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美濃加茂市にあるベッカライフジムラは、ライ麦パンを使ったドイツパンのベーカリー&レストラン。オンラインショップで全国へ発送していたり、県外からも多くの人が定期的に買いに来るほどの人気です。
また、ベーカリーにはレストランも併設されており、ドイツパンとパンによく合う料理が食べられます。お店の周りには一面の田園風景が広がり、食事と風景を一日の目的に来る人も少なくありません。
ドイツパンというと「固い」「酸っぱい」などのイメージを持つ人もいるでしょう。しかし、ドイツパンはライ麦を多く使っていることから栄養面で優れていることが特徴です。小麦のパンよりもミネラル・食物繊維、ビタミンB類が多く含まれているほか、血糖値の急上昇が起こりにくい「低GI食品」の一つでもあります。
パン屋と言えば一般的には小麦を使った食パンや菓子パン、調理パンを思い浮かべますが、ドイツパンを扱うベッカライフジムラが多くの人から支持を集めている理由とはどのようなところにあるのでしょうか。
今回は、ドイツパンの魅力やお店のこだわりについて、オーナーシェフの藤村さんに伺ったお話を交えてご紹介します。
とにかく「かっこよくてオンリーワン」
であることにこだわるパン作り
ベッカライフジムラの建物に入ると、すぐ左手にはショーケースがあり、ドイツパンがずらりと並びます。ライ麦を使ったハード系のパンを中心に、大きなサイズのテーブルロールから食べきりサイズのものまで種類もさまざま。ショーケースの上には食パンもあり、全粒粉100%や卵・乳製品不使用の食パンもあります。また、残留農薬チェック済みのドライフルーツやトランス脂肪酸を含まない油脂など、材料の品質にも気をつけています。
藤村さんのパンへのこだわりは、おいしさや品質に加え「とにかくかっこいいかどうか」が重要だと話します。それはパンの形や表情、断面などの見た目だけでなく、パンを販売する空間全体も含まれているとのこと。
藤村さん:「この辺りは美濃焼が有名で陶器の作陶家さんもお店にいらっしゃいますが、粉を練って形を作り焼き上げることは、陶器とパンでも通ずるものがあると思います。いかに作り手の思いを形にするか、そして、それをかっこよく見せるためには販売するスタッフ、陳列の仕方や空間など、パンを取り巻くすべてをかっこよくする必要があると思っています。」
藤村さんは独学でパン作りを学びこのお店をオープンしたため、あえて常識にとらわれないオリジナリティの高いパンも特徴の一つ。「かっこよくてオンリーワンであること」がお店のモットーでもあると言います。
ショーケースに並ぶパンはどれもユニークな形をしていておいしそう。見ているだけでも楽しい気分にしてくれます。
売るだけでなく、
ドイツパンのあるライフスタイルも提案
「パンは焼き立てが一番おいしい」と考える人も多いですが、ドイツパンはできてから数日置いた方がおいしくなるものもあります。そのため、味の変化を楽しんでいくのもドイツパンならではの魅力といえるでしょう。
藤村さん:「卵や乳製品をつかっているパンは時間が経つと酸化して味が落ちてしまうため、なるべく早く食べた方がいいですが、ドイツパンのようなライ麦を使っているパンはそうではありません。むしろ日をおいて雑穀のくさみが抜けて、pHがアルカリによってきたあたりが一番おいしくなります。ものによっては2,3日経った方がいいものもあるので、そういうポイントはパンを購入されるときにお客様にお伝えしています。」
また、ドイツパンにはいつもの食卓を彩るという魅力もあります。例えば、大きなパンを切り分けてみんなで会話をしながら食べたり、友達とパンや具材、パンナイフを持ってお出かけし、公園やベンチでサンドイッチを作って食べるという楽しみ方もあるでしょう。さらに、食事に合い日持ちもするドイツパンは、ギフトや手土産としてもおすすめです。
藤村さん:「創業して7年間は自宅の前でトレーラーハウスでドイツパンを販売していたのですが、それだけでなくドイツパンのあるライフスタイルも提案したくて、3年前にこちらのお店を開きました。レストランも併設することで、ドイツパンと食事を楽しんだり、ここで過ごす時間を満喫してもらったり。日常にドイツパンを取り入れることで、お客様のいつもの時間をちょっと贅沢にできればと思っています。」
ベッカライフジムラではオンラインショップで全国発送を行っていますが、遠方から直接足を運び買いにくる人も多くいます。大阪や滋賀、三重、福井など、県外からドイツパンを購入するためだけに訪れる人もいるそう。外国人のお客さんも多く、ベッカライフジムラは広く愛されているお店であることがわかります。
ベッカライフジムラ
おすすめのドイツパン5選
ベッカライフジムラではさまざまなドイツパン・食パンがありますが、特に表情が豊かなものやおすすめしたいパンを選んでいただきました。
ラントブロート
ラントはドイツ語で「田舎」を表し、マイルドで酸味のある素朴なパンです。しっかりとした味の料理や肉料理、スープなどとよく合います。薄くスライスしてパテやバターを塗れば赤ワインのお供にもおすすめです。
フロッゲンセザム
ドラゴンの背中を思わせるインパクトのある見た目のパン。周りは黒ごまと白ごまに覆われ、中にはくるみとレーズンが入っています。ごまの香ばしさとレーズンの甘味、くるみの歯ごたえがマッチする一品です。
食事にも合いますが、単品でおやつや朝食に食べるのもおすすめ。
キュルビス
かわいらしい形とカボチャを練り込んだ黄色い生地が特徴のパン。中にはレーズンが練り込まれ、かぼちゃの甘味ともよく合います。モチモチとした食感で食べごたえも抜群です。
ゴルゴンゾーラナッツ
馬の蹄の形をしたライ麦パンで、ブルーチーズとくるみが入っています。噛むほどにライ麦の香りと味わいが広がり、ふいに訪れるブルーチーズの塩気と香り、くるみがちょうどよいアクセントに。持ち帰るときにはお店ではちみつを掛けて渡してくれます。
ドミニカドロップ
カカオ50%のオーガニックチョコをふんだんに使ったライ麦パン。スライスしてそのまま食べると、雑味がないチョコレートの香りをより強く感じられます。ウイスキーのお供としても楽しめるでしょう。
食パン(全粒粉100%)
全粒粉100%のため、香りと味わいがしっかり感じられる食パン。全粒粉は一般的な小麦粉に比べ、カロリーが少なく低糖質なことが特徴ですが、タンパク質やミネラル、ビタミンB類、食物繊維などが豊富に含まれているため、栄養面でも優れています。
これらのパンのほか、春や秋の行楽に持っていきたいパンやクリスマス向けのシュトレンなど、季節限定のパンも販売しています。詳しくは公式サイトでチェックしてみてくださいね。
美しい風景に囲まれ、有意義な過ごし方を。
ベッカライフジムラのレストラン
ベッカライフジムラのレストランでは、美しい田園風景を眺めながらドイツパンに合う食事も楽しめます。モーニングやランチ、カフェタイムとそれぞれメニューが異なるほか、季節によってもメニューが変わるため、何度訪れても飽きません。
レストランで使っているパンはベーカリーで販売しているものではなく、レストランのためにつくられたオリジナルのもの。パンのほかにも、有機野菜やフェアトレードの豆を使った深煎りコーヒーなど、一つひとつの味と品質にこだわっています。
また、オーナーシェフの藤村さんは料理だけでなく、お客様が過ごす「空間」づくりも大切にしています。ヨーロッパから取り寄せたチェアやオーダーメイドのテーブル、何度も塗り直してようやく完成させた壁など、店の随所に藤村さんのこだわりが詰まっています。
藤村さん:「ベッカライフジムラは、お客様のライフスタイルをちょっと彩る場所でありたいと思っています。レストランで休日のひとときを過ごしたり、持ち帰ってパンの味・パンのある暮らしを楽しんでもらったり。
そして同時に、ここをお客様の目的地にしてもらいたい、とも思います。例えば、何かの用事の前にここで食事をして腹ごしらえ、というのではなく『フジムラへ行こう!』と思って来てもらう、というイメージです。ここに来ればいい1日になる、充実した気分になれるような、イベントの一つにしてもらいたいですね。そうなるために、料理の見た目も空間もかっこよくあり続けること、ブランドを高めていくことが大切だと思っています。」
レストランは、一人でも友人・カップル・ファミリーで来ても、どんなシーンにもおすすめです。美味しい料理と季節の移ろいを感じられる風景を眺め、有意義な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
ライフスタイルに一つ上の輝きを持たせる
「フジムラ(村)」をつくりたい
ドイツパンは多くの種類があり、いろいろな食べ方が楽しめます。サイズも豊富で、食べきりサイズから切り分けて食べる大型のパンまであるため、どんなシーンにもピッタリ。ライ麦を多く使用していて栄養面でも優れているため、健康を意識している方にもおすすめです。
ドイツパンを日常に取り入れたい、興味があるという方はぜひベッカライフジムラを訪れてみてはいかがでしょうか。
ベッカライフジムラは全国に多くのファンがいる人気のベーカリーです。その魅力は味だけでなく品質や「かっこよさ」にあると感じました。
ゆくゆくはベーカリーと同じコンセプトでいろいろなお店を作り「フジムラ」という村をつくりたい、と楽しそうに藤村さんは話します。
藤村さん:「私はいろいろなことに挑戦したいタイプなので、一つのエリアにいろいろなお店をつくったらおもしろいと思うんです。とりあえずフジムラ(村)に来れば楽しい!と思えるような。フラワーショップや書店など、すべて同じコンセプトでもちろんかっこいいお店にします(笑)。友人や家族、恋人に本と花を贈ったり、花とパンを買って手土産にしたり、これまでのライフスタイルに一つ上の輝きを持たせられるようなことをしたいですね。」