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アンデルセン童話やレゴでおなじみの国、北欧・デンマーク。国連が発表する幸福度ランキングでも常にトップ3に入っていることでも注目を集めています。中でも、デンマークはデザイン大国としても知られており、世界中で熱狂的なファンをもつデザイン家具やプロダクトを数多く生み出しています。
本展では、デンマーク・デザイン博物館の学術協力のもと、ロイヤルコペンハーゲンの磁器をはじめ、ハンス・ヴィーイナ(ウェグナー)、アーネ・ヤコプスン(アルネ・ヤコブセン)などら黄金期のデザイナーによる20世紀の名作家具、現代の製品など約200点が展示されています。
三重県立美術館へ行ってその魅力に迫ってきました!
三重県立美術館があるのは、三重県津市。津駅から徒歩で約10分ほどの場所です。1982年(昭和57年)に中部・東海地区初の本格的な美術館として開館以来、多くの人に親しまれています。
また、日本近代洋画を中心に、西洋近現代の絵画やスペイン美術など広く収蔵。年間を通して多彩なイベントも開催されています。
デンマークってどんな国?
本展へ行く前に、まずデンマークという国について簡単にご説明していきます。
デンマークは、北ヨーロッパに位置し、バルト海と北海に面した半島と島々から成ります。九州ほどの国土に約560万人が住む、世界でもっとも小さな国の一つです。日本では『人魚姫』の作者アンデルセン、知育玩具レゴブロックを生んだ国として有名ですが、高幸福度、高福祉の国としても知られています。
高い税率ながら、子供から成人までが無償で学ぶことができる教育システム、医療・雇用・介護などに対する国の手厚い支援があります。ヨーロッパのなかでも古くから王政が敷かれ、現在女王マルグレーテ2世が人気を集めています。
それではさっそく見ていきましょう!
第1章 国際的評価を得た最初のデンマーク・デザイン
第1章では、デンマーク・デザインが確立される20世紀以前に注目しています。その中でも、とりわけロイヤル コペンハーゲンの陶磁器は世界の注目を集めました。日本美術の影響を受けたアール・ヌーヴォー様式の作品は、1889年、1900年のパリ万国博覧会で人気を博します。
本章では、現在も生産されるロイヤル コペンハーゲンの初期シリーズをはじめ、デンマークが誇る2大陶磁器ブランドの作品を紹介しています。
ロイヤル コペンハーゲンで代表的なのが、「ブルーフルーテッド」。中国に由来しており、ドイツを経由してデンマークへ伝わりました。うつくしいブルーの装飾はハンドペイントで施され、エレガントなレースの縁取りが地模様とマッチして、華やかさを加えています。
ブルーフルーテッドと同様に代表的なのが「ブルーフラワー」。1779年から製作が開始されたシリーズで15~20種類の花からペインターが自由な組み合わせで花を選び、 ブルー1色の微妙なタッチにより描かれています。
ビング オー グレンダールは、ロイヤルコペンハーゲンと技術を競い、 質の高い製品を製造してきたデンマークの陶磁器メーカーです。 1853年にマイヤーヘルマンとヤコブ ヘルマン兄弟がポーセリンアーティストであるフレデリック ヴィルヘルム グレンダールとともに創立しました。彫塑的要素の強い作品で個性を示しています。
第2章古典主義から機能主義へ
第2章では、デンマーク近代デザインの父と称され、多くの家具デザイナーに影響を与えたコーオ・クリントの貴重な作品やその弟子たちのデザインが展示されています。
クラシカルな雰囲気にモダンテイストが加わった1930〜1940年代の椅子や机、照明器具が並びます。
コーオ・クリントは、モダン主義が主流だった時代に、過去の歴史・様式を見直し、それを時代の需要にあうよう再構成する(リ・デザイン)の考え方を定着させました。この研究により、デンマーク家具の機能性と審美性、機能性を生み出し、数多くのデザイナーに多大なる影響を与えていきます。デンマーク・デザインを語る上で、コーオ・クリントの存在は欠かせません。
こちらの「レッドチェア」と呼ばれる椅子は、18世紀のイギリスのデザイナー 「トーマス=チッペンデール」のチェアをリデザインしたもの。コーオ・クリントの作品を目にする機会は、滅多にないので大変貴重な展示でした。
こちらは、弟子のモーウンス・コクがデザインした「折りたたみ椅子」。当時としては斬新なデザインで、イギリスのキャンプ椅子を現代風にアレンジしてつくられています。この椅子は都市に住む現代のノマドたちの多目的椅子として、食事・労働・休憩を一つで可能にしました。
折りたたみ椅子のバックに展示されているのが、アルネ・ヤコブセンのデザインしたテキスタイルです。ナチスによって、デンマーク占領後ユダヤ人であるヤコブセンは、中立国スウェーデンへ逃れました。当初、建築の仕事を得るのは難しく、妻のすすめもありテキスタイルのデザインをはじめます。その後、植物をモチーフにした16種類のテキスタイルが製作されました。
1904年、デンマーク コペンハーゲンに、銀細工師のギーオウ・イェスンが創業したブランド「ジョージ・ジェンセン」のもの。ジュエリーが富の象徴であった時代に、ジョージ・ジェンセンは日常を豊かにする芸術品として時代に先駆けた新しいスタイルで一世を風靡。優雅な曲線が大変うつくしく、現代でも根強いファンに支持されています。
シルバーでできているので、実際は手に持つとかなり重いのだとか。