「わたしのお寺。わたしの居場所」と感じていただける場を目指して。地域に開かれたお寺「荒井山 円福寺」

「うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる」
手づくり布マスクのお渡しをスタート

最近では、マスクがなく困っている方のために「手づくり布マスク」を配布され、これまでに400枚以上の布マスクが届けられました。小玉さんと妹さんのお二人でつくられているのだそう。

– 布マスクのお渡しは、どのような経緯でスタートされたのですか？

小玉さん：「2月末頃、トイレットペーパーの買い占めとマスク不足の状況に、相田みつをさんの『うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる』という言葉が頭に浮かびました。「今、私にできることは何だろう？」と考え、ネットでマスクのつくり方を調べてつくりはじめたのがきっかけです。

最初はつくった分をどなたかにお分けできればくらいの考えでしたので、お寺の掲示板にひっそりとポスターをはり、SNSで少し告知したのみだったので、大した反応もありませんでした。そのときは、まさかこんなにたくさんのマスクをつくる事になるとは、想像もしていませんでしたね。」

マスク着用の毎日を楽しもう！という気持ちでつくられたマスクは、どの柄もとっても素敵！

小玉さん：「円福寺のSNSを見た東郷町の児童館職員の知人から、3月上旬に「休校が決まり学童の現場は大変なことになっている・マスク着用が義務化されているがマスクがない・つくる余裕もないので分けてほしい」と連絡が入りました。少しだけつくり足して、16枚のマスクを郵送しました。これが大きな転機となったんです。

その後、東郷町の他の児童館、大府市のラジオ体操の会、子育て中のお母さんたちの集まり、中村区内の真宗寺院の女性グループ、津島市のお寺さま、門徒さんやそのお友達などマスクの輪はどんどん広がり、今日までに400枚以上のマスクがお寺から旅立っていきました。マスクが仲立ちになって、さまざまな方がご来寺下さり仏様にお参りしていただけたことは、尊いご縁だったと感じています。また、お寺のこの活動を知ったご門徒さんからのゴムや自分の作ったマスクの寄付も、うれしい出来事でしたね。」

アフターコロナが優しく豊かな世界であるように

– 最後に、コロナが落ち着いたら開催したいイベントなどがあれば教えていただきたいです。

小玉さん：「2019年5月から続けてきた行事の際にお寺の掲示板の法語を選ぶ『みんなで作る掲示板』活動が、コロナの影響で実施できなくなり、苦肉の策で4月中旬にオンライン投票を行いました。結果的に100名もの方が参加してくださり、「道に迷うことこそ　道を知ることだ」（アフリカのことわざ）が5月の法語として選ばれました。人のつながりの力強さと可能性を感じさせてくれた出来事でした。

現在「アフターコロナが優しく豊かな世界であるように」そんな願いを込め、この記念すべき法語の作品制作を、奏筆教室主宰の馬淵将樹さんに依頼しています。馬淵さんは4月26日にお寺で開催予定だった『花まつり』イベント（感染防止のため中止）にて作品展示の予定で、自粛生活が続く今もライブ配信にて教室を継続し、頑張っておられます。コロナが落ち着いたら、シンボル的なこの作品と馬淵さんの他の作品も交えての作品展を考えています。」

小玉さん：「また感染予防との兼ね合い次第で、作品展と同時にワークショップやマルシェも開催できれば、皆さまが交流できる楽しいイベントになるのではないでしょうか。会えなくても人のつながりは生まれるけれど、同じ空気やにおい、体験を共有することでしか生まれ得ないモノもあると、今だからこそ強く感じます。

最後に、マスク販売の売上金は、この作品の制作費用や今後のイベントの活動資金に充てることが決まっています。ともにコロナを乗り切った証と、賛同し協力して下さった有縁の皆さまへの還元になればと願います。」

小玉さんありがとうございました。

まずはお寺に来るきっかけをつくりたい。お寺や仏教を次の世代へつないでいきたいという、あたたかい気持ちが詰まっているお寺でした。

今回の取材を通して、お寺が地域にとってこんなにも身近な存在であるということを知りました。皆さんもぜひお住まいの地域のお寺に目を向けてみてください。不安定な時代だからこそ、心をおだやかにしてくれるヒントが見つかるかもしれませんよ。