【インタビュー 】映画『死刑にいたる病』。白石和彌監督×阿部サダヲが櫛木理宇の最高傑作を映画化。”阿部さんのあの目を撮りたかった”。

映画
愛知
2022.04.28
【インタビュー 】映画『死刑にいたる病』。白石和彌監督×阿部サダヲが櫛木理宇の最高傑作を映画化。”阿部さんのあの目を撮りたかった”。

2022年4月16日、阿部サダヲさんと岡田健史さんのダブル主演映画『死刑にいたる病』(白石和彌監督、”5月6日(金)よりミッドランドスクエア シネマほか全国公開”)の舞台挨拶がミッドランドスクエア シネマにて行われました。本作は、櫛木理宇さんの同名小説を実写映画化したサイコサスペンス。

連続殺人事件の犯人である榛村(阿部)から、冤罪(えんざい)の証明を依頼された大学生の雅也(岡田)が、事件を独自に調査し、榛村と事件に翻ろうされていく姿を描いています。

今回は舞台挨拶の様子と、阿部サダヲさんと白石監督のインタビューをお届けしていきます。

<あらすじ>

鬱屈した日々を送る大学生、筧井雅也(かけいまさや)に届いた一通の手紙。それは連続殺人鬼・榛村大和(はいむらやまと)からのものだった。「罪は認めるが、最後の一件だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」地元で人気のあるパン屋の元店主であり、よき理解者であった大和に頼まれ、事件の再調査をはじめた雅也。その人生に潜む負の連鎖を知るうち、雅也はなぜか大和に魅せられていき……一つひとつの選択が明らかにしていく残酷な真実とは。

– 原作との出会いについて教えてください。

白石監督:「『彼女がその名を知らない鳥たち』を阿部さんとつくり、同プロデューサーの深瀬プロデューサーから映画化したい作品があると言われて渡されたのが、櫛木理宇さんの原作本でした。

とにかく阿部さんが演じた連続殺人鬼(シリアルキラー)の榛村大和(はいむら やまと)の造形が本当におもしろくて、話の展開が読めないんですよね。これをなんとか映画化したいなと思ったと同時に、『彼女がその名を知らない鳥たち』で佐野陣治を演じた、阿部さんの吸い込まれるような暗い目が、僕の脳裏にこびりついて、忘れられなかったんです。

あの目の榛村大和がみたい。阿部さんともう一度仕事がしたいという想いが、映画をつくる原動力の一つになりました。

当時、「5分前に人を殺してきた目をしてください」っていう演出をしたんですね。そのときの目が、この人本当に殺してる!って(笑)」

阿部さん:「5分前に人を殺すってどういう顔なんだろうって悩んでいた顔だったんでしょうね。それが死んだ目のようになったのかもしれないです。」

客席に向かって手を振る阿部さん。

–今回オファーを受けたときの感想を教えてください。

阿部さん:「『彼女がその名を知らない鳥たち』で監督とはご一緒させていただいて、またご一緒したいなと思っていました。白石監督が手掛けている作品をみては、でてない、これもでてない、松坂桃李はでてるのに、僕はでてない……。って(笑)なので、やっとオファーがきて嬉しかったですね。

でもまさか、24人連続殺人鬼の役がくるとは思いませんでしたね。なかなか来ないオファーですし、役者としては一度はこういう役に挑戦しようかなと思い、演じさせていただくことになりました。」

− 役を演じる上で、役づくりや監督からの演出はありましたか?

阿部さん:「榛村大和にとって殺人は日常なんですよね。パンをつくるような感覚で、人を殺していくんです。なので、演出もなかったですし、役づくりも特にしなかったですね。」

白石監督:「榛村大和は欲望をだしきってしまっているので、普段はいい人で、優しくて、人の感情にも無頓着じゃなくて。たまたま、そういうことをしてしまうのが残念な人。人を魅了する力もあるので、殺人さえ犯さなければ、阿部さんに結構近いというか……(笑)」

− ダブル主演ということで、共演された岡田健史さんの印象はいかがでしたでしょうか。

阿部さん:「面会室のシーンは岡田くんとずっと一緒にやっていたんですが、いい役者さんですよ。岡田くんと一緒の気持ちになって、見ていただくと映画がさらにおもしろいと思います。

毎回、毎回、面会室にくるたびに、新しい芝居を提出してくるんですよね。外で経験してきたことを僕にだしてくれるので、すごく楽しかったですね。」

白石監督:「彼は曲がったことが大嫌いで、「監督、この映画で何がやりたいんですか?」って、阿部さんとは逆に迫って来る目をしていたんですよね。その二人が対峙している画を撮るだけで=映画であるという感じがしたので、岡田くんに演じてもらえて大正解でしたね。

本当に熱い心を持っていて、誰よりも芝居のことを考えているので、すごい人だなと思いましたね。」

– 名古屋出身の岩田剛典さんも出演されていますが、印象はいかがでしたか?

阿部さん:「僕は会ったことがなかったので、かわいらしいイメージがあったんですが、この映画はたぶん違うと思いますね。はじめてみる彼の姿だと思いますよ。僕も最初、現場で岩田さんとわからなかったくらい、印象が違います。」

白石監督:「意図を説明すればなんでもやってくれましたね。映画の中で存在感を自在に消せて、ロケ中も気づかない人も多くて、誰が撮影してるんだろうって見てる人も多かったですよ。」

阿部さん:「言いたかったですもんね。岩田剛典だぞ!って。」

– 主人公の雅也の母役、中山美穂さんとの共演はいかがでしたか?

阿部さん:「僕はテレビにでる前からずっとみていたので、ご一緒できたのは嬉しかったです。」

白石監督:「僕も阿部さんと同じで、アイドル時代からみていた方だったので、チャンスがあればお願いしたいと思っていました。筧井家は、岡田健史くん、中山美穂さん、鈴木卓爾さん演じる3人の家族なんですが、臨場感があって、とんでもないシーンになっています。

あることで、岡田くんが聞きたいことがあると中山さんに言って、会話をはじめるシーンはゾクゾクします。こんな親子の会話一生撮ることないだろうなって。ぜひそこも注目してみていただけたらと思います。」

– 三重県出身の注目の若手俳優・宮崎優さんはどのようにキャスティングされたのでしょうか?

白石監督:「オーディションで約200人の中から選ばせていただきました。撮影前から現場に入って、熱心に役に取り組む姿が印象的でした。彼女の演技もゾワっと引き込まれるので、ぜひ注目していただきたいですね。」

ミッドランドスクエア シネマに登壇した阿部サダヲさんと白石監督。

– 現場の雰囲気はいかがでしたか?

阿部さん:「捕まる前のシーンは、監督がこういうこと言ってみましょうか。っていうアドリブ的なことも多くて、それはすごく楽しかったですね。

これから殺していこうかな?ってシーンなんですけどね、すごい楽しく演じさせてもらって。こうやって近づいていくんだとか。シリアスなシーンでも、あまり張り詰めた雰囲気にならないように空気感をつくってくださるので、のびのびと演じていました。」

白石監督:「榛村大和がいる小屋で、次から次へと若い男女が連れ込まれていってはとんでもないことが起こって、黒い煙になっていくシーンも、終わる度にみなさん阿部さんと記念写真を撮って帰っていくんですよね。監督、阿部さんとこういうシーンやらせてもらえてありがとうございました。って帰っていくので、嬉しかったですね。」

– 主人公の雅也が鬱屈した日々を過ごしていたように、お二人も鬱屈した時代はありましたか?

白石監督:「正直、生まれてからずっと鬱屈していますよ。10代、20代の頃は雅也と同じようにモヤモヤした気持ちをいただいていました。自分が監督になれるとも当時は思ってもいなかったですし、助監督時代が10年以上で長編デビューが34歳だったので、その間ももっと自分ならいい映画が撮れるんじゃないかとかね。
今でも、日本の映画界はどうしたらもっと良くなるのか?とか鬱屈しっぱなしなんですけどね、地味なこと、めんどくさいことでもあえてやっていくことが大切だと思っています。」

阿部さん:「僕は俳優になる前ですね。アルバイトを転々として過ごしていたんですが、これから自分はどうしたらいいんだろうって考えながら、部屋で背這いしていたんですよ。怖いですよね(笑)。なので、実家にいくと背這いしたまま壁に書いた逆さの文字が今でもありますよ。ほんと、俳優になれてよかったですね。」

– 最後に監督から

白石監督:「コロナ禍で撮影も1年延びてしまったんですが、ようやく完成して、みなさまにお届けできる日がきました。ミステリーであり、スリラーでもありますが、何周かすると、榛村大和は、どこからこういうことをしてたの?ともう一度みたくなります。そんな魅力のある映画になったと思いますので、この映画を気に入って応援していただけたら嬉しいです。」

阿部サダヲさん演じる榛村大和と岡田健史さん演じる筧井雅也の凄まじい表現力はもちろん、脇を固める実力派俳優たちの空気感もまた、凄まじい作品です。

Photography by Haruka Chubachi

 

スポット詳細

【死刑にいたる病】
https://siy-movie.com/

 

5月6日(金)よりミッドランドスクエア シネマほか全国公開

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