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長久手市内で無農薬・有機栽培で野菜づくりをしている「ケースケファーム」。オーナーの川井恵介さんが育てている野菜は、安全でとってもおいしいと口コミで評判を呼び、プロの方から、一般の方まで多くの支持を得ています。
今回は、農園にお邪魔して、無農薬野菜のこだわり、農業をはじめたきっかけなどお話をたっぷりと伺ってきました。
ケースケファームでは、長久手市内の複数の畑で野菜を育てています。川井さんと待ち合わせをし、畑へ連れて行っていただきました。
この日はあいにくの雨模様。しかし、野菜たちにとってはとてもいい気候らしく、イキイキとしていました!
ケースケファームでは、季節ごとに約40種類ほどの野菜を育てています。
川井さん:「この畑では、ナス類や枝豆などが収穫できます。品種によって育てやすいものもあれば、デリケートなものもあるので、栽培する野菜の種類や栽培期間、日当たり、風向きなどによって、広さ・間隔・方向・高さなどを変えています。
畑の設備を整えるのにも、かなり費用がかかるので、毎年少しずつですが設備を整えています。」
そろそろ収穫時期だという枝豆を少しだけ収穫していただきました!
布をとると、莢(さや)がわしゃわしゃと顔を出しています。
こちらが実際に収穫した枝豆です。枝豆ははち切れんばかりに膨らんでいて、とってもおいしいそう。川井さんも「こんなにいい枝豆はじめてです」と、喜んでいらっしゃいました。収穫した枝豆をいただきましたが、味が濃く風味も豊かでとってもおいしかったです。
枝豆は収穫時期が早すぎれば、豆が小さく味も薄くなってしまいます。また採り遅れると硬くぱさぱさした食感になるので、おいしくないのだそう。 莢の状態を見て収穫期の見極めをすることが大切なのだとか。
先ほどの畑から車で5分ほど走らせて、今度は出荷作業を行う畑へ移動しました。
秋田で感じた野菜づくりの魅力
−川井さんが、野菜づくりをはじめたきっかけはなんだったんですか?
川井さん:「僕はもともと、測量士として働いていました。ちょうど、新東名の高速道路をつくっている頃でしたね。測量士は一度現場に入ると、工事期間が終了するまでは辞めることができません。精神的にも、体力的にもきつく感じていたんです。
そんなとき、秋田でお米の研究をしていた親戚が「手伝いにこないか?」と声をかけてくれんです。そこで、会社を辞めて秋田県でお米をつくる勉強をしながら、合間に野菜づくりをはじめました。そしたら、おもしろくて野菜づくりにどんどんはまっていったんです。
このまま秋田で畑を持てばいいと言っていただいたんですが、周りは何もない、知り合いもほとんどいない状態です。さすがに寂しく感じて、どうせ畑をやるなら、地元でやりたいなって想いがあったので、長久手に戻ってきました。」
何より大切なのはいい土をつくること
川井さん:「長久手市は、住宅がどんどんと建設されていますが、自然を守ろうという動きもあって、市民に積極的に畑を貸し出しているんです。僕も運よく、畑を借りることができました。次第に、高齢でもう畑をやめてしまった方からも、畑を引き継いで欲しいとお声をかけていただくことも増え、とてもありがたく思っています。
当初は畑じゃない場所も何ヶ所かあって、石とったり、草とったり、堆肥したり、畑にするのに1年くらいかかる場所もありました。土の状態が異なるそれぞれの土地でさまざま野菜をつくるには、土づくりがなによりも大切です。
新しい土を耕して、そこをいい野菜の育つ土地にするには、手入れを繰り返し、試行錯誤をしながら改良していく努力が必要です。1年目より2年目と、常に土壌改良をし続けていく必要があるので、終わりはないですし、そこも含めて農作業のやりがいを感じています。」
無農薬・有機栽培にこだわった野菜づくり
−川井さんは、無農薬・有機栽培で野菜づくりをされていますが、大変な点はありますか?また無農薬にこだわったきっかけを教えてください。
川井さん:「秋田で研修中のときのことです。農薬をまく研修もしたんですが、顔が痛くなるんですよね。真夏でも全身レインコートのようなものを着込んで、農薬を背負ってまくわけです。まくのは大変だし、費用もかかります。
加えて人間にとってのリスクもある。それなら、虫にやられるリスクがあっても、無農薬で安心して食べていただける野菜づくりをしたいと思いました。手入れをすることは、農薬を使用した野菜づくりをしていても変わらないわけですし、虫に食われるリスクはあっても、負担はそんなに変わらないのかな?って思っています。」
−害虫対策はどうされているんですか?
川井さん:「いちいち虫を手でとっていては、次に進めません。なので、やられてしまった野菜はあきらめて、次へいくようにしています。ただ、種を蒔く時期をずらしたり、肥料の量など、できるだけの対策をとるようにしています。まだまだ模索しながらですが、少しでも多くの方に、安心、安全でおいしい野菜を届けていきたいですね。」
最後に今後についてお伺いしました。
川井さん:「僕らが今取り組んでいるのは、野菜の生産時期をずらすことです。例えば、実験的に栽培しているキュウリも時期をずらすだけで、夏から秋にかけて楽しめるようになります。市場に出回りにくい時期に野菜を届けることができれば、市場価値も上がります。失敗したら、また1年待つことになるので、リスクを持ってもどんどん挑戦していくつもりですね。
また、若い人たちがどんどん離れていく農業の世界ですが、農作業は儲かるんだぞ!ってことを知っていただきたいですね。そのためには、僕自身が自分の畑を通じて体現していくことが大切だと思っています。これからの若い人たちに野菜づくりはおもしろい!って可能性を感じてもらえるように挑戦し続けていきたいです。」