日々の暮らしに寄り添った食事。スパイスのある暮らし「nichibo」
目次
楽しいこと、得意なこと
「nichibo」オーナーであり、長久手にある建設会社「木の香の家」と「NAon」(ナオン)の代表でもある堀さん。「木の香の家」は住宅を専門に、「NAon」は店舗を専門に土地の売買・デザイン・施工まで一貫して行われています。
ご本人は以前、名古屋市で10年間に渡り美容師をされていたのだとか。
家業だった建設業を継ぐ決心に至った経緯や、今後の展望についてお聞きしました。
-以前は美容師をされていたのですね。家業の建設業を継ぐきっかけはなんでしたか?
堀さん:「10年ほど美容師をやって、他の業界も知りたかった。
そんな時に、父が楽しそうに仕事をしているのを見て、聞いてみたんです。「仕事は楽しい?」と。そうしたら「当たり前だろ」という答えが返ってきました。
父は「モノづくり」を指して、楽しいと言ったわけですが、自分も美容業界に進んだこともあって、元々クリエイティブなことは好きだったので、「勉強させてもらう」つもりで家業に入りました。」
-なぜ建設会社である「木の香の家」が、飲食店「nichibo」を立ち上げたのですか。
堀さん:「実は「木の香の家」の創業者である父がガンで他界したことをきっかけに、人の人生において「健康」が占めるウエイトって大きいなと感じるようになりました。そこで家庭菜園をはじめることにしました。
家族と一緒に食べられたらいいなと思ってはじめたわけですが、ここでいう「家族」は血縁者だけでなく、お客さんも入っています。「木の香の家」ではご契約者のことを「家族」と呼んでいるんです。
約450戸、年4回「家族」を訪問する際に野菜を持って行ったり、オフィスに来ていただく方にも野菜を食べてもらっていました。
それと、3人の「家族」にも野菜を育てるプロセスに参加してもらっていて、自分も合わせて4人で野菜を育てています。春菊・ほうれん草・オクラ・ピーマン・なす・じゃがいも・さつまいもが主です。
今では広さ300坪で、15種類の野菜を育てています。」
堀さん:「そのうち、野菜の量も増えてきて、食べる方がだんだん追い付かなくなってくるかなぁと思った頃に、飲食店をやりたいという仲間と縁があり、「nichibo」のオープンに至りました。
「日々の暮らしに寄り添った食事」がコンセプトで、スパイスを使い、代わりに塩分をおさえ、体にいいものを提供しています。
それに、誰が何を作ったか明らかにわかる、作った人の顔が見える食事を提供するようにしています。
自家菜園で収穫する野菜をはじめとし、料理もすべて手作りです。日本の厨房では、利便性からパッケージになった下処理済みの食材や惣菜を使うケースが見られます。
手作りは人件費がかかりますが、心から安心して健康のために食べる食事は何にも代えがたい価値があります。」
-堀さんも、カレーを食べにnichiboに来ることはありますか?
堀さん:そうですね。週2回は必ずきます。「季節野菜のヴィーガンカリー」をよく注文するかな。
-仕事をしていてよかったなと思う瞬間を教えてください。
堀さん:「いい感じの建物ができた時、そしてそれをお客さん(家族)が喜んでくれた時です。
会社の理念を「氣粋喜の創造きいききのそうぞう)」と掲げています。自分の代で新たに考えたものです。
一つ目の氣(き)は、ずっと父が口癖にしていた「気(氣)働きしろ」という、相手の一歩先を読んで働くこと。
二つ目の粋(いき)は、よいもの・しゃれたものを造ること。
三つ目の喜(き)は、前述の氣粋がどのように、何に変わるのか。やはりお客さんや取引先の職人、スタッフや自分たちの喜びではないかと。
一つ目と二つ目は父が創業した当初の想いを大切にしたいという想いがあり、理念として取り入れました。これから「木の香の家」のミッションとして、多くの人に知って欲しいと思います。
-仕事を楽しむ秘訣はありますか。
堀さん:「まずは自分が楽しむことですね。
自分は現場にもガンガン行くタイプで、社員からは社長っぽくない、好きなことをやらせておけばいいと思われているんじゃないかな。笑 今朝も外で打ち合わせをしてからここに来ました。
社内では役割分担をして裁量を与えるようにしています。社長だから偉いとかいうことはない。
人には得意、不得意があって、例えば「nichibo」の家具・内装・デザインなんかは自分がやりました。逆に、社内には自分よりも社長っぽい人もいる。
仕事の依頼をもらった友人から「え、社長がやるの?」と驚かれたこともあります。
ただ、今後やっていきたいビジネスなんかもあるので、そろそろ第一線は他の人に任せないとな……。」
今後について
-今後どのようにビジネスを展開される計画ですか?
堀さん:「フリーランスの美容師さんが働く美容室の経営を考えています。
いずれ自分の美容室を持ちたい美容師さんが働ける場所を提供することで、将来の「NAon」や「木の香の家」のお客さんになってくれるかもしれない。
一般的に、企業の活動を多くの人に知ってもらうため、宣伝広告などにコストをかける企業が少なくありません。
美容室という場を造ることで、単なる広告活動の枠を超えた新しい好循環を生んでいきたいなと考えています。」
堀さん:「仕事は社会貢献だと考えています。
「木の香の家」「NAon」「nichino」を通じ、自分の経済的豊かさだけでなく、関わる人をたくさん幸せにしたいです。」
-オンとオフの切り替えはどのようにされていますか?
堀さん:「仕事だけだと一日中そればかり考えるようになるので、オフの時間として畑やサーフィンを楽しんでいます。何も考えなくていい時間というか、一種の瞑想ですね。
サーフィンは週1-3回、畑は週2回ほど。サーフィンも畑も午前半日やって、午後からは仕事ができるので、効率もいいです。
自然の中で過ごすのが好きなんです。
自然といっても手を加えられていない自然が好きで、サーフィンへ行ったら必ずゴミ拾いもして帰ります。
地球を次世代に残していくということなんですが、建材にしても、オフィスでの細かなルール(分別やペーパーレス化)にしても、SDGsとあえて声を大にして言わなくても、みんなが当たり前のように取り組めるようになるといいなと思います。」
今回お話を聞く中で、堀さんから湧き出てくるアイディアと実行力を感じ、パワーをもらったような感覚になりました。
特に、人の顔が見える食事を提供すること。
そして「家族」と呼べるお客さん・取引先の職人さん・職場の仲間が益々増えていく、大きな輪を生み出されていることについて、人の温かみや包容力を感じ、「楽しく生きよう!」という前向きな気持ちになりました。
堀さん、お忙しい中お時間をいただきありがとうございました。