【制作レポート】学校法人21世紀アカデメイア / 専門学校名古屋ビジュアルアーツ・アカデミー発・短編映画『ピーマンの神様』~監督のユーモアと学生たちの情熱が生んだ“おいしい”物語~

名古屋 中村区 名駅
掲載日:2025.12.02
【制作レポート】学校法人21世紀アカデメイア / 専門学校名古屋ビジュアルアーツ・アカデミー発・短編映画『ピーマンの神様』~監督のユーモアと学生たちの情熱が生んだ“おいしい”物語~

「人生は、苦いぐらいがちょうどいい」

ピーマンが嫌いな主人公ひじりの前に、ある日突然『ピーマンの神様』が現れる。反発しながらも、神様と不思議な関係を築き、自分らしい生き方を見つけていくひじり。

やさしくて不思議な物語が、「学校法人21世紀アカデメイア / 専門学校名古屋ビジュアルアーツ・アカデミー(以下:名古屋ビジュアルアーツ)」の学生たちの手によって生まれました。

名古屋ビジュアルアーツの映像学科で制作された短編映画『ピーマンの神様』。映画と仲間【filty(フィルティ)】とのコラボレーション企画として、2025年12月6日開催の「おいしい映画祭2025」(会場:ミッドランドスクエアシネマ2)への招待作品として制作されたこの作品は、監督の「ピーマン嫌い」という個性的なバックグラウンドから生まれたユニークなコメディです。

今回は、制作に携わった学生たちにお集まりいただき、短編映画の制作秘話をたっぷりと語っていただきました。

企画背景~filty(フィルティ)とのコラボレーションが実現

今回のプロジェクトは、名古屋ビジュアルアーツ映像学科と、女優・佐津川愛美さんが主宰する映画と仲間【filty(フィルティ)】が連携し、学生主体で短編映画を制作するというもの。監督や脚本はもちろん、ロケ地交渉から撮影・編集まで、すべて学生が中心となって進められました。

一見先生
「『おいしい映画祭』に向けて、『食』というテーマを盛り込みつつ、そこから感謝やメッセージを伝えられる作品を目指しました。学内コンペで選ばれたのが、花井沙綾監督(学生)による『ピーマンの神様』です。コメディタッチでありながら、監督自身の個性が色濃く反映された企画でした。」

澤野さん(助監督)
「企画書を見たときは、監督の個性がすごく出ているコメディだなと思いました。背景にあるのは『食』や『感謝』といったテーマなんですけど、その上で監督のユーモアが全面に出ている作品だなと感じました。」

そう、この監督、実はピーマンが嫌い。そんな監督自身のコンプレックスから、この物語は生まれたのです。

主演・岡本さんに抜擢された理由

本作の大きな特徴は、脇を固める重要人物にプロの俳優を起用しつつ、主役には同校の学生である岡本さんが抜擢された点です。

一見先生
「キャスティングをどうするかという時に、まず外部の俳優さんを入れるという前提がありました。最初は主役も外部の俳優さんでいこうかと考えていましたが、岡本くんは演技が好きで、演技の授業も取っていて、授業でも褒められるくらいのレベル。

せっかくだからこの子の後押しもしたいなと思って、彼に主役をやってもらうことにしました。周りの大事な母親役とピーマンの神様役は、プロの方に支えてもらうという布陣です。」

突然の主役抜擢、そしてプロ俳優との共演。岡本さんは現場で強烈な刺激を受けたと言います。

岡本さん(主役)
「ついこないだまで高校生だった自分が、第一線で活躍されているプロの役者さんと共演させていただき、演技に対する『解像度』の違いをまざまざと感じました。自分にはまだまだ足りないものがあると思い知らされましたが、それ以上に演じている時間が楽しくて。本当に得難い経験でした。」

プロ俳優との共演で学んだこと

撮影現場では、ピーマンの神様役・与座よしあきさんと、母親役・青木ラブさんが作り出す空気に、学生たちは圧倒されつつも多くのことを学びました。

「与座さんはカメラが回っていない時でもアドリブ満載で、常に現場を盛り上げてくださいました。会話をするたびに自分が役であることを忘れてしまいそうになるほど面白くて、笑いをこらえるのに必死でした(笑)。青木さんは、初対面なのに本当の母親以上の包容力があって……。『あぁ、これがプロの役者さんなんだ』と感動しました。」

村越さん(録音部)
「プロの俳優さんにピンマイクをつけるのは初めてで緊張しました。驚いたのは『声量』の違いです。テストでメーターを見てフェーダーを調整するんですが、本番になると声が大きくてメーターが振り切れそうになって(笑)。調整は大変でしたが、気さくに話しかけてくださり、楽しく収録できました。」

堀田さん(撮影部)
「学校の授業とは違い、プロの方は本番への『切り替え』がすごいんです。こちらのミスでNGを出してしまった時、プロの時間を奪っているという緊張感でヒリヒリしました。でも同時に、与座さんのアドリブに笑いをこらえるのに必死で、カメラがブレないように耐えるのが大変でした(笑)」

また、filty(フィルティ)のプロデューサーである佐津川愛美さんからも、脚本段階から深いアドバイスがあったそうです。

澤野さん(助監督)
「脚本会議の際、監督のやりたいことが定まりきっていないときに、佐津川さんが『花井ちゃん(監督)がこの物語に何を注ぎたいのか、みんなでもっと話し合わないと芯のある作品にならないよ』と指摘してくださいました。その言葉を受けて全員で人生観について話し合う時間を持ち、結果として監督の自我や想いがしっかり注がれた脚本になりました。」

4日間の撮影を支えた制作チーム

撮影はわずか4日間というタイトなスケジュールで進行。学生たちにとって初めての大規模なロケ地交渉も大きな挑戦だったそうです。

谷さん(制作部)
「今回は舞台がお寺や神社だったので、いくつもの候補地を探し、サイトで情報を集めたり、直接アポを取ったりして交渉しました。学生だけでロケ地を用意するのははじめての経験で、本当に苦労しました。

実は撮影の1週間前に、メインのロケ地として予定していた場所がキャンセルになってしまったんです。そのときは頭が真っ白になりましたが、関係者の方々の協力でなんとか新しい場所を見つけることができました。決まった瞬間は、監督や澤野くんと肩を叩き合って喜びましたね。」

一見先生
「美術や小道具へのこだわりも凄かったです。ピーマンの神様のブローチや小道具はほとんど学生の手作り。お弁当も演出部が手作りしたんですが、なんとまだ残りの撮影があったのに、終わったと思って誰かが食べてしまうという大事件が起きて(笑)。まあ、それもなんとかなりましたが。」

橋本さん(メイキング・SNS担当)
「メイキング班としては、そんなハプニングも含めて現場の『和気あいあいとした空気』と『プロ現場の緊張感』の両方を記録に残せるよう意識しました。佐津川さんからも『チームの熱量を伝えることが大切』とアドバイスをいただき、みんなが良い顔で制作している様子を撮ることができました。」

この経験を糧に。今後の夢や目標

最後にみなさんに将来の夢をお聞きしました。

澤野さん(助監督)
「助監督を通じて全体をまとめる楽しさやスケジュール管理の大切さを学びました。将来は監督を目指しつつ、演出部としてのキャリアも考えています。」

谷さん(制作部)
「初めて制作を経験して、ハプニングの対応や外部との関わり方も学べました。やりきった時の達成感は大きく、ぜひもう一度やりたいです!」

岡本さん(主演)
「プロの方々の演技から刺激を受け、学校で学んでいる演技との差を実感しました。今後もっと挑戦していきたいです。」

堀田さん(撮影部)
「好きなことを仕事にできるフォーカスプラーになりたいです。『堀田さんじゃないと』と言われる存在を目指したいですね。」

村越さん(録音部)
「テレビ音声として就職しますが、配信やドラマなどジャンル問わず対応できる音響技術者になりたいです。」

橋本さん(メイキング・SNS担当)
「映像カメラマンとして、MVやライブ撮影など幅広いジャンルで活躍したいです。」

「おいしい映画祭」での上映へ向けて

監督のユーモアと個性、そして学生たちの情熱とプロの技が融合した短編映画『ピーマンの神様』。本作品は、2025年12月6日(土)開催の「おいしい映画祭」での上映が予定されています。

スクリーンいっぱいに広がる、少し苦くて温かい“おいしい”物語を、ぜひ劇場でご覧ください。

作品情報

『ピーマンの神様』

あらすじ: ピーマンが嫌いな主人公の前に、ある日突然『ピーマンの神様』が現れる。反発しながらも、神様と不思議な関係を築き、自分らしい生き方を見つけていく、やさしくて不思議な物語です。

上映予定: 2025年12月6日(土)
     「おいしい映画祭2025」【学生部門コンペティション】短編招待作品にて
     (会場:ミッドランドスクエアシネマ2)

【監督・花井沙綾】 

今回監督を務めました花井沙綾です。この度はこのような機会をいただき、ありがとうございます。ピーマンが嫌いだなと思ったとき、“なんで嫌いなんだろう?”と考えたことがこの作品の原点です。テーマが「一歩踏み出す」、これは今の自分自身のテーマでもありました。どんなに小さな一歩でも、それは人生を変える力を持っている。そんな思いを込めて作品を作りました。

ご覧になった方の背中を、そっと押せる作品になっていれば幸いです。

【プロデューサー 佐津川愛美】

「filty friends」の第一弾作品として、『ピーマンの神様』をお届けします。本企画は、映画づくりに関心を寄せる若い世代の皆さんがプロの現場に触れられる機会をつくりたい、という想いから立ち上げたプロジェクトです。

今回の撮影では、映画・ドラマの現場で活躍する俳優さんにご参加いただき、学生ならではの柔らかな発想やチームで支え合う力、そしてプロフェッショナルの確かな技術が重なり合い、豊かな時間が生まれました。

また、学生の皆さんが普段の制作では触れづらい“現場ならではの流れやルール”も体験してもらい、将来プロとして羽ばたくための実践の場となることを目指しています。

filtyはこれからも、映画制作に興味を持つ若い世代とプロフェッショナルをつなぎ、未来へ進む力を育む創作の場をつくってまいります。

ほっこりとした気持ちをお届けできるコメディ作品『ピーマンの神様』を、どうぞお楽しみください。

【ピーマンの神様 クレジット】
岡本 力央・与座 よしあき・ 青木 ラブ
監督・脚本:花井沙綾 
撮影:堀田亜樹・田中達也
照明:高橋奏多 
録音:村越桜空・豊田結生
助監督:澤野颯馬
制作:大森遼太郎・谷祐摩
演出:渡慶次真緒・糸賀桃愛
メイキング:橋本紗弥香
スチール:風岡啓太
宣伝:岡本力央 

総監督:一見正隆

制作協力
学校法人21世紀アカデメイア / 専門学校名古屋ビジュアルアーツ・アカデミー
株式会社サンタはじめます

企画・プロデュース:映画と仲間 filty

©2025 映画と仲間【filty】『ピーマンの神様』
上映時間:10 分
本作の撮影は 2025年10月17日~10月20日にかけて実施。
ピーマンの神様公式Instagram:https://www.instagram.com/p_mandaisuki12.06/

スポット詳細

Life Designs (ライフデザインズ)は、”東海エリア(愛知・岐阜・三重)の暮らしをもっと楽しく”をテーマに、情報発信するライフスタイルメディアです。

おでかけやランチの参考など、読者のみなさんの日常に寄り添えるメディアでありたいと思っています。運営しているのは、食・おでかけ・趣味に日々全力な編集部員たち。自分たちが東海エリアで生活する中で、出会ったモノや場所、琴線に触れたことをメディアを通してお届けしていきます。

おすすめスポット