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みなさん、「シルクスクリーンプリント」を知っていますか?
オリジナルのTシャツを作りたい!イラストを印刷するにはどうしたらいいのだろう?そんな疑問を持ったことがある人、モノづくりやアートに興味がある人なら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
今回は、そんなシルクスクリーンプリントを体験できるお店「スロメ なごや」をご紹介します。
シルクスクリーンプリントとは?
シルクスクリーンプリントは、孔版印刷のひとつ。印刷方法はとてもシンプルで、メッシュ状の版にデザインを合わせて孔(あな)をつくり、その孔にインクを落として印刷します。初心者でも簡単にお好みのデザインを綿や麻、ポリエステルや紙などの素材にプリントできるので、オリジナルグッズをつくるには最適な印刷方法です。
「スロメ なごや」では、シルクスクリーンプリントを誰でも気軽に体験することができます。
場所は、名古屋市営地下鉄「鶴舞駅」1番出口より徒歩約5分のところにある、オーシャンスクエアの2階。この白い看板が目印です。
エレベータで2階へあがると、すぐ目の前にお店があります。
中に入ると、広々としたスペースに作業台がたくさん。シルクスクリーンの素材やインクがずらりと並んでいます。何だかワクワクしてきますね!
「つくるは楽しい。」
「スロメ なごや」を運営する店主の西尾 彰典さんにお話をお伺いしました。
– お店をはじめたきっかけを教えてください。
西尾さん:「僕自身がイラストレーターをやってまして。以前は大阪にあるシルクスクリーンプリントができる印刷所まで作品を刷りに行っていたのですが、地元にもこういった作業ができるスペースがほしいなと思い、それなら自分でつくった方が早いと思ってはじめたのが、きっかけですね。」
西尾さんは、名古屋造形大学出身のイラストレーター。店内には、西尾さんが手掛けた作品が飾られています。西尾さんのやわらかい人柄がでた、キュートで魅力的なイラストを見れるのも「スロメ なごや」に訪れた際のみどころのひとつ。
– お店のこだわりやコンセプトは何ですか。
西尾さん:「『つくるは楽しい。』というのがお店のコンセプトです。自分でつくったものが実際に形になる瞬間って、一番テンションが上がるんですよね。その気持ちが、このお店の中に充満すれば楽しいな、と思っています。」
お店の名前「スロメ」は、西尾さんの地元・岐阜県の方言が由来。「刷ろうよ!」という言葉を岐阜弁でいうと、「スロメ」となるのだとか。岐阜出身の西尾さんならではの店名ですね。
実は「スロメ」が最初にできたのは、地元・岐阜県なんです。今から約3年半前に岐阜市でオープンしたあと、2020年3月に名古屋店をオープンしました。その後、岐阜店は名古屋店に統合され、今はここ「スロメ なごや」に拠点を置いてショップ兼ご自身の作業場として運営されています。
「スロメ なごや」に訪れる人はさまざま。例えば、お店のノベルティをつくったり、アート作品を制作したり。時には100枚以上の数を印刷していく人もいるのだとか。
もちろん一般の方の利用も可能で、友人同士でお揃いのTシャツをつくったりお子さんの絵を印刷したりと、つくる人・つくるものも多種多様。オリジナリティあふれる作品とともに、ものづくりの楽しさを体感し思い出づくりもできる、魅力的な場所となっています。
シルクスクリーンプリントを体験!
今回、シルクスクリーンプリントを実際に体験してきました!手順やコツ、印刷風景をたっぷりとお届けします。
まずはじめに、プリントするデザイン・素材・インクを決めていきます。
デザインするイラストは、持参するもよし!その場で描いてもよし!無料で貸し出しされている「スロメ なごや」オリジナルのイラストを使用することも可能です。
今回は、筆者が持参したイラストと「スロメ なごや」オリジナルのイラスト(写真中央:8番)をお借りして、2パターンをプリントすることに!
デザインが決まったら、スタッフさんがシルクスクリーン用の版にデータをうつしてくれます。製版してもらっている間に、素材を決めていきましょう!
店内には、さまざまな種類の素材が在庫されています。Tシャツやトートバッグから、サコッシュ・ハンカチ・巾着など……。素材選びの時間も楽しいひとときです。
今回プリントする素材は、カラフルなバリエーションで人気のTaiwanトートバッグと黒のTシャツにしました!
次はインクの色を選びます。ずらりと並んだカラフルなインクたちを前に「何色にしようかな〜?」と悩んでしまいますね。インクは、必要な色に対して丸ごと1個購入となるので、使い切れなくても次回またプリントする際に使用ができます。
カラーバリエーションだけでなく、色に混ぜて使うと「もこもこ」や「もけもけ」な仕上がりになるものなど、いろんな質感を味わえるインクも揃っています。
今回はゴールドとラベンダーの2色を選択!
Tシャツの色が黒だったので、一番映えるゴールドのインクにしました。色味で悩んだときはサンプルなども見せてもらえるので、スタッフさんに相談するのもおすすめですよ。
そうこうしている間に、シルクスクリーンの版ができあがりました!持参したイラストが綺麗に映し出されています。これから、この版をスリマッカという枠にはめていきます。
この3色のブロックが、スリマッカ。デザインのサイズに合わせて組み立てることで、さまざまな大きさの枠をつくることができます。
見本を見ながら色のついたブロックを組み立てていくので、難しいことはひとつもありません!パーツの間に隙間ができないよう、しっかりとはめ込んでいけば簡単に枠が完成します。
サイズ違いの2種類の枠ができあがりました!それでは、ここにシルクスクリーンの版をはっていきます。
版のツルツル面を上にむけて、枠の隙間4か所にゴムを埋めていきます。最初は指で押し込んでいくのですが、版をピンっと貼りすぎると反対側に埋めたゴムが取れてしまうので要注意!この作業、一番苦戦しました……。
指である程度ゴムを埋め込んだら、次はローラーを使ってさらに奥までしっかりと埋め込んでいきます。この作業を何度か行うと、自然ときれいに版が貼られていきます。
最後にもう一度ゴムとローラーを使って、しっかり固定すれば完成です!
次はプリントしたい位置を、それぞれ決めます。配置を決めたら、サイズに合わせた下敷きを入れましょう。
そして、ここからがシルクスクリーンプリントの醍醐味。素材にインクを落としていきます!
デザインの幅に合わせて、インクをのせます。インクの量はデザインによっても変わってくるので、不安なときはスタッフさんに聞いて調整しましょう!
まずは、トートバッグから。
スキージというヘラを使い、斜め45度の角度で均等な力を当てながら刷っていきます。何だかドキドキしちゃいます!
いい感じにインクが広がっていますね。これを2〜3回繰り返すと、綺麗にインクが落ちます。版をあげるまで、ワクワクが止まりません!
とってもきれいにプリントされています!思わず「きれい〜!」と声が出てしまうくらい、素敵に仕上がり感動しました。
さて、お次はTシャツです。ゴールドのラメインクなので、トートバッグとはまた違う雰囲気になることを期待。
力を入れすぎると、スキージが曲がってしまうので注意が必要です。斜め45度を保って、手前にゆっくりスキージを引いていきます。
こちらも見事な仕上がり!黒い生地に、ゴールドの光沢が映えていますね。こちらも問題なく、きれいにプリントできました。
刷り終わったら、ドライヤーで軽く2〜3分乾かします。手で触ってみてインクがつかなければ、ついに完成です。
出来上がった、TaiwaiトートバッグとTシャツ。想像よりも簡単にプリントすることができました!手づくりならではの風合いがあって、大満足の仕上がり。世界でたったひとつのオリジナル作品ができあがり、興奮が冷め切りません!
胸元にワンポイントで入れた、手のイラスト。ただの黒いTシャツが、まるでお店で売られているような素敵なTシャツに生まれ変わりました!
今回は店内で販売している素材を使いましたが、持参した素材を持ち込んでプリントすることも可能です。シルクスクリーンのいいところは、あらゆる素材に印刷が可能なこと。いろんな素材を活かして、自分だけのスペシャルな作品をつくり出すことができますよ。
スプーンやフォークなど
金属にもプリント可能な「電解マーキング」
「スロメ なごや」では、ステンレスなどの金属にシルクスクリーンを用いてプリントができる「電解マーキング」も導入しています。
飲食店で使うカトラリーに店名をプリントするなど、活用方法はさまざま。金属にもシルクスクリーンの手法を用いてプリントができるなんて、驚きです!
こちらもいろんな種類の素材を販売しているので、「スロメ なごや」へ訪れた記念にプリントするのも、素敵な思い出になりますね。気軽にできるところが魅力です。
イラストだけではなく写真をプリントすることも可能です。またインクの合わせ方などを工夫すれば、マーブル模様やグラデーションなどもつくり出せますよ。
一度版をつくれば何枚でも印刷ができ、次回また同じデザインを刷ることもできます。同じデザインを一度にたくさんプリントしたい人にもおすすめです!
「つくる、たのしさ」を体験できる「スロメ なごや」。自分のデザインが形になる瞬間の多幸感はほかでは味わえない素晴らしいものです。自分の手で刷った作品だからこそ、ただの印刷よりも何十倍も愛着がわくのかもしれませんね。
ものづくりのたのしさや大切さを改めて感じることができる、そんな素敵な場所。ぜひみなさんも「スロメ なごや」であなただけの特別な作品をつくってみてはいかがでしょうか。