【前編】やきものの魅力にたっぷり触れる体感型ミュージアム「INAXライブミュージアム」

愛知
掲載日:2019.03.28
【前編】やきものの魅力にたっぷり触れる体感型ミュージアム「INAXライブミュージアム」

やきものの街・愛知県常滑でLIXILが運営する「INAXライブミュージアム」に行ってきました。世界のタイルややきもの文化に触れることができる、体験・体感型ミュージアムです。

施設内には、6つの施設があり、見て学ぶだけでなく、実際にタイルに触れたり、ワークショップへ参加もできます。イタリアンレストランも併設しているので、丸1日家族で楽しめるスポットなんです。今回はそんな「INAXライブミュージアム」を徹底レポートします!

前編では、約1,000点のタイル展示されている「世界のタイル博物館」をご紹介していきます。

窯のある広場・資料館

まずはじめに、少しだけINAXについてご紹介します。

バス・トイレ・キッチンなど、私たちの生活に欠かすことができない多くの水まわり製品や建材を手がけているLIXILは、2011年に常滑を創業の地とするINAXなど、5社が統合してできました。INAXは大正時代1921年に伊奈初之烝(いなはつのじょう)が、伊奈製陶所をたちあげ、土管をつくるところからはじまり現代に至っています。

約1,000点のタイルがずらり
「世界のタイル博物館」

世界のタイル博物館
「世界タイル博物館」 外観

まずは、総合案内のある「世界のタイル博物館」へ行ってみましょう。

こちらでは、紀元前から近代までの世界中の装飾タイルを約1,000点展示し、その発展の歴史を紹介しています。日本でもめずらしいタイル博物館。オランダ・モロッコ・中国・スペイン・イギリスなど、世界中のタイルの魅力に触れることができます。

「世界のタイル博物館」 エントランス「世界のタイル博物館」 エントランス

施設内に入ると、ターコイズブルーのタイルでつくられたエントランスアーチがお出迎え。アーチ部分は、世界最古のタイルといわれているエジプトのタイルをイメージし、床はイギリスの象嵌(ぞうがん)タイル、 旧E.Hハンター邸の玄関タイルを再現しています。

1階常設展示室は「装飾する魂」と題し、時代別の装飾タイル空間を体験することができます。さっそくタイルの世界へ行ってみましょう!

5,500年前のクレイペグ(メソポタミア)

クレイペグ

こちらは、装飾壁の原点とも言われているメソポタミア地域の「クレイペグ(粘土釘)」。

建物の土壁をより美しく装飾しようと当時の人々が考えたのが、円錐状のクレイペグです。ここでは、約5万本あまりものクレイペグを当時と同じように手づくりし、モザイク模様を再現しています。

クレイペグ地元の方とのワークショップにて製作したのだそう。
クレイペグ
横から見ると、クレイペグの形がよくわかります。当時の雰囲気を再現するため、あえてムラがあるように張られています

世界最古のタイル(エジプト)

世界最古のタイル(エジプト)

続いては、世界最古のピラミッド、ジョセル王の「階段ピラミッド」の地下空間にあるこちらの扉。この扉を通って王の魂が現世に現れると考えられていました。ブルーの色は生命の色とされ、王の再生や復活を願ってブルーのタイルが張られたのではないかといわれています。

当時のタイルが2階の常設展示室にて見ることができるので、お楽しみに!

タイル張りドーム天井(イスラーム)

INAXライブミュージアム

「世界のタイル博物館」の見どころの一つでもある、イスラームのタイル張りドーム天井。SNSなどでご存知の方も多いのではないでしょうか。

イスラームのモスクや宮殿を飾るタイルパターンは、一見複雑に見えますが、実はコンパスと定規だけを使って描かれる幾何学模様が繰り返されています。イスラームの世界ではタイルは信仰と深く結びついていました。

タイル張りドーム天井(イスラーム)

タイル張りドーム天井(イスラーム)

こちらのコーナーは、朝・昼・夕・夜と移り変わる日の光が演出されています。光によって表情を変えるタイルに思わず、うっとりと見入ってしまします。(一巡:約1分40秒)

ブルー&ホワイトのタイル(オランダ)

ブルー&ホワイトのタイル(オランダ)

ブルー&ホワイトのタイル(オランダ)海外でみた動物や植物をタイルに描いたのだそう。来客との会話の話題にしていたようです。

世界的な貿易で富を得たオランダの市民層は、住まいの中にもタイルを取り込みました。中国の染付磁器を参考に、白地にコバルトブルーで花や風景など、身近なものを描いた「ブルー&ホワイト」となりました。おもてなしの象徴とされていた、暖炉周りに使われることが多かったようです。

ブルー&ホワイトのタイル(オランダ)

また湿気の多いオランダでは、巾木にもタイルが使用されました。実はこうした巾木のタイルが、バロック期を代表する画家・フェルメールの『ミルクを注ぐ女』という作品の中に描かれているんですよ。ぜひ探してみてくださいね。

ヴィクトリアン・タイル(イギリス)

イギリスでは、産業革命によって中産階級が富を得て、タイルを豊かに使いはじめます。タイルは当時の美術の流れである「アール・ヌーボー」様式を取り入れた彩り豊かな図柄で、公共の建物から市民の住宅まで広く使われました。

ヴィクトリアン・タイル(イギリス)

ヴィクトリアン・タイルの特徴はこの艶。釉薬(ゆうやく)に鉛を入れることにより、透明感のある色の濃淡や光沢感が実現します。現代では、有害物質である鉛の使用はLIXILでも自主規制されています。

洗練される装飾(日本)

洗練される装飾(日本)

洗練される装飾(日本)

最後は日本をテーマにしたこちらのコーナー。LIXILで現在も販売されている10mm角の小さなタイル「ジュエリーモザイク」を使用して、つくられています。

スポット詳細

【INAXライブミュージアム】
住所   :愛知県常滑市奥栄町1-130
電話番号 :0569-34-8282
営業時間 :10:00~17:00(入館は16:30まで)
定休日  :水曜日(祝日の場合は開館)、年末年始
駐車場  :有

https://livingculture.lixil.com/ilm/

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