【閉館】美しい自然とアートが一度に満喫できる人気スポット 「クレマチスの丘」へ行ってきました。
目次
【クレマチスガーデンエリア】
美術館・彫刻庭園・レストラン
など見どころたくさん!
クレマチスガーデンエリアには、ヴァンジ彫刻庭園美術館、ミュージアムショップ、レストランが点在しています。レストランやミュージアムショップは入場料が不要なため、地域の方々も気軽に足を運ぶ人気のスポットです。
ヴァンジ彫刻庭園美術館は、丘陵地の斜面を活用し上部庭園・美術館・下部庭園と3層のエリアで構成されています。美術館を囲む雄大な自然や眼下に広がる長泉町の町並みなど、エリアによって見られる景色が異なるのも大きな魅力です。
ヴァンジ彫刻庭園美術館とは
2002年4月28日に開館したヴァンジ彫刻庭園美術館は、イタリアの現代具象彫刻家ジュリアーノ・ヴァンジの世界で唯一の個人美術館です。1960年代から最近までのヴァンジ氏の彫刻を常設コレクションとし、それらが展示棟並びに庭園のなかで風景と調和しながら点在しています。
ヴァンジ氏はブロンズや大理石、木などさまざまな素材とその特性を巧みに活かしながら、現代に生きる人間の複雑な心の在りようを、多様な視点から具体的な形にする彫刻家です。「人間とはなにか」を問うと共に、自然を足場に制作するヴァンジ氏は「人と自然とのかかわり」について、同時代に生きる私たちに静かに語りかけてきます。
エントランス・上部庭園
ヴァンジ彫刻庭園美術館・クレマチスガーデンのチケットセンター前でチケットを購入し、さっそく入場します!
エントランスを抜けるとすぐ目の前に現れるのが、長さ20メートル程にもなる壁一面のガラスモザイク作品『レリーフ 風景の中の人物』。平面の作品でありながらも立体感があり、見る角度によって男女の距離感や視線が変わって見える、不思議な作品です。
上部庭園に入ると、開けた風景が目の前に広がります。緩やかな斜面になっていて、芝生の部分も入ってOK。季節ごとにさまざまな花が植栽されていて、春には桜も咲き誇ります。
さっそく、庭園から美術館の入口に掛けて、いくつもの彫刻作品が展示されています。
中央の作品は『竹林の中の男』。ヴァンジ氏が京都・嵐山の竹林を訪れた際にインスピレーションを受けたそう。
ヴァンジ氏の代表的な作品のひとつ『壁をよじ登る男』。季節や天候、見る角度によって印象がガラリと変わります。正面や横、裏側とさまざまな角度で見ながら、「どんなシチュエーションなのか」「男の視線の先にはなにがあるのか」などの解釈を考えてみると面白いですよ。
この美術館を創設する際に制作された作品『立っている男』。目の前にはガラスが貼られていますが、よく見てみると……。
ガラスにぶつかってしまっているようです。ガラスの向こうの私たちに何かを訴えているのか、行く手を何者かに閉ざされてしまったのか、こちらもさまざまな解釈ができますね。
また、ヴァンジ氏の彫刻作品に並んだり同じポーズをしたりして写真を撮るのもおすすめです。
美術館(展示室)
上部庭園の斜面を下ると、美術館の入り口に着きます。遠くには三島の町並みが広がり、夕日や夜景もきれいに見えるとのこと。
現在、館内にはヴァンジ氏の22の作品が展示されており、それぞれ作品の位置やライトの当たり方もヴァンジ氏がこだわって決めています。なかには触ってもOKな作品もあるため、作品の素材や形状にふれ、作者の込めたメッセージに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
展示室の片隅には、大理石の『説教壇』も。説教壇は教会で牧師さんが話したり結婚式で誓いをしたりする場所です。ヴァンジ彫刻庭園美術館では、彫刻作品に囲まれながら、神聖な挙式が行えます。ガーデンやレストランも併設しているため、披露宴も可能。他にはないウェディングの思い出ができそうですね。
常設展示のスペースは中央の壁をはさみ、不規則な四角の形をしています。思いのままに見学してほしいとの願いから、あえて順路などはなく空間を遮るものもありません。
通常展示スペースに隣接する企画展示スペースを抜けると、庭園へと続きます。
下部庭園(クレマチスガーデン)
展示室から出ると、明るい芝生の広場が一面に広がります。施設の名前にもなっている「クレマチス」は、ガーデンプランツとして親しまれているツル科の植物の一種です。クレマチスガーデン・エリア内には約250品種2,000株以上のクレマチスが植栽されています。
クレマチスの最盛期は5月〜6月ですが、ていねいな剪定を繰り返しながら、11月ごろまで見ることができます。ローズガーデンには90品種のバラが植栽されていたり、鏡池には睡蓮が浮かんでいたり、訪れる季節によって異なる景色が見られるのも大きな魅力です。
緑の茂みの中央に佇む人形の彫刻も『天の階段』というヴァンジ氏の作品です。人物と階段、階段横の空間を含めて一つの作品になっています。
階段を降りると右の空間には2つのレリーフが。右の壁には、争いごとで人が亡くなり、背後には悲しんでいる人々の様子が描かれていますが、これは「過去のできごと」を象徴するもの。左の壁の男女は、過去に対して「現在」を象徴しています。よく見ると、2人の視線はまっすぐと遠くを見据えているような気がします。
階段を下って過去と現在を見て、階段を未来へ向かうという、一つの時間旅行的な体験ができる作品です。上りの階段は下りよりも傾斜がきつく、空(天)を見ながら上るという狙いも込められているのだとか。
作品からメッセージを汲み取ってみたり、自由に想像したりすることが美術鑑賞の楽しみの一つですが、時代背景や作品に込められた意図を知ると、より作者への理解が深まりますね。
小高くなっている丘は「くすの木の丘」と呼ばれ、クレマチスの丘を象徴するスポット。イスやハンモックがあり、読書をしたり休憩したりと自由に過ごせます。
クレマチスやバラを眺めながらゆったりお話しするのも良さそうです。
広い庭園には彫刻作品が点在していますが、芝生の部分は出入り自由で、作品や季節の花々を間近で鑑賞できるのもうれしいですね。普段はアスファルトばかり歩いているので、フカフカの芝生の感触も新鮮です!
庭園の奥へ進むと、秘密の花園のような空間が。白い色のクレマチスを集めた日本で唯一の「クレマチス ホワイトガーデン」です。
併設する「カフェ ビオトープガーデン」では、ハーブティーやクッキーなどがいただけます。
カウンターにはクレマチスの一輪挿しがズラリ。テーブルに運んで鑑賞できます。
クレマチスガーデン・エリアでは、ヴァンジ氏の作品と対話しながらの美術鑑賞に加え、四季折々の植物やクレマチス、バラの美しさを身近に感じられます。雄大な自然と芸術作品に囲まれて、穏やかで特別なひとときを過ごせるでしょう。
レストラン・ショップ
クレマチスガーデン・エリアに来たら、レストランやミュージアムショップもチェックしておきたいところ。こちらは誰でも利用でき、美術館鑑賞の前後に気軽に立ち寄れます。
ピッツェリア&トラットリア チャオチャオ
イタリアの窯職人が作った薪窯で焼く、本格ナポリピザが味わえるレストランです。ピザは常時17種類に加え、月ごとに変わるマンスリーのおすすめと充実のラインナップ。ディナータイムは小サイズのオーダーもできるので、他の料理と合わせたり数種類をシェアすることもできますよ。
店内は一面ガラス張りで明るく開放的な空間。窓の外にはイチョウ並木があり、秋は紅葉、冬はもみの木のイルミネーションと季節ごとに美しい景色を楽しめるのが魅力です。また、店内には薪ストーブもあり、冬は炎のゆらめきと優しい暖かさが店内を満たします。
契約農家から仕入れる新鮮な旬の野菜や地元静岡の食材を使い、ていねいに作られる料理はどれも絶品。ピザのほか、パスタや南イタリアの一品料理も味わえます。ランチにもディナーにもおすすめです!
日本料理 テッセン
和定食や寿司懐石をメインとした日本料理レストラン。山、川、海の豊かな自然からもたらされる静岡県の多彩な食材と、厳選した日本各地の旬の食材を使った上質な料理が味わえます。
緑に囲まれたエントランス。入口のガラスもアーティストの作品です。
広々とした店内はモダンで明るい空間。個室もあり、記念日や家族の集まりなど、幅広いシーンで利用できます。
ランチタイム終了後は喫茶としても利用可能。庭園美術館を見渡せる席で、ゆったりとカフェタイムを過ごすのもおすすめです。
溶けるような食感にこだわったあんみつや和三盆と黒みつのソフトクリーム、見た目にも楽しい抹茶ティラミスなどの甘味が充実。夏には冷やしクリームぜんざいやわらびもち、かき氷などの季節限定メニューもそろいます。
ミュージアムショップ
クレマチスガーデン・エリアの入口近くには、ミュージアムショップが並びます。
美術館に関連したグッズや本、雑貨を扱う「NOHARA BOOKS」、クレマチスをモチーフとしたグッズやお茶、生活雑貨が並ぶ「ブティック クレマチス HOME&GARDEN」、クレマチスをはじめとした植物の苗木や鉢植え、ガーデニンググッズなどがそろう「フラワーショップ ビオトープガーデン」。クレマチスの丘へ来た記念になるものや気に入ったグッズを選ぶのも楽しいひとときですし、ガーデニングが好きな方にもうれしいスポットですね。
美しい自然とアートが融合する空間
「クレマチスの丘」へ行こう!
文化複合施設「クレマチスの丘」は、美しいガーデン散策やアートとの対話、こだわりのグルメを満喫するなど、ゆったりと特別なひとときが過ごせるスポットです。2つのエリアをゆったりめぐれば一日中楽しめるでしょう。
三島や沼津、伊豆など静岡県東部を観光する際には、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。