どこかほっとする金山の本屋さん「TOUTEN BOOKSTORE」。暮らしのなかの読点(、)のような存在に
目次
TOUTEN BOOKSTOREのこだわりとは
– こちらのお店のこだわりについて教えて下さい
古賀さん:「お店への入りやすさ、入ったときの心地良さは特に気をつけています。いかにニュートラルさを出そうかなと。小さいことで言えば入ってきた人には必ずあいさつをしたりとか、そういうことも気にしています。」
– お店に置いている本のジャンルはどうですか?
古賀さん:「自分が好きな本が必ずしもほかの人にとっていい本であるとは限らないので、自分の主観だけでは品ぞろえしていません。たまに推しの本を強調してしまいますが(笑)。
なので、いろんな人に訪れてもらえるように、本のジャンルは偏りすぎないところがこだわりです。お店の規模的には大きくはないですが、小さな総合書店みたいな。入り口の方には旅行や暮らしなど生活に近いものを置いて、奥に行くほど歴史や社会問題や文学などじっくりと選びたいものにしています。奥の絵本の部屋はコーヒーを飲んだり自由に過ごしてもらえるような空間です。」
– 本を仕入れるときに意識していることは何でしょうか。
古賀さん:「何を置かないかを決めることが一番難しいですね。本は1日200タイトル以上出ているものの、お店の棚やスペース、予算も限られているので。そうした制限がある中で”このお店に置いた方がいいもの”を選びます。これはお店を長く続けるほど輪郭がはっきりしてくるとは思いますが、既に少しずつ見えてきている感じはあります。」
– 本を選ぶのは何を基準にしているのでしょう。
古賀さん:「誰かが傷ついたり、明らかに消費されたりするような本は避けるようにしていますが、だいたいは出版社や著書、本の装丁、目次の内容などに目を通して選んでいます。少し気を抜くとすぐに本があふれてしまうので、どう厳選するかがとても難しい点ですね。」
TOUTEN BOOKSTOREのオーナー
古賀さんがおすすめする本
古賀さんが多くの人に読んでもらいたい本を紹介していただきました。
『読点magazine、』でも触れたように古賀さんが異なるジャンルのものを組み合わせることが好きなこともあり、違うジャンルの組み合わせで新たな発見や価値を生み出す本を中心に選定されています。
【ラップ×絵本】まいにちたのしい
古賀さん:「オオクボリュウさんは星野源さんともコラボして知っている人も多いかもしれません。この絵本の中の文章が韻を踏んでいて、声に出して読むのが楽しい絵本。同じ言葉を繰り返したりリズムのある言葉って子どもはたしかに楽しいのかなと感じます。大人が持っていても楽しい本だと思います。」
【漫画家×ギタリスト】CONFUSED!
古賀さん:「読点magazine、の表紙を描いてくれたイラストレーター/漫画家のサヌキナオヤさんのコミックです。サヌキさんはアメリカのオルタナティブコミックに影響を受けていて、物語の進行もおもしろいですよ。漫画はまるで映画を読んでいるような感覚に陥りました。ストーリーはHomecomingsというバンドのギタリスト福富さんが担当されています。
この漫画のストーリーは、架空の街で起きているエピソードがオムニバスのようにいくつも描かれていて、このシリーズをもっと読みたいなと思っています。」
【愛知県×歌人】ここでのこと
古賀さん:「愛知にゆかりのある人が愛知県のあちこちの場所で短歌を読んだ歌集です。歌人には駅西の中華料理屋さんがいたり、名古屋市内の伏見で詠まれた歌があったりと、歌集といってもとても親近感を感じられる本です。愛知県でおなじみの場所で洒落の効いた歌があったりとクスっと笑えますよ。」
2月に発売が開始され、限定500部なので興味のある方はお早めに!
【自分×パン屋の日常】サンドイッチブルース
古賀さん:「全国にファンも多い奈良のパン屋さん・MIA’S BREAD(ミアズブレッド)の本です。レコードみたいに表裏でA面・B面となっていて、A面はパン屋さんのエッセイでB面は店主の森田さんの日記。たまにイラストが描かれていたりして、気軽に読めてほっこりできます。日記は他人の生活を覗きみているようなちょっとワクワクした感じもありつつ、他業種の考え方にも触れられる興味深い本です。」
【時代×フェミニズム】フェミニズムはみんなのもの 情熱の政治学
古賀さん:「世界でロングセラーのフェミニズム入門書が復刊しました。TOUTEN BOOKSTOREも何かのきっかけになるお店にしたいなと思っていますが、これはまさにフェミニズムについて知るきっかけになる本。
”フェミニズム”という言葉はとても浸透していますが、一言でフェミニズムと言っても時代によっていろいろな動きがあり言葉の印象も変わります。世代が違う人と”フェミニズム”という同じ言葉について話していても感覚がずれていることもありますが、それは知ることでカバーできます。この本は性別問わずよく売れています。」
TOUTEN BOOKSTOREは
コーヒーやクッキーも魅力!
TOUTEN BOOKSTOREはコーヒーやビール、ジュースなどのドリンクのほかクッキーなども販売しています。
コーヒーはテイクアウトも可能で店内の本を眺めながらゆっくりと飲むのも◎。こだわりのコーヒーやクッキーもぜひ堪能してみてはいかがでしょうか。
Q.O.L. COFFEEの豆を使用した深入りコーヒー
TOUTEN BOOKSTOREではおいしいコーヒーを飲みながら店内でゆったりと過ごせます。コーヒー豆は名古屋市丸の内エリアで人気のカフェ&ロースター「Q.O.L. COFFEE」の豆を使用。オーナーの古賀さん自らいくつもの店のコーヒーを飲み歩き、見つけた厳選の豆です。
毎日飲んでも飽きない、そしてまた飲みたくなる味わいです。
米粉を使ったヴィーガンクッキー
コーヒーにとても良く合うクッキーはヴィーガンも食べられるの米粉を使ったクッキーです。古賀さんがお店を開く前にイベントで知り合った「焼き菓子モモ」のクッキーを仕入れています。
古賀さんも「ヴィーガンクッキーなのに、こんなにモソモソせず美味しいのか!」と驚いたおいしさとか。時期や季節によってフレーバーも変わります。
コーヒーやクッキーのほか、ジンジャーエールやりんごジュースなどのソフトドリンク、クラフトビールなどの取り扱いもあります。
TOUTEN BOOKSTOREでは
ワークショップも開催予定
TOUTEN BOOKSOTREでは、2階のスペースを活用してワークショップの開催やギャラリースペース、カフェスペースの設置が予定されています。
「もっともっと人が交流できる場所にしていきたい。またお店を長く続けて地域に根づいた本屋さんになっていきたい。」と語る古賀さん。
古賀さんの地元にも思い出の一つになっている本屋さんがあり、今も地元に帰るたびに足を運ぶとのこと。TOUTEN BOOKSTOREもそういうような場所を目指していて、いま小学校に通っている子が大学生になったとき、就職して大人になったときにも変わらずそこにあることが当たり前であるようなほっとする本屋さんを目指したい、とお話しいただきました。
TOUTEN BOOKSTOREは、日々いろいろな葛藤やストレスがある生活のなかでも、気持ちを切り替えてシャキっとしたりホッとしたり、ちょっとしたときに足を運びたくなるようなお店です。本を眺めるだけでもコーヒーを飲むだけでも、気軽に立ち寄ってみてはいかがでしょか。
古賀さん、ありがとうございました!