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今回ご紹介するのは、名古屋市名東区にあるパン屋「Boulangerie Painsienne(ブランジェリー・パンジェンヌ)」。
扉を開けると、「いらっしゃいませ!」というスタッフさんの明るい声が響き、対面販売式のカウンターには、常時70種類のパンがずらりと並びます。バゲットやカンパーニュなどのハード系から、フィリング(具材)も手づくりしている惣菜パンや季節のパンまで。毎日食べたくなる、地域の人々に愛されるパン屋さんです。
※以下、パンジェンヌと記載します
スタイリストからパン屋の世界へ
前職では洋服のスタイリストをしていたという武野さん。店内はそんな彼女のセンスが随所に光ります。なぜパン屋の道に進むことになったのでしょうか。
武野さん:「もともとは洋服のスタイリストとして10年ほど働いていました。30歳になり、「新しいことを一からはじめてみたい!自分のお店を持ちたい!」と思い、ずっと好きだったパンの道に進みました。
最初は「お店を出したい」という想いを認めてもらうところからのスタートでした。なかなか正社員として雇ってもらえず、最初の3年間はアルバイトとしてパンづくりを学びました。その後、修行制度のある天白区植田の『ぱぴ・ぱん』の師匠に認めていただき、6年ほど修行させていただきました。バゲットとクロワッサンはそんな師匠から教わった、自慢の味です。」
あえてパン屋らしくない店舗に
ブリティッシュグリーンの外観が印象的なパンジェンヌ。店舗デザインについてもお伺いしました。
武野さん:「店舗のデザインは、私が好きなグリーンを基調としています。「パン屋さんに見えない外観にしたい!」という私の想いを、デザイナーさんが形にしてくれました。
デザイナーさんの意見で天井はむき出しにしたのですが、当時はまだまだリノベーションが浸透していなかった時代。「飲食店でこんなにむき出しで良いのかな?」と正直不安でした。それにパン屋っぽくないので、オープン当初はパン屋だと気づかれないことも多く、苦戦しましたね……。
ですが、最近ではこんな風にパン屋っぽくないお店も増えてきてますし、このデザインにしてよかったなと思っています。」
基本を忠実に守ったパンづくり
対面式のカウンターには、ハード系から、懐かしい味のソフトなものまで、常時70種類ほどのパンがずらりと並びます。どんなこだわりが詰まっているのでしょうか。
武野さん:「良い素材を選ぶ、添加物や保存料を使わない、発酵の状態をしっかり確認するなど、基本を忠実に守ったパンづくりを心がけています。シンプルで飽きのこないシンプルなレシピが特徴です。
パンと合わせるフィリングもすべて手づくりです。無農薬の野菜を使用し、マーガリンやショートニングは使いません。バターは年々高騰していますが、クロワッサンなどバターがベースになるパンには、惜しみなくたっぷりと使用しています。質の良い素材を使うことが、良いパンづくりには欠かせません。」
武野さん:「いつ来ていただいても、何か一つでも焼きたてのパンを味わっていただけるよう、焼成工程を小分けにしているのもこだわりです。
オープン当初の閉店時間は19時だったのですが、お客様の声から19時半に変更しました。パンジェンヌのある藤が丘は地下鉄の終点なので、19時だと仕事帰りに間に合わないという方が多かったんです。
30分長くお店を開けることで、帰宅時に夕食や朝食用のパンを買ってくださる方が増えました。そんな風に、仕事帰りによってくださった方にも、少しでも焼きたてのパンを味わっていただきたいなと思っています。」