メルボルンで技術を磨いた、オーナー嶋さんがこだわり抜いたロースターカフェ「Q.O.L. COFFEE」|名古屋・丸の内

2019.1.22
QOL

栄・久屋大通エリアと名古屋城エリアの真ん中、大津橋交差点角地にある「Q.O.L. COFFEE」。オーストラリアのメルボルンで技術を磨いたオーナーが2017年6月にオープンしたスペシャルティコーヒーロースターカフェです。

 

「Q.O.L.」はQuality of Life(生活の質)の略。その名の通り、世界中から厳選した世界最高峰のコーヒーを毎日丁寧に焙煎し、良い状態の豆だけを提供・販売されています。今回はオーナーの嶋さんにオープンまでの秘話、スペシャリティコーヒー、お店のことなど、じっくりとお伺いしてきました!

 

 

夢は喫茶店のマスター

 

QOL外観

 

しまさん

オーナーの嶋勇也さん


− まずは嶋さんの経歴からお伺いしました。

 

嶋さん:「僕は物心ついた頃から、喫茶店のマスターになるのが夢でした。子供のころ両親によく喫茶店に連れて行ってもらっていて、子供ながらにその雰囲気が好きだったんです。小学生の卒業文集にも喫茶店のマスターになりたいって書いていたくらい(笑)。中学へ上がっても同じようなことを書いていたんですが、部活でバスケをはじめてからは、インターハイを目指すくらい夢中になっていきました。

 

中高の6年間はとにかくバスケ漬けの日々でした。ところが、高校最後の年に愛知県の決勝リーグで敗退してインターハイに出場できなかったんです。他のことを忘れるくらいバスケに没頭していたいので、俺これからどう生きたらいいんだろうって……悩みましたね。そんなときに、子供のころの夢がよみがえってきたんです。大学進学も考えていましたが、喫茶店をやるには何が必要かってことにシフトして、調理の技術を学ぶために専門学校へ行くことにしました。」

 

 

本格的にバリスタの道へ

焙煎

店内に入ると大きな焙煎機が出迎えてくれます。この焙煎機で毎日じっくりとコーヒー豆を焙煎しています。

 

−こうして卒業後はより本格派のイタリア料理をはじめ、トータル十数店舗の店で調理の技術を学んだ嶋さん。その後、コーヒー店への就職を機に、コーヒーの道にのめり込んでいきます。

 

スペシャリティコーヒー
収穫期に合わせて世界各地の良質な豆を仕入れています。


生のコーヒ豆生の状態のコーヒー豆。それぞれの特徴に合わせた温度や時間で焙煎していくのだそう。


嶋さん:「料理の技術は一通り修得したので、次はコーヒーの知識が必要だと思い、東区にある名古屋の老舗コーヒー店に就職をしました。8年程勤めた後に一度退職をしました。バリスタの技術を上げること、ロースターも本格的にやりたかったので、岐阜にある珈琲店へ就職をしたんです。休日には、焙煎の練習をして、その頃に自己投資もかなりましたね。

 

本格的に勉強しているうちに、カフェの本場メルボルンへ行きたくなってきたんです。コーヒーはこの先ずっとやっていくものなので、コーヒー文化が根付いてる場所で本格的に学び、働きたいと思い、メルボルンへ行くことを決めました。」

 

 

コーヒーの本場メルボルンへ

 

メルボルンコーヒー豆は100gから購入が可能です。

 

嶋さん:「メルボルンはカフェだらけなので、すぐ働く先は決まるだろうなって思っていたんです。ところが、1カ月半で50枚くらいレジュメ(履歴書)を書いて渡しても決まらないんです。僕、オーストラリアにいく直前に結婚をしたんです(笑)。余計に時間もお金もなくて、年齢的にも30歳を超えていました。ワーホリビザは効かないので、学生ビザで学生をやりながらなら働かなければいけませんでした。

 

最初は日中に学校へ行って、午後から職探しをしていたんですが、向こうの朝にカフェへいく習慣が根付いているので昼過ぎにはお店が閉まるんですよ。なので学校は夜間に変えてもらい、明るいうちに見つけられるようなスタイルに変えました。それでも決まらなくて、情報を得るためだけにバリスタスクールにも行きましたよ。本当にすがる気持ちでしたね。お嫁さんも日本において来てるし、資金は減っていく。戻ったら店をださなきゃいけないので、精神的にもヒヤヒヤでした。」

 


−ようやく働くお店が決まり、バリスタとしての修行がスタート。


嶋さん:「バリスタスクールで紹介してもらったりもしたんですが、なかなか空きがありませんでした。いよいよもうやばいなってなってなったときに、もう一度自分が好きなエリアを探しに行こうって思ったんです。ここで働きたい!ってお店にレジュメを持って行きました。でも、その日はいっぱいだよって言われてあきらめていたら、次の日トライアルに来ないかって連絡が来たんです。

 

トライアルは、お店が回せるかとか、ラテが淹れられるかというテストです。オーダーしながら言われることをして、カプチーノ作って、ラテ作って、とかっていうのをやったら、「明日から来て」って言われて、ようやく働くけることになりました。

 

バリスタとして4カ月くらい働いてる間も、どんどん他の人がレジュメを持ってくるんです。僕よりも語学があって技術もあったら、いつクビになるかもわからないので、毎日仕事終わりに練習をして、必死にやりましたね。」

 

 

異国で働いたからこそ感じた一杯の大切さ

 

 

−メルボルンでは、朝から行列ができるほどカフェ文化が根付いるため、スピードがとにかく大切になってきます。

 

嶋さん:「メルボルンでは、来店する人の量もハンパないんです。とにかくスピードをあげていかないと追いつきません。店にもよりますが、多いとことでエスプレッソマシーンに3人、スチームする人、注ぐ人がいます。メニューも、モカやチャイ、エスプレッソ多めにしてとか、それにあったカップも必要です。とにかく体に打ち込まないと難しくて、なんとか最後までクビになることなく使ってもらえました。

 

次第にお客様に覚えてもらえたり、コミュニケーションが取れるようになると、うれしかったですね。日本で長年経験して来たとしても、異国で働くっていうのは、同じ仕事をやっていても違います。お客様に覚えてもらえるのがこんなにうれしいことなんだなって、一杯の大切さを向こうの経験で学びました。そして本場のカルチャーに触れたことは何よりも大きかったです。

 

メルボルンでは毎週のようにカッピング会(※カップに細かめに引いた豆を入れてお湯を注ぎ、味や香りをチェックするもの。)が各地で開催されています。僕は、働くようにならないとそういうとこ行きたいくないなって思ってたんですが、そんなプライドいりませんでした。そこは、世界中から集まったバリスタの情報共有の場でもあって、どこどこのお店のバリスタ空くらしいよとかそんな情報も集まってきていたんです。いい情報は動かないと得られない、プライドはいらないなって実感しましたね。」

 

 

何かをはじめるのに年齢は関係ない

 

 

嶋さん:「メルボルンでの日々は奇跡のようなできごとの連続でした。働きたい場所で働けたのもそうですし、会いたかった人に会えたり、働けるようになってつながりも増えていきました。何かをはじめるのに年齢は関係ないんです。

 

何よりカルチャーが全然違います。朝からカフェに行列ができ、自分の好きなお気に入りのカフェにいくので、チェーン店はほとんどありません。スタバに行くのは旅行者くらい。朝、昼何しらコーヒーカップを持ってみんなうろうろしています。そういうカルチャーに触れながら、バリスタ経験を終えて、日本に帰国しました。

 

帰国後は、働きながら物件を探して今の場所を見つけたんです。ここは、よく通っていたこともあって建物が気に入りました。内覧をさせてもらうと自分が作りたいお店のイメージができたんです。店の周りに公園もあって、景色もいい。栄・久屋エリアも近くて、名古屋城も近いので観光客の人も多い。街が近い方が広がりやすいし、カルチャーの発信もしたいと考えていました。

 

また、名古屋は喫茶文化が盛んなので、同じようなコーヒー屋さんが頑張っている近くの場所でやりたかったんです。海外や県外から遊びにきて、近いと周りやすいですよね。東京や福岡はコーヒーショップが集まってますが、名古屋はないので、この場所が少しでも若い世代に目を向けてくれる場所になっていければいいなって思っています。」

 

 

コーヒーを通じて暮らしを豊かにしていきたい

 

 


嶋さん:「店名にはクオリティとライフを付けたいと思っていました。クオリティは僕自身の経験の中で、どれだけいい焙煎をして、コーヒーを作っても豆自体の品質がよくないといいコーヒーは提供できません。自分が提供するコーヒーは品質がいいものを出したい。もちろんコーヒーだけじゃなく、ケーキや焼き菓子もそうです。」

 

焼き菓子ショーケースには季節に合わせたおいしい焼き菓子も並びます。


 

ライフはコーヒーを日常的に楽しんで欲しいっていう想いと、ライフスタイルの提案です。店内では、オリジナルカップやコーヒー器具、Tシャツなども販売をしています。この2つが入る言葉を探してたときに「Q.O.L(quality of life:生活の質)」という言葉に出会いました。僕はこの言葉の持つ意味をコーヒーを通じて、お客様の生活をより豊かにしていきたいと思っています。」

 

 

さまざまな工夫を凝らした内装

 

 


−店内にも、嶋さんのさまざまな想いが込められています。

 

嶋さん:「僕がこの店をはじめるにあたって目指したのがスペシャルティコーヒーを軸にしたコーヒー+ロースターカフェです。1Fはコーヒーができあがるまでの導線を考えて内装を考えました。店の奥には生豆、入り口には焙煎機を置いています。そしてカウンターで焙煎した豆をドリップしてお客さんに提供します。気づかない人が多いんですが、一杯のコーヒーができあがあるまでの過程を見ていただけるような工夫を凝らしているんです。」

 

 

嶋さん:「2Fはお客様がゆったりと過ごしていただけるカフェ+ギャラリーです。実際にここで、ギャラリー展示や、演劇、コーヒーと和菓子のペアリング、音楽ライブなどもしています。新しい形ではありますが、実は昔からあるカフェ文化を大切にしながら、コーヒー+カルチャーの発信地にしていきたいですね。」

 

 

外の借景を楽しみながら飲むコーヒーは至福の時間に。

 

朝は7時半からオープンしているので、出勤前にモーニングを楽しんでから仕事に行けば一日がより豊かに感じられるはずです。

 


展示の期間ごとにさまざまなアーティストの作品を楽しめます。

 

名古屋の老舗珈琲店で働いていた時代にもらったというコーヒー豆の木。15年ほどでこの大きさになったのだそう。

 

 

実際にコーヒーをいただいてみました

 

 

−Q.O.L.COFFEEでは、コーヒーの提供の仕方も少し変わっています。

 

嶋さん:「うちでは、オリジナルカップとサーバーに入れてコーヒーを提供しています。こうして提供することで、非日常を感じながら楽しんでコーヒーを飲んでいただけたらうれしいですね。」

 


今回私たちがいただいたのは、ケニヤ。提供される際に、豆の情報が書かれた紙も一緒についてきます。豆の情報を書いて提供することで、喋りはじめて自分が何を飲んだか忘れてもどんなコーヒーだったかわかるようにしているのだそう。

 


オリジナルカップは嶋さん自ら瀬戸の窯元に足を運び、釉薬のかけ方から、細かいひび模様ができる貫入までこだわった逸品。実際に店舗で購入できますよ。カラーバリエーションもあり、サイズ感もいい感じです。

 

 

街に根ざしたコーヒーショップを目指して

 

 

2018年には、東京で開催されたCOFFEE CORECTION(コーヒーコレクション)というスペシャリティコーヒーの祭典ベスト8にも選出。出店基準はコーヒー豆を送って、味だけで選出された上位8位が出店できるというものだそう。全国的にも、知名度をぐんぐん上げてきている「Q.O.L. COFFEE」。今後、コーヒーを通じてどんな場所になっていくのかとても楽しみです。モーニングやフードメニューも充実しているので、次回はフードからコーヒーまで堪能したいと思います。

 

嶋さんの人柄もとても最高なので、ぜひ足を運んでみてください!

 


【Q.O.L. COFFEE】
住所   : 〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内3丁目5-1番号 マジマビルMAP
電話番号 : 052-746-9134
営業時間 :月曜〜金曜 7:30〜19:00 土、日曜 9:00〜18:00
定休日  :なし

http://qolcoffee.com/