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愛知県豊橋市の郊外にある「サウナピア」(男性専用)は「THE 昭和」といった雰囲気を醸しつつ、館内すべてが清潔感にあふれ居心地抜群。広々としてよく整えられた庭での外気浴は、「至福」という言葉がこれ以上ないほどぴったりです。
レトロな外観とは裏腹!?
清潔で居心地のよい空間
豊橋港へと続く幹線道路から、一本入った場所にある「サウナピア」。さらに建物は広い駐車場の最奥にあるため、ともすると見過ごしてしまいそう。「サウナ好きのみぞ知るアジト感」は、最初に愛でたいポイントです。
「サウナピア」は1982年12月に開業し、2022年で40周年を迎える老舗。エントランスからしてレトロな雰囲気を醸し出しています。
受付で迎えてくれたのは、蝶ネクタイがお似合いの4代目支配人・犬飼智久さん。
「『昭和ストロング』にこだわり、創業当時のコンセプトや雰囲気を大切にしています。その一方で、『年間100改善』にも取り組んでいるんですよ。変化に大小はありますが、来ていただく度に館内のなにかしらがアップデートされていると思います!」と話してくれました。
受付を済ませてまず目に入る青色のロッカーは、2021年に新調されたもの。ロッカーの上にはサウナパンツが置かれており、使うたびに補充されます。岐阜県屈指の名サウナ「大垣サウナ」のロッカーの上にもタオルが置かれていますが、ロッカー上に物を置けるのは、清掃が行き届いている証だと言えます。
対して洗面台はステンドグラスが光り輝く昭和スタイル。レトロな雰囲気は残しつつ、清潔が求められる箇所は徹底的に―「サウナピア」が大切にしているコンセプトが随所に表れており、入浴する前から清々しい気持ちにさせてくれます。
セッティング良好のサウナ&まろやかな水風呂
なにはともあれ浴場へ。洗い場がピカピカに磨かれ、清潔感満点なのは言うまでもないでしょう。サウナパンツやタオルも美しく積み上げられています。
身体を清め、湯で少しあたためたら、サウナ室へGo!110℃±5℃という「昭和ストロング」なセッティングに思わずうなってしまいます。ロウリュ※はできない「カラカラ系」のサウナではありますが、適度な湿度があり息苦しさを感じさせません。じっくり蒸されることができるはず。
※熱したサウナストーンに水をかけて水蒸気を発生させ、体感温度を上げて発汗作用を促進するサウナ風呂の入浴法
サウナ室の大きな窓からは光が射し込み、とても明るい雰囲気です。ストーブはフィンランド製。サウナストーンもフィンランド沖海底から採取されたものだそうで、サウナの本場であるフィンランドへのリスペクトを感じます。そして、サウナストーンをよく見ると、サウナ室に住むフィンランドの妖精・トントゥが。ところどころに遊び心が垣間見られます。
お待ちかねの水風呂は14.5℃前後の設定。おおよそ市水75%、井水25%の割合でブレンドしているそうで、水のやわらかさを感じることができます。常時オーバーフローしており、こちらも清潔感があります。
「サウナピア」の真髄は「外気浴」にあり
さて、唐突に断言してしまいますが、「外気浴」こそが「サウナピア」の真髄。浴槽の脇のドアを開けると、木々と美しい生垣に囲まれた美しい庭へと続きます。インフィニティチェアに腰掛けて、そっとリクライニング。「空って、こんなに広かったっけか」と気づけばひとり言が漏れていました。吹き抜ける風を感じ、鳥のさえずりに耳を傾け、思考能力は残りわずか。(そして寝落ち)
サウナ専門施設でここまで広く、整った外気浴専用スペースがあるのは全国でも珍しいのではないでしょうか。さらに驚きなのは、この外気浴スペースが1982年の創業から変わらずに存在していること。サウナ→水風呂→外気浴のルーティンが、現在ほど確立していない時代です。
支配人いわく過去には露天風呂にする案もあったようですが、外気浴スペースとしての原型を現在まで留めているとのこと。「サウナに外気浴はマスト」という風潮すらある令和のサウナ界。先代に先見の明があったのか、それとも時代が「サウナピア」に追いついたのか??
バイブラバスも「サウナピア」の特徴のひとつ。こちらは29.5℃前後と高めに水温が設定されており、前述したメインの水風呂(14.5℃前後)と合わせて「冷冷交代浴」を楽しむことができます。3回目のサウナに入った後は外気浴をパスし、水風呂→ぬるめのバイブラバスのコンボで締める常連さんも多いそう。
館内着に着替えリラックス
「サウナピア」はサウナ上がりの楽しみも充実!館内着のガウンに着替え、リラックスタイムを過ごします。
コミックルームには9,000冊を超えるマンガや雑誌が。人気シリーズの最新刊も揃えており、ついつい読みふけってしまいます。明るい雰囲気のレストルームで楽しみましょう。
広々とした仮眠室も完備。適度な暗さで、ゆっくりと眠りにつけます。希望の時間にスタッフがそっと起こしてくれるモーニングサービスも。あえて宿泊して、サウナ三昧というのも乙なものです。
サウナ上がり後の最大の楽しみといえば、なんといっても食事でしょう。施設内にある「水郷(みさと)」は、メニュー充実の居酒屋風食事処。元気なお母さんたちが切り盛りしており、アットホームな雰囲気です。
数あるメニューのなかでも鉄板ナポリタンスパゲティー(900円)は人気で、ソースは手作りしているそう。サウナ上がりにぴったりな濃厚な味付けを、鉄板の底に敷かれた卵がほどよく和らげています。麺の量は約200gとボリュームも満点!
鉄板ホルモン焼き定食(1,050円)は、「THE サウナ飯」といった王道的一品。コリコリ食感のホルモンは、ビールともご飯とも仲良しです。
オロナミンC×ポカリスエットの「オロポ」はすっかりサウナー御用達となりましたが、こちらのイチオシは「ブルポ」(500円)。レッドブル×ポカリスエットの組み合わせで、ミネラルやビタミンをバランスよく補給できるのだとか。サウナ上がりの新定番となりそうです。もちろんオロポ(450円)もありますよ!
オリジナルグッズのさらなる拡充に期待!
オリジナルグッズもチェック!支配人も着用の特製Tシャツは3,700円。M・L・XLの3サイズ展開です。
レトロなフォントがNICEな特製ステッカーは各650円。マスコットのバイキングが描かれたキーホルダー(各900円)もあります。ちなみにバイキングは、フィンランドがあるスカンディナヴィア半島が発祥。創業より「フィンランドのサウナ文化を忠実に取り入れたい」という強い想いがあったため、マスコットキャラクターがバイキングになったそう。
このバイキングのイラストは館内のいたるところに登場するので注目を!ちなみに40周年を迎えるにあたり、「オリジナルグッズの拡充を予定しています」と支配人。期待が膨らみます。
「昭和ストロング」を貫きながらしなやかに変化
コンディションのよいサウナや外気浴、食事まで満喫したライター・安田。心地よい余韻が残るまま、改めて犬飼支配人にお話をうかがいました。
安田:「仮眠室も備えた『サウナピア』は24時間営業と思いきや、11時から翌朝9時までの“22時間営業”なんですね。なにか理由はあるのでしょうか?」
犬飼支配人:「9~11時の時間は清掃やメンテナンスに費やしているのですが、この時間を『命』だと考えているんです。『清潔、健康、そして安らぎを…』というコンセプトを代々大切にしていますが、『清潔』はお客様に安らいでいただくための絶対条件ですから」
たしかに、今回は撮影のため特別に開店直前にお邪魔したのですが、支配人自らが鏡やカランを入念に清掃する姿がとても印象的でした。
安田:「ところで、アウフグース※など、サウナ室内でのイベントをウリにした施設が増えるなか、『サウナピア』ではあえて行っていないのですか?」
犬飼支配人:「創業者の想いを忠実に継承して、“創業当時のサウナスタイル”を貫いています。でも、ガンコに『変えない』と言っているわけではないんですよ。例えば外気浴スペースになっている庭を改造してロウリュができる小屋を置くなど、無理なく対応できることは柔軟に対応していきたいなと。構想を練っている最中です」
※熱せられた石に水をかけることで発生した蒸気を、タオルなどを振り回すことで一気に撹拌させ体感温度を上げるプログラム
既存のサウナ室とはまた異なるロウリュ式のサウナで蒸され、あの美しい外気浴スペースでととのえるとはなんと素敵な!考えただけでよだれが出そう。
「昭和ストロング」を貫きながらも、しなやかに改善を繰り返す「サウナピア」。次回訪れたときには、どんなアップデートが施されているか楽しみで仕方ありません。
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