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愛知県あま市の「鳳凰山 甚目寺」は、国の重要文化財指定の建造物が残る、法隆寺や四天王寺に次ぐ国内有数の歴史のある古いお寺です。
かつて家康が名古屋城の鬼門の方角にあたる甚目寺(北)、笠寺(南)、竜泉寺(東)、荒子観音(西)の4つの寺院を「尾張四観音(おわりしかんのん)」として定め、名古屋城の守護神としました。恵方参りで賑わうお寺のひとつです。
甚目寺の歴史と重要文化財
甚目寺の起源は、1400年以上にさかのぼります。
西暦597年、伊勢甚目村(いせはだめむら)の龍磨という漁夫が、現在の場所から東南約200mのあたりで魚をとっていたところ、その網に黄金の聖観音像がかかり、喜んだ龍磨がこの地にお堂を建てて像を納めたことが、甚目寺のはじまりとされています。
聖観音像は十一面観音の胎内仏として奉られています。
重要文化財その1 「南大門(仁王門)」
甚目寺には重要文化財に指定されている建造物が3つあります。まずそのひとつが「南大門」。
入母屋造りで、杮葺(こけらぶき)といわれる屋根葺手法のひとつでつくられた、鎌倉時代の様式を基調とした雄大な南大門です。
南大門の両サイドには、にらみのきいた迫力ある木造の仁王像。こちらは秀吉の家臣として陰で支えたあま市出身の戦国武将・副島正則(ふくしままさのり)による寄進。
重要文化財その2 「東門」
こちらは「東門」です。屋根は切妻造りで銅板葺で室町時代の建造物です。
重要文化財その3 「三重塔」
境内でひときわ目をひくのが、28mの高さを誇る本瓦葺の三重塔。西暦1623年の建築で、名古屋両替商・吉田半十郎政次の寄進。
ご本尊は愛染明王で、縁結びと耳の遠い人に御利益があるのだそう。鎌倉時代の作と伝わる寄木造(よせぎづくり)の木造愛染明王座像の腹部には、胎内仏が納められています。
まずは本堂でお参り
本堂は平成4年に建てられた、比較的まだ新しい建物。入母屋造りで正面上部は三角形の形をした千鳥破風(ちどりはふ)、その下の向拝部(こうはいぶ)は弓なりの形をした唐破風(からはふ)となっています。ハトのえさやりもできるので、境内にはハトがいっぱい!
本堂に入ると、一礼して合唱。案内板にもありますが、ご真言を唱えて、日頃の感謝を述べたあとに、お願いごとがあれば伝えましょう。
かたわらには、お釈迦さまの弟子のひとり・賓頭盧(びんずる)の像も。庶民を救うために修業を続けたといわれており、病気平癒を祈るといいそうですよ。
そのほか、お守りやご朱印帳など、ここでしかいただけないものもたくさん。
圧巻!閻魔さまとご対面
境内にはいくつかのお堂がありますが、中でも十王堂は必見です!
両サイドにズラリと鎮座する十人の仏さま!人間の死後の世界を表す裁判官、つまり閻魔様です。
手前の女性の顔をした像は「奪衣婆(だついば)」と呼ばれ、三途の川のほとりで冥界に至る亡者の衣をはぎ取る悪鬼女だそう。生前の名声や地位は今生のものであり、すべてをはぎ取られるので、その人の丸裸の人間性をさばかれることを表しています。
そのほか、秦廣王(しんこうおう)、初江王(しょこうおう)、平等王(びょうどうおう)など中国名での呼び名ですが、それぞれ不動明王、釈迦如来、観世音菩薩などをあらわしていて、あの世にいくまでのそれぞれの役割があり、思わず身が引きしまる思いになります。
境内のそのほかは?
こちらは六角堂。本尊は地蔵菩薩で千体のお地蔵様がまつられており、子供の育成のご加護、学業成就、身体健康の御利益となっています。
こちらは烏枢沙摩明王(うさすまみょうおう)を本尊としおり、下(しも)の病を治し、人に世話をかけずに済むという仏さま。トイレの神様でも知られ、お手洗いにもよくおまつりされていますね。
秋葉堂は、火除け守護の御利益があることで知られています。
尾張四観音の伝統的行事「節分会」
甚目寺の一大イベントは、毎年旧暦の1月18日に行われる「初観音会」。それに次いでにぎわうお祭りが「節分会」です。
節分会は、いわゆる毎年節分に豆をまいて無病息災を願うお祭り。中でも歳徳神様がいらっしゃる方角を恵方と呼び、その恵方にあたる四観音のいずれかのお寺にお参りするのがよいとされています。
2022年の恵方は北北西だったため、ここ甚目寺がその恵方にあたりました。ちなみに2023年の恵方は笠寺となるようですよ。
厄除けの御利益があるという観音様の節分会。年に一度の「恵方福豆」も気になる方はぜひ!(なくなり次第終了)
そのほか、毎月12日と21日の月に2回、甚目寺境内で朝市とマルシェが開かれていて、こちらも毎回人気のイベントとなっています。参拝とあわせてぜひ足を運んでみてくださいね。
恵比寿さまと大黒天さまのご利益が授かれる
お隣の「大徳院」も要チェック!
甚目寺観音の横にある「大徳院」は、恵比寿さまと大黒天さまのご利益が授かれるあま市随一のパワースポットです。ぜひ合わせてお隣の大徳寺にも足を運んでみてくださいね。
【大徳院】
住所 :愛知県あま市甚目寺東門前26番地
電話番号:052-444-0241