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愛知県常滑市にある「INAX ライブミュージアム」にて開催されている、企画展「大『名品』展―タイル・テラコッタ・古便器・土管のコレクション」に行って来ました。
こちらの企画展は約3年の工事を経て完成した、「窯のある広場・資料館」のリニューアルオープンを記念して開催。これまで展示する機会が少なかった貴重な「名品」を収蔵庫から出し、常設展示品とともに紹介しています。
企画展で開催されているスタンプラリーをしながら、名品の数々をレポートしていきます!
本展が開催されているのは、株式会社 LIXIL が運営する、土とやきものの魅力を伝える文化施設「INAX ライブミュージアム」。ミュージアム内の施設全体が展示会場となっています。
スタンプラリーに挑戦しよう!
ミュージアム内に設置された4箇所のスタンプラリーポイントで、すべてのスタンプを正しく押すと、企画展で展示されているある名品が現れるというもの。一体どんな形になるのでしょうか。ワクワクです。
約1,000点のタイルがずらり
「世界のタイル博物館」
まずは、「世界のタイル博物館」へ行ってみましょう。
こちらでは、紀元前から近代までの世界中の装飾タイルを約1,000点展示し、その発展の歴史を紹介しています。日本でもめずらしいタイル博物館。オランダ・モロッコ・中国・スペイン・イギリスなど、世界中のタイルの魅力に触れることができます。
「世界のタイル博物館」のエントランスでひときわ目を引いたのは、4世紀にシリアでつくられた「牛豹闘争図天然石モザイク」。この2枚はもともとつながっており、牛と豹の戦いの様子が描かれています。今にも飛び出してきそうな躍動感!
こちらは、染付花鳥図が描かれた朝顔型小便器。
「染付」とは、中国を発祥とする藍青色と白のコントラストが特徴的な磁器のやきものと、その技法のこと。
1891年の濃尾大地震以降、復興需要の高まりとともに、旅館や料亭、富裕層の邸宅など客をもてなす場を中心に華やかな染付便器が流行しました。当時の人たちのおもてなしの心を感じます。
さっそくスタンプラリーポイントを発見しました!
きれいに押せました!ですが、まだまだ何の形かはわかりません。
続いては、企画展示室に行ってみましょう。
敷瓦(タイル)の歴史に触れる。企画展示室
企画展示室では、中国から伝わり、用途を変化させた日本の敷瓦が紹介されていました。もともと花壇の縁石として使われていた花壇瓦を茶道では、鉄風炉(てつぶろ)の敷台として用いたとされています。
その中でもぜひご覧いただきたいのが、INAXライブミュージアムで19年ぶりの展示となる「帝鑑図屏風」。
皇帝の教育のために、善行悪行の逸話をまとめた中国時代の絵入り本『帝鑑図説』や、それ以前の故事などに描かれた1シーンを屏風に描いたものです。
屏風をよく見てみると、数多くの敷瓦(タイル)が描かれているのがわかります。
こちらにもスタンプラリーポイントが!ん〜まだまだ全貌がわかりませんね。
近代建築とやきものの装飾の歴史を学べる
「建築陶器のはじまり館」
続いては、「建築陶器のはじまり館」へ。
1923年(大正12年)の関東大震災以降、建築は煉瓦造から鉄筋コンクリート造へと変わっていきます。大正から昭和初期、「建築陶器」と呼ばれる、やきもの製のタイルとテラコッタで建物は飾られました。ここでは、日本を代表する、芸術性の高いテラコッタ・コレクションが紹介されています。
企画展示品として「建築陶器のはじまり館」の入り口前で展示されているのは、オーストリアの芸術家・フンデルトヴァッサーによる陶器製の円柱。色使いが何とも魅力的です。
3つ目のスタンプラリーポイントへ。いよいよ形が見えて来ました!何やら古代の彫刻のようですね……。
土をふんだんに使った体験型施設
「土・どろんこ館」
最後は、やきものをつくる上で欠かせない土に着目した体験型施設「土・どろんこ館」へ。土をふんだんに使った建築の温もりを感じる館内で、企画展示や「光るどろだんごづくり」のワークショップを開催しています。
「土・どろんこ館」の企画展示室では、6つのテーマごとにコレクションが展示されていました。
フランスの国立セーブル製陶所にて学び、陶磁による本格的な洋風彫刻を日本にもたらした沼田一雅氏によって製作された、陶製の狛犬。濃緑色の釉薬は、まるでブロンズ彫刻のよう。
こちらは、画家や彫刻家、グラフィックデザイナーなど、著名アーティストが手がけたやきもの作品の数々。
戦時中、軍需用の燃料製造器や化学薬品の容器として、やきものが使われていました。例えば、こちらは耐酸炻器製のコック。品質の良い原料と高度な技術が必要だったのだそう。
企画展では作品だけでなく、こうしたやきものの時代背景も学ぶことができます。
そして、いよいよ最後のスタンプラリーポイントです!どんな形に仕上がるのでしょうか。
じゃ〜〜〜〜ん!像の顔が登場しました。
こちらがスタンプのデザインのもととなった、エザキ旧本社ビル(旧同信会館)の建物の正面と側面に埋め込まれた、一対のメダル型テラコッタ。釈迦如来の脇侍の乗り物である像を意匠化しています。
ちなみに、裏面もスタンプラリーになっているので、合わせて挑戦してみてくださいね。
スタンプを集めながらなら、小さなお子さんも一緒に楽しめるのではないでしょうか。貴重な名品の数々にお目にかかれるこの期間に、ぜひ足を運んでみてくださいね。