家族で行こう。陶磁器の産地・愛知県瀬戸市にある「愛知県陶磁美術館」で、やきものを学ぶ!つくる!使う!

2018.10.24
愛知県陶磁美術館

日本有数の窯業地域として知られている愛知県瀬戸市。ここには、やきものの町ならではのミュージアム「愛知県陶磁美術館」があります。国内最大規模のコレクションは、なんと7,000点以上。日本やアジアをはじめとする、世界各国のやきものについて学ぶことができる美術館です。

 

さらに、やきもの作りや絵付けの体験ができる「陶芸館」や、やきものでお抹茶が楽しめる茶室「陶翠庵」など、やきものを学んで、つくって、使える体験型の美術館なんです。今回は、家族連れにもおすすめな「愛知県陶磁美術館」の魅力をたっぷりとご紹介します。

 

愛知県陶磁美術館


愛知県は、良質な陶土が採れることから、日本有数の窯業地域として知られています。5~14世紀まで県中部に存在した猿投窯や、12~13世紀まで渥美半島の先端で栄えた渥美窯など、古くからからやきものの生産が盛んに行われてきました。特に10世紀の窯跡が発掘された瀬戸焼、12世紀頃から始まったとされる常滑焼は、どちらも「日本六古窯」のひとつです。

 

日本では陶磁器の代名詞である「せともの」の由来となった瀬戸市の瀬戸焼をはじめ、急須から衛生陶器まで幅広い製品を生産する常滑焼、名古屋市周辺でつくられる洋食器ほかファインセラミックス、七宝焼、高浜市周辺の三州瓦など、さまざまな窯業製品が県内各所で生産されています。また、陶芸家による作品制作も活発な地域です。

 

愛知県陶磁美術館は、そんな日本における最大級の窯業地である愛知県瀬戸市に、愛知県政100年記念事業として1978(昭和53)年6月1日に開館し、平成30年度で開館40周年を迎えました。

 

 

国内最大級の陶磁器コレクション

 

本館

 

本館建物は建築家・谷口吉郎設計。7つの展示室にて、企画展および常設展を開催しています。


まずは敷地中央にある本館へ。本館では、常設展と年間5本開催される企画展を行う展示室があります。

 

 

 

常設展では、縄文時代から現代に至るまでの日本のやきものの歴史や、外国陶磁、現代陶芸、全国の古窯陶磁資料等が紹介されています。7,000点を超えるという展示数だけでなく、展示されている陶磁器はレプリカではなく、すべて本物という点もポイントです。

 

 

 

愛知県陶磁美術館はやきものの町・瀬戸市に所在するだけあって、瀬戸の陶磁器資料も豊富に展示されています。瀬戸のやきものの原点とされる5世紀頃の猿投窯の陶器から、桃山時代の黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部といった茶道とともに発展した名品も鑑賞できます。

 

 

 

 


常設展では、日本だけでなく世界各地の陶磁器も展示。中国や韓国の古代から現代までの陶磁器をはじめ、ヨーロッパ、南米、東南アジア、中央アジア、など世界各地の陶磁器を鑑賞できます。陶磁器でも、国や場所によってデザインや色使いに特色があり、とても興味深かったです。

 

白地藍彩芙蓉手花鳥文盤(イラン / クチバ) 17世紀後半

 

染付芙蓉手花籠文大皿(有田 / 日本)17世紀後半

 

例えば、上記の絵皿は「染付」という技法で仕上げられています。同じ技法を使っていても、絵柄が異なるだけで雰囲気が全然違いますよね。国による特徴を考えながら、鑑賞するのも楽しみのひとつです。

 

 

西館:100点以上の陶磁のこま犬コレクション

 

西館

 

狛犬コレクション

 

続いては、歩いて5分ほどの距離にある西館へ。

 

こちらでは、「愛知県指定有形民俗文化財」である陶磁のこま犬が、常時100点ほど展示されています。やきもののこま犬は瀬戸・美濃を中心とした地域で多くつくられていました。最も古いものは、14世紀の瀬戸の古窯から出土したものといわれています。

 

こま犬コレクション

 

こま犬コレクション

 

最も盛んに製作されたのは江戸時代。神社に奉納され、本殿の内部や軒下に並べて置かれていたといわれています。熊野神社・白山神社・秋葉神社など山岳信仰として発達した神社で、陶磁のこま犬は山への信仰を表した祈りの形ではなかったかと考えられています。この習慣は瀬戸・美濃という地域のみでみられるものです。

 

獅子のようなもの、犬や猫のようなもの、沖縄のシーサーのようなものまで、こま犬にもさまざまな種類があったことがわかります。

 

 

南館:「もっと伝えたい、愛知のやきもの」

 

南館

 

 


続いて、西館のすぐ隣にある南館へ。

 

こちらは2016年2月に常設展「もっと伝えたい、愛知のやきもの」としてリニューアルオープンしました。子どもでも楽しくやきものを学べるよう、説明にはふりがながふってあり、内容もわかりやすくまとめられています。縄文時代から現在までの、愛知県におけるやきものの歴史を学ぶことができます。

 

ぜひお子さんと一緒に訪れてみてくださいね。

 

 

敷地内から発掘された古窯

 

古窯

 

古窯


「愛知県陶磁美術館」では、実際に使われていた昔の窯をみることができます。

 

こちらは、敷地内から発掘された平安時代〜鎌倉時代(12〜13世紀)の古窯である「南山9号窯」。A〜Dの4基からなる掘抜きのあな窯(地中をトンネルのように掘った窯)。近くで見るとすごい迫力です。

 

古窯


こちらは「南山8号窯」。平安時代末期・12世紀はじめの窯で、一度に6,000個ほどの製品を焼いていたと考えられています。

 

 

古窯は駐車場の横のこちらの建物の中にあります。見落としがちなポイントですが、ぜひ見学してみてくださいね。

 

 

古窯から少し歩いたところにあるこちらは、瀬戸や美濃で使われていた室町時代(16 世紀)の大窯と、江戸時代の登窯(19 世紀)を復元して展示しています。

 

 

誰でも楽しく陶芸体験

 

 

出典元:https://www.pref.aichi.jp/touji/studio/


敷地内にある陶芸館では、作陶」または「絵付け」を体験できます。予約なしでも陶芸体験ができるので、展示を鑑賞して自分でも作ってみたくなったという方はぜひ訪れてみてください。(10名以上の団体利用は事前予約必須)

 

愛知県陶磁美術館オリジナルの9種類の釉薬が選べます。素焼き・釉がけ・本焼成は指導員さんが行ってくれ、作品の引取は、実習日の約1カ月後から2カ月目までの間に引換券と交換します。取りに行けないという場合は、郵送も可能ですよ。


▼体験についてはこちらから
https://www.pref.aichi.jp/touji/studio/

 

 

名作陶器でほっと一息「陶翠庵」

 


最後にほっと一息できるスポットをご紹介します。行き方は、まず本館横に坂道を下っていきます。

 


文字が消えてしまっていますが、こちらの木の看板が目印。

 

陶翠庵

 

緑の中を進んでいくと、料亭のような建物にたどり着きます。こちらは、薄茶(抹茶)をいただくことができる茶室「陶翠庵(とうすいあん)」です。

 

陶翠庵

 

陶翠庵

 

中は本格的な和室になっています。お茶を飲まれない方も、自由に見学可能。(※喫茶は立礼席でのみ)

 

月替りの茶碗


抹茶を飲む茶碗は月替わりで入れ替わり、好きなもので飲むことができます。瀬戸・常滑・美濃などの陶芸作家から寄贈された作品、本来は展示品になるようなものまで、作家の厚意で、実際に使うことができます。「どの茶碗にしようかな〜」と選ぶだけでもワクワク。

 

 

 


今回はこちらの茶碗でいただきました。すっきりと爽やかな抹茶は、疲れをすっと消してくれます。庭の草木や茶室を眺めながらの一杯は、日常ではなかなか経験できない、くつろぎの時間になること間違いなし。四季折々に訪れたい場所です。陶翠庵だけの利用もOK。

 

【陶翠庵(とうすいあん)】
営業時間:午前10 時30 分 - 午後4 時オーダーストップ
定休日 :美術館の休館日と同じ
喫茶料金:薄茶 一服 550 円 (主菓子つき)(税込)

 

愛知県陶磁美術館


焼き物を学んで、窯を見学して、陶芸体験をして、お茶を飲んで、まるっと一日楽しむことができました。東海エリアで陶芸やお茶の文化が発達しているのは、良質な土があるからこそなんですね。こうして学ぶことで、より住んでている土地への愛着が増すような気がしました。これだけのボリュームで大人400円、中学生以下は無料なので、特にファミリーにはおすすめの施設。週末のお出かけスポットにいかがですか?

 

【愛知陶芸美術館】
住所   : 愛知県瀬戸市南山口町234番地 MAP
電話番号 : 0561-84-7474
営業時間 : 9:30〜16:30(入館は16:00まで)7/1から9/30:〜17:00(入館は16:30まで)
定休日  :毎週月曜日(ただし休日の場合は開館し、直後の平日を休館とする)
      年末年始

https://www.pref.aichi.jp/touji/index.html