菜を提供する場所を作りたい』とオーナーから相談されたことがきっかけで、このカフェをオープンすることになったんです。」
– 上ノ原さんの夢とオーナーの希望がマッチしたんですね!
上ノ原さん:「そうですね。決断するのはけっこう勇気がいることだったんですが、普段オーガニックを意識していない人にもおいしく食べてもらえたらいいなと思い、チャレンジしようと決めました。1年くらい準備や工事をして、2020年3月にオープンしました。」
– もともとオーガニックな野菜や食品がお好きだったんですか?
上ノ原さん:「実はそんなことはなくて(笑)。一人暮らしで自炊するときは旬の野菜などが好きで買ったりしていましたが、いつもスーパーで特に意識することなく野菜を買っていました。でも、オーナーと知り合ってオーガニック野菜を食べるようになってみると、市販の野菜とは違うなと気づきましたね。例えば小松菜は、数日ですぐにしなびてしまう野菜だと思っていましたが、オーガニックだと1週間くらいは葉がピンピンしていましたし、農薬や化学肥料を使うことが野菜にとっていいことなのか意識するきっかけになりました。」
統一感にこだわり調和の取れた店内は
自然が近くどこか懐かしい雰囲気
– お店を作るうえで特に重視したポイントはなんですか?
上ノ原さん:「この家はもともと自然とともにある暮らしを大切にしていて、自然を最大限に生かした造りです。家具や食器もその雰囲気に馴染むものを選びました。素材は合板や接着剤を使っているものは避けて、食器もプラスチックではなくガラスや陶器のものにして。建物全体で統一感を出すことは意識しています。」
– 空間全体に木の素材が使われているので優しい印象ですね。
上ノ原さん:「そうですね。あとは自分が好きで空間に合うものを置いています。アンティークというか、生活感のあるちょっと古い道具や雑貨、絵本とかですね。」
– 絵本は子どものときから好きだったのですか?
上ノ原さん:「いえ、どちらかというと大人になってから深く好きになりました。何かの雑誌で絵本が紹介されていて、それを読んでみたことがきっかけですね。その話は子どものときに読んでもきっと自分に響かなかった内容だと思います。絵本は人生で悩んでいるときとか生きあぐねているときに何か気づきを与えてくれます。文字も少ないですし、パラパラと眺めている時間も好きですね。お店に置いてある絵本は、大人も子どもも自由に読んでもらって構いません。ご来店された際はぜひ一冊お手に取ってもらえると嬉しいです。」
– 店内は天井が高くて広いので開放感がありますね。
上ノ原さん:「そうですね。なるべく自然に近い環境にしたいと思っているので、窓はすべて開けています。縁側には木馬があって、よく小さなお子さんが楽しそうに遊んでいます。店にエアコンがないので夏は暑さが心配だったんですが、風通しがよくて快適に過ごせています。カウンターの外にあるビワの木が育ってきて、ちょうどいい木陰を作ってくれたりと、時間の経過とともに変化があるのも、自然に近い環境ならではだと思っています。」
上ノ原さん:「夏は蝉の声や風鈴の音を聞いたり、秋は周りの木々が色づいたり、冬はストーブに薪をくべて暖を取ったりと、季節によって違う楽しみ方ができますよ。」
旬のオーガニック野菜を
たっぷり使ったランチメニューが人気
– お昼のランチメニューは何がありますか?
上ノ原さん:「基本的にはオーガニックカレーランチと無農薬無化学肥料のおにぎりランチの2種類です。おにぎりランチの小鉢やカレーランチの添え物には、季節の地元のオーガニック野菜を生かした料理が付いています。夏は期間限定でどちらのランチもそうめんが中心となったメニューをお出ししています。」
カポナータは野菜を煮込んで作るイタリア料理。ラタトゥイユのようにトマトやパプリカなどが使われ、さっぱりとしてそうめんとの相性もピッタリ!無農薬無化学肥料のおにぎりはほんのりとした塩気がお米によく合い、食が進みます。小鉢料理に使われる季節の野菜はそれぞれ味が濃く、野菜のおいしさが凝縮されているようでした。大豆ミートからあげはしっかりとした味付けながら、さっぱりと食べられます。
– 季節の野菜が一番旬のときにいただけるのは嬉しいですね!
上ノ原さん:地元で採れた旬の野菜を使うようにしています。野菜やお米など、料理に使うものはすべてオーガニックなものにこだわっていて、旬の野菜の味が一番美味しく食べられるようなメニューを考えているので、小鉢を楽しみにしてくれているお客様もいます。」
– お菓子の素材もオーガニックのものだけを使っているのでしょうか?
上ノ原さん:「はい。料理もお菓子もオーガニックの素材だけを使っています。特にお菓子はオーガニックの乳製品は稀少なのでミルクや生クリームを使わず、バターもカカオバターで代用したりしています。ただ、一般的なレシピを元に作っているので、アレンジや味の調整には試行錯誤が必要です。オーガニックの認証を取得していないものやオーガニックの基準のないものもあって天然なものではあるけどそういう表現で販売されていないことが多く、メーカーに問い合わせて確認することもありますね。」
– 一つひとつにとてもこだわっているのですね!お料理やお菓子作りで特に意識しているポイントは何でしょうか?
上ノ原さん:「オーガニックの素材であることは大前提として、それを多くの人に食べてもらいたいと思っています。オーガニックの素材を使った料理やお菓子は、優しい味というイメージが先行してしまって味気ないイメージを持つ人も少なくありません。だからこそ、普段オーガニックに興味がない方が食べてもおいしいと思ってもらえるようなものを提供したいと思っています。」
コーヒーへのこだわり
– お店で提供しているコーヒーはどんな点にこだわっていますか?
上ノ原さん:「豆本来の味がわかるように、コーヒーの種類によって蒸らす時間や抽出にかける時間を調整するなどして、それぞれの豆に合った淹れ分けをしています。」
– 豆の産地などはどうでしょうか。
上ノ原さん:「豆の産地というよりは、コーヒーが育つ環境を重視していますね。同じエチオピア産の豆でも、農園によって味はまったく違うものになります。特にこれ(写真のコーヒーを指して)は森の中で自生している木の豆を使っているので、現地の人と一緒に生きている感じがしますよね。そういう豆を選ぶと、味だけでなく物語もいろいろとイメージできて面白いなと思います。」
– コーヒーの木が育つ環境も、より自然に近いものを選んでいるのですね。
上ノ原さん:「はい。ちなみに、コーヒーのストローも無農薬の植物の茎でできているので、100%自然のものです。」
– ストローまで自然のものなんですね!驚きです!
オーガニックカフェ「ゆらぎ」は自然とつながる
心地よい癒やしの空間
名古屋の市街地から1時間以内に行ける距離にありながら、豊かな自然に囲まれている「ゆらぎ」。生き生きとした自然と一つになれる癒しのスポットです。
ぬくもり溢れる空間で、旬のオーガニック野菜を使ったランチや素材にこだわり抜いたお菓子でゆったりと過ごしてみてはいかがでしょうか。
また、週末には「夜カフェ」スタイルで営業することも。お店の雰囲気がガラリと変わり、幽幻な自然の中でお酒やディナーを楽しむのもおすすめです。営業カレンダーはInstagramやGoogleマップで確認できます。
同じ敷地には、知多半島産の無農薬野菜やオーガニック食品を販売している「風の森アンテナショップ・風の村」もあるので、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。