
エドワード・ゴーリーを巡る旅|松阪屋美術館
不思議な世界観と、モノトーンの緻密な線描で、世界中に熱狂的なファンをもつ絵本作家エドワード・ゴーリー(Edward Gorey, 1925-2000)。近年、日本でも『うろんな客』『不幸な子供』などの絵本が次々と紹介されてきました。ゴーリーは、自身がテキストとイラストの両方を手がけた主著(Primary Books)以外にも、挿絵、舞台と衣装のデザイン、演劇やバレエのポスターなどに多彩な才能を発揮しました。
本展は、そんな作家の終の棲家に作られた記念館・ゴーリーハウスで開催されてきた企画展から、「子供」「不思議な生き物」「舞台芸術」などのテーマを軸に約250点の作品・資料で再構成するものです。米国東海岸の半島に残る古い邸宅へと旅をするように、達観したクールな死生観を持つ謎めいた作品との邂逅をお楽しみください。

エドワード・ゴーリー Edward Gorey
1925年、シカゴ生まれ。独特の韻を踏んだ文章と、独自のモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表している。またエドワード・リアやサミュエル・ベケットらの作品の挿画、劇場の舞台美術なども手がけた。幻想的な作風と、アナグラムを用いた(Ogdred Weary など)ペン・ネームを使い分けて、たくさんの私家版を出版したために、多くの熱狂的コレクターを生みだした。1943年から46年まで、陸軍の軍務に服したあと、ハーヴァード大学でフランス文学を専攻する。1953年、ニューヨークの老舗出版社 Doubleday に就職。ブックデザインを担当する。この年、最初の単行本『弦のないハープ』が出版される。1960年、Doubleday から Random House の子会社 Looking Glass Library に移籍。1962年には、自身の出版社 Fantod Press を興し、The Beastly Baby を出版する。1963年、独立して専業作家となる。1970年、『ずぶぬれの木曜日』が Gotham Book Mart から出版され、同書店との本格的な関係が始まる。1977年、ブロードウェイの舞台 Dracula のセットと衣装デザインによりトニー賞を受賞する。1980年、PBS(Public Broadcasting System)の番組 Mystery! のオープニング・アニメーションを作成する。1997年、新作『憑かれたポットカバー クリスマスのための気落ちした気色悪い気晴らし』が Harcourt Brace から出版される。同時に、代表作の『ギャシュリークラムのちびっ子たち』『うろんな客』『優雅に叱責する自転車』が、同社より新装・再刊された。膨大な作品とミステリアスな人物像については『エドワード・ゴーリーの世界』と『どんどん変に… エドワード・ゴーリー インタビュー集成』で知ることができる。
2000年4月15日、心臓発作のため死去。享年75歳。